第45話 8月10日 薫先輩①
最低なことをしている自覚はある。
分かっている。
殴られても蹴られても浣腸されても文句は言えないだろう。 できれば浣腸は連撃にしないでもらえると助かる。
単発ね単発。 指の先っちょ入れるだけのやつ。 指関節くねくね? ダメに決まっているだろう! 僕のア◯ルを拡張する気か!
でも、これが小説であれば、 読者の皆さんに大ブーイング、総スカンを食らっていたことだろう。
いやはや。 小説じゃなくてよかった。
(※小説です)
でも、この生徒会がいつもどおりの生徒会であるためにはこうするしかないのだ。
僕は誰に批判されようと、絶対にこの生徒会を守ると決めている。
そして今回だが、さらに大顰蹙を買うこと間違いなしの一大企画。
『監禁デート24時』 をこれより開始したいと思います。 パチパチパチ。
ターゲットは当然あの人。
今回の全作戦の共通キーワードは「既成事実」 なのだから、 本人の喜ぶシチュエーションを選択しなければならない。
そこで、これ『監禁』 である。
舞台となる館もレンタル済だ。 バカでかい上に郊外の人気のない立地だから、いくら騒いでも叫んでも大丈夫。
どうせ取り壊し予定だから窓もドアも壊して良いとのことで、鍵なしでは中から脱出できないように改造してある。
で、例によって薫先輩ママに協力してもらって、 薫先輩の搬入も済ませている。
頼んでおいてなんだが、 自分の娘に睡眠薬を盛る母親が存在するとは驚きである。 『薫先輩のどM根性にお灸を据えるためなんです』と言ったら快く引き受けてくれた。
『笑ってよがんす』 でのことがあったから、 薫先輩ママには嫌われているかと思ったが以外にも優しくて驚いた。
さて、そろそろ薫先輩の起きる頃だ。
張り切って行ってみよう。
♦︎
「ん······。 んんぅ」
ジャラッ
「おはようございます。 薫先輩」
「ん………………。 慎一…………?」
「はい。 慎一です」
「なんで……ていうか――」
ジャラジャラジャララッ
「――――なんだこの鎖!?」
薫先輩の手足は鎖で繋がれ、それぞれ床と壁に接続してあった。
「ウボォー◯ンの気分を味わわせてあげようと思って」
「誰がハンター◯ンター幻影旅団のウ◯ォーギンだ!」
薫先輩がハンタの新参勢にも分かる懇切丁寧なツッコミをする。この人、マジで気遣いの塊である。
「薫先輩、そういうの好きでしょう?」
「いや、まぁそうなんだけれど……」
なんだか、歯切れが悪い。
いつもなら鼻血吹き出しながらお尻を振って喜ぶシチュエーションだろう? どうしたのだろうか。
「大変嬉しくはあるんだが、えーと……今はそれどころじゃなくて…………そのぉ――」
薫先輩は赤いキャミソールにホットパンツのように股下の丈が短い淡い緑色のズボンをはいている。 寝起きだから、艶やかな黒髪が少し乱れていて、セクシーである。
ホットパンツからスラっと伸びる陶器のように白く滑らかな足は、 蛍光灯の光を照り返し、火照っているのかほんのりピンクがかって健康的。
その足がもじもじと太ももを擦り合わせるように動いている。 ぶっちゃけエロい。
このムーブはあれだ。 第8話で見慣れているから僕にはわかる。
「薫先輩、もしかして、またおしっこですか? 好きですねぇ、おしっこ」
「またって言うな! おしっこに好きも嫌いもあるか! というか前回のはお前のせいだろうが!」
「あ、前回の薫先輩のナイアガラ事件を知りたい人は第8話を見てくれよな!」
「誰に言ってんの?! てか余計なこと言うな! そもそもお前も漏らしてただろうが?! 何私一人漏らしたみたいな風に言ってんの?!」
「まあまあ。興奮するとちょちょぎれますよ?」
「やかましいわ!」
薫先輩はもじもじしてはいるけど、まだ余裕がありそうだな。 ……………… よし、続行。 ファイッ!
