第7話 お茶会って大事

扉を開ける前まで友達出来るかな、なんて期待していた。教室に入ると誰だこいつ感が凄い、一日違いでこんな感じと針のむしろのような視線の中、自分の席もわからない事に気づいた。焦っている感は出したくないので能面で辺りを見渡す。


すると、後光が見えた…気がする令嬢の下へ、母様に連れられた茶会で時々会話する令嬢がいるではないか。

「お久しぶりです。ローラ様」

と声をかけると

「お久しぶりです。シャル様、入学式後に体調を崩されたと聞きました、お加減はいかがですか?」

なんて可愛い声で聞いてくれるので私の能面もほぐれる。

「緊張してしまい夜更かしして体調崩してしまっただけですの」

と答えると柔らかい笑みとともに

「それはよかったですわ。私も昨日はドキドキしました、でもクラスメートにシャル様もご一緒なんて嬉しいわ」

と言ってくれるから、こちらこそなんて言ってしまった。少々おばさんぽくなってしまい恥ずかしい。母様には感謝だわ、面倒だなと毎回思ってたお茶会こんなに役に立つなんて。感動しているとローラ様から

「シャル様の席は窓側の後ろから3番目ですよ」

と欲しい情報を簡潔に言う、もしやあなたは、サポートキャラなんて思いながらなんでもゲームやラノベに当てはめるのはよくないなと思う。自席につくと授業の準備やら教科書を見てみようとパラパラめくると隣の席に座る人物に驚いた。

見たことがある第一印象。水色の髪、整った顔。攻略対象ではなかろうか。疑問が確信になるような話したら駄目だと拳に力が入る。下を向いているとチラッとこちらを伺うような視線を一度投げかけてきた。

「おはようございます」

と小さな声で言う。一応挨拶はしたから無視したわけでも何か興味がある令嬢でもないと認識してくれるといいなと思う。

「おはよう」

と小さな声で返してくれた。嬉しい気持ちになったけど目立ちたくはないので空気に徹した。


ホームルームが始まるとまず自己紹介させられた。これは転校生のようだ、一日違いなのに。

「初めまして。シャルロッテ・ストンズです。よろしくお願いします」

なんて事もない挨拶だけど緊張するね、その場でお辞儀をする。


何事もなく授業は終わり一年生は午後の授業は無し。ローラ様ともう一人シャーリス様、こちらも母様に連れて行かれた茶会友達と少しお話しながら帰る。

二年生以上はお昼を食べて午後の授業に臨まれる。私達は学院を出ようとする廊下とカフェテリアに続く廊下の交わるところで、少女の甲高い声を聞く。

「きゃあ、転んじゃった。てへ」

ピンクぽい髪の子が誰かにぶつかって転んだ様子が見えた。あれって第二王子じゃない、あの子わざとぶつかりにいったのではないだろうか。誰もあの子に手を差し出さない。王子の周りにいる側近の学生めちゃくちゃ睨んでいるし、ピンクちゃん、流石に気付くよね。なんかうわーって感じだわ。みんな引いている。私達もサッとその場を後にした。

「あれはないですわ」

「さすがにあれは酷い」

二人も言う。自分からぶつかりにいった様に見えた、イベントってやつを強制的に発生させようとしたのかな。明日以降ピンクちゃんが学院にいる気がしない。王子の表情は変わらなかったようだけど側近さん達は親の仇かの如きの視線をあの子に向けてた。物思いに耽っていると馬車乗り場まで来て、二人に別れの挨拶をして馬車に乗る。


そんな様子をずっとセオドリアが見ていた。


ガタゴト走る馬車は学院と家は意外とちかく30分もかからない。徒歩通学可能だろうけど醜聞の方が強く出る為、馬車一択である。


家につくとすぐに着替えて昼食をいただく。この時間は一人だ。広いダイニングにぽつんと一人で寂しいご飯タイムだ。しかし今日からやる事がある。ようこそくびれ、脱寸胴ボディーを合言葉に庭の散策という体のいいウォーキングを始める。この若い身体は意外と無茶が効くと早歩きで庭を巡ると一時間なんてあっという間だった。アンナには

「お嬢様いつの間に私達の技を習得したのですか」

なんて聞かれたものだから、忍者と思ってた動きまさかの早歩き?なんて疑問も生まれた。この後は腹筋をした。刺繍や読書をしようかなぁと思ったら、母様にお茶に誘われた。

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