第4話 眠れない夜は羊を数える
自室までの帰り道足が重い。こんなに廊下長かったっけなんて思いながら自室に着いた。
侍女の一人が待機してくれていたので入浴がしたいと告げるとすぐに動いてくれる。うちの侍女優秀なんて考えながら頭の痛みよりも前世の記憶よりも家族の方がこのストーリーに詳しいのには驚きだ。
ゆっくりバスタブに浸かり今日あった事が湯気と共に浮かんでくる。昨日は何も知らない考えていなかったであろう自分。前世を思い出し、乙女ゲームかラノベかこの世界は物語としてストーリーの上で走らされているのか、私というキャラクターがあるのかなど知りたいような知りたくないような不安がお湯に溶けていく。いま生きている世界がストーリーで出来ているのは嫌だなとそこは強く思ってしまう。
今日何回目かの溜息とともに入浴を終えるとベッドに入り込む。
「疲れたわ」
目を瞑る、寝ようとしても頭の中ぐちゃぐちゃで覚めている。身体疲れて脳だって私の処理能力煙が上がっているのに眠れないって何。と一人悶える。現実逃避をしている事はわかっていた。入浴あたりから。考えたくない考えが押し寄せるものだから脳内会議は進んでいく。
始めに夕食の情報から整理していこう。
去年サマーパーティー
生徒会、第一王子、公爵令嬢、子爵令嬢
虐め、ハーレム 形成、婚約破棄
まずここまでで通常の乙女ゲームもしくはラノベ。
悪役令嬢の反撃やざまぁなどは無し。
次が貴族牢で真実暴露
子爵令嬢による魅了系の薬物
次々に上位貴族は落とす、ハーレム 目指したって事よね。これではバッドエンドもしくはざまぁで終了
公爵令嬢の虐め教唆、器物破損
ここら辺領地に引っ込ませるあたりで都合良く終了しそう。これはバッドエンドではないよね、ノーマルエンドかな、でも噂とかこの話ってこれからの婚活?に悪影響よね。
考えを巡らせていると父様が言った婚約破棄騒動との言葉、騒動という事は破棄してないのではないか。第一王子含め生徒会役員の大半が休学との情報に入学式の準備大変だったのではないかと思い耽る。
今日会った隣の子入学式に遅れて入ってきたとき、イベント失敗とか言ってなかったかしら。ずっと何かのイベントの為に外で待ってたのか、狙いは第二王子かなぁ、なんて去年の話を聞いたら近づいてはいけない話だとよくわかる。薬物怖い。利用怖い。私きっとモブだからなんかいいように使われるかも、断罪怖い。巻き込まれ危険。
とにかく転生者って気付かれないようにしなくてはと気合を入れて夜更けに静まりかえる部屋でぎゅっと目を瞑る。
羊でも数えましょう。どうして数の途中でまた思いふけってしまうのか、何回も一匹目の羊が現れる。
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