第17話 我が家で事件は整理される

家でセオ兄様と顔を合わせても第一王子と一緒だったことは何も言わないので、あえて聞くこともない。きっと文官クラスで偶々一緒になっただけだろう。気になるが気にしない。を繰り返す。


ラドルフ執務室

「今日ローレンス王子から図書室での一件を聞かれました。巻き込まれたシャルには申し訳ないと伝えてくれと。それから我が家にお礼を述べられました。話を聞く限りご本人は臣下に降り弟君を王太子にと考えているようです」


とセオドリアは父に報告する。

「まだわからないが隣国の動きが早いのが気になる、夏に王女が二人もこちらにくるのは去年より以前から準備していたのではないか。書類は出来上がっていて王への許諾だけの状態だった」

「第一王子の婚約破棄は筒抜けで子爵令嬢との学院生活も情報が流れていたという事ですか?」

「そうだが、子爵家が一年以上使用していた魅了の薬をどこから手に入れたかだ。大方は予想がついているが証拠が上手く消されている」

「隣国ですね」

「大半はそう思っているだろうね、国内の商会なら証拠があがっているだろう」

「図書室の司書の薬の入手先は?」

「件の子爵家だよ、分家だそうだ。王子に使うつもりでいたが瓶を倒してしまったところにシャルが来たと言っているそうだ。まだ取調べは続いている」

「第二王子派というわけではないのですか?」

「まだその可能性もある。子爵家を隠れ蓑にして上手く第二王子派に取り入ろうとしたというのもあるだろう。子爵家の没落で第一王子を恨んでいる事もあるだろう」

「我が家は中立の立ち位置でいいのですね」

「もちろん」

「即答されると父様野心は?」

「セオは若いね」

と嬉しそうに答える。なんとも言えない気持ちになるセオドリアは

「若いですよ」

と告げ執務室を後にする。政治の中に入りたいとは思ってないが領地を守る、良くしていきたいとは思っている。セオドリアはこの国内の問題が小さい火種を誰かが風を入れて煽っているのが腹だたしいと思っていた。物価の上昇に領民の不安や鬱憤は溜まっている。第二王子が婚約者を決めることが解決する方法とは思えなかった。


交流会のテーマも発表されクラスの中でも数人選ばれた。私は選ばれなかった。やっぱりモブ。セオ兄様は1つのテーマのリーダーらしい。凄い。交流会の研究発表が楽しみになった。家族が活躍するって嬉しいからね。


私の研究テーマは夏季休暇の宿題となった。明日は友達と王都に遊びに行く、楽しみだ。

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