第11話 犯人はお前だ
ベッドに入ると更に冷静になる。
今日の状態は魅了かな、でもいつ薬物を口にした?
その前に王子とぶつかり謝罪した時あんなに興奮していたかしら?
幸薄そうな美女顔とは思ったけど。馬車に乗った時には心臓がドキドキしていた。王子に謝罪してすぐに図書室入口に行った。
関わりたくないという気持ちが強かったはずだ。
図書室の受付で帰る事を伝えた。あの時、司書さんが瓶の液体をこぼして私がそばにあった布巾で拭いた。
「やられた」
そう呟くと思い返せば不自然だ。彼女が倒したのに何故私が拭くのか。彼女が犯人だ。父様に言いたい。気づいたら即座に言いたくなる。ベッドから出ると休んでる侍女を呼ぶ。
「アンナ夜遅くにごめんなさい、父様と少し話が出来ないか聞いてみてくれる?」
視線を下から上に上げれば、アンナはもういない。やっぱり忍者かもなんて笑みが溢れる。
しばらくすると執事が来て
「執務室に行きましょう」
と一緒に歩く。こんな夜更けの廊下は不気味だったから、心遣いがありがたかった。
扉をゆっくりノックする。
「どうぞ」
と優しい笑顔を向けて
「ソファに座りなさい」
と言ってくれる。平凡な顔立ちこそ安心感No.1だななんて全く関係ない事を考える。
「お父様、私どこで魅了の薬物と接触したかわかりました」
と伝える。真面目な顔の父様に緊張感は薄れる。
「図書室の受付の一人が、私が帰る時、瓶の液体をこぼし、布巾で拭いておいてと指示されました。あの後から興奮し始めたと思います」
「司書の一人ということか」
「私が帰る時、受付には一人しかおりませんでした。口から摂取しなくても鼻から匂いが布巾を挟んでいますが掌から接触というかたちで魅了の薬物を介したのではないでしょうか?」
と伝える。
「わかった、とりあえず明日は学院は休みなさい、検査薬を持ってくる。今日の事はきちんと伝えよう」
と言い、もう遅いからお休みと頭を撫でてくれた。執務室を出ると廊下にはアンナがいた。
帰りも安心、ベッドに入ると安心したのかすぐそこまで瞼が重くなる。羊は一匹も数える暇もなく夢に落ちた。
『助けて』
『助けて』
苦しそうに誰かが呟く。目を細めると白いモヤのような場所には今日見た逆プリン色の髪の毛が揺れている気がした。
ばっと起き上がる夢見最悪な気がする。
なんで第一王子の夢なんか。
まだ魅了の薬物が残っているのか考える。
父様の友人の研究者さんに検査してもらった結果反応無し。鼻からの匂いで薬物酔いをして夕方ごろに効果がきれたのではないかとのこと。
良かった。でも今日の夢見は、関係ないのかな。
明日は学院に行っても良しと言われた。
でも当分図書室怖いから、まずは我が家の蔵書の中から課題のテーマになりそうなものを探した。
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