「分かりました。 では、話し合いましょう。人間話し合えば、大抵のことは解決できます」
「だァかァらァ! 漏れそうだって言ってんだろォォオオ?! 話し合いする
「なるほど。ブレーンストーミングですね。 どんな意見も否定してはいけない。分かりました。薫先輩の『漏れそうだって言ってんだろォォオオ?!』も一意見として検討しましょう」
「うるせーわ! 慎一お前うるせーわ!」
薫先輩の口調が単調になってきた。 危険な兆候だ。……………………続行。 ファイッ!
「まずその 『漏れそう』 ですけどね。 それってあなたの感想ですよね?」
「感想じゃないの! 現状なの! 間違いようのない確定的な現状なの! てか、初っ端からおもっきし意見否定してくるなお前?!」
「ではまず 『漏れそう』 の定義から始めましょう」
「おしっこオオオオオ! 『漏れそう』 はそのまま『おしっこ』 オオオオオ!」
強烈な尿意からか薫先輩の語彙力が低下している。 薫先輩は若干涙目で、瞳がうるうるしていて可愛い。 僕まで変な性癖に目覚めてしまいそうである。
流石に可哀そうなので鎖を外してあげた。
そして薫先輩は同じ部屋に備え付けられた個室トイレに駆け込んでいく。
はぁ〜やれやれ。世話の焼ける先輩である。
薫先輩はトイレから戻ってくるなり、
「で。 今回のこれは何なんだ?」
全然僕を責めたり怒ったりはしない。
薫先輩は少し荒い言葉使いとキリっとした釣り目のため、学校の一部の生徒から恐れられていたりもするが、実はめちゃくちゃ優しい人なのである。
僕は薫先輩の胸に飛び込んで答えた。
「デートです。 監禁デート」
「か?! え?! ふぁ?!」
薫先輩が全くクールじゃない動揺の仕方をしていた
顔を真っ赤にして両手を広げ、 抱きしめるでもなく、どうしたらいいのか困っている様子。可愛い。
僕は薫先輩の控えめな胸に頬を押し付けて、ちっぱいを堪能した。
薫先輩、 ラベンダーのような良い香りする。
僕は興味本位でちっぱいのすぐ横、キャミソールの隙間の胸と脇の境目部分をチロリと舐めてみた。
「んひゃあああああ?!」
可愛らしい反応をする薫先輩。
そして反射的に僕の首を締め付ける。 その力は全く可愛らしくない。 僕の首からグキッと嫌な音が鳴った。
結論、薫先輩をからかってはいけない。 死ぬ。
「な、な、な、何すんだバカぁ!」
「熱中症対策です」
「しょっぱくて悪かったなァ?!」
薫先輩が恥ずかしそうに俯いて「こうと知っていれば朝風呂入ってきたのに・・・・・・」とつぶやいている。 可愛い。
「あ。そだ。 朝ごはん食べます? ちゃんと用意してるんですっ♪」
「あ、そうなのか? それは助かる。頼む」
薫先輩のためになかなか奮発して、おいしい食材を取り揃えておいたのだ。
よし、まずは食材を取りに行かねば。
「はい。 では、また鎖で監禁しますね」
「ああ、分か――――て、ちょっと待て! ……………………なんで……?」
「だって、この部屋の扉、 薫先輩を監禁しなくちゃ開かない仕組みになってますから」
「なんでやねん! 慎一おま、なんでやねん!」
薫先輩が驚きすぎて関西弁になってしまった。
それでこそ、ここのギミックを頑張った甲斐があるってもんだ。 一番金かかってんだココ。
しかも、今回は生徒会のドラえもんの力を借りられないので、外注している。
まあ、独身男性に義務化されている毎月の精液提出の手当金だけで結構もらえているから何とか払えたのだが。
さぁてお次はどのイベントいこうかなァァアア??
くふふふふふ!
薫先輩監禁デートはまだ始まったばかりだ。
―――――――――――――――――――
【後書き】
読んでくださりありがとうございます。
本話のヒロイン 菊池 薫のイラストを描いてみました。
近況ノートに貼りましたので、良かったら見ていただけると嬉しいです。
今後ともよろしくお願いします!
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