第364話 サンタが里にやってくる?

      サンタが里にやってくる?

 -MkⅢ-

 私がこの里を訪れたのが、丁度11月の終わり頃。

 そんでもって、ダイテツと意気投合しちゃったものだから、ドワーフ達に電脳化を施して色々な技術をインストールして差し上げたおかげで、私はこうして、今年のプレゼントの作成をお手伝いする羽目になってたりする。

「ダイテツ~、ちょっと良いかな~?」

「ん?何じゃ、エリーちゃん。」

「ああ、忙しい時にごめんね~、ちょっとこのセットが少しガサが張り過ぎちゃったもんでプレゼントの袋に入れにくくて、袋開いて持ってて欲しいのよ。」

「おう、これで良いかの?」

「サンキュー、お陰で入ったわ、ありがとー。」

 ってこんな具合で、今はセットごとに袋詰めして居る所。

 今年のプレゼントはすっごいわよ、なんつったって私が作ったポケットゲームとかだもんね。

 勿論電脳化が前提で、識字率が低いこの世界においても読む事が出来ると言う何だか便利な取説付き。

 まぁまさかセドリック辺境伯領で暇潰しに作った物と同型の物や、本体の作った物を更に発展させた新型とかを量産する日が、こんなに早く来るとは思わなかったけどな。

 量産したのはドワーフなんだけどね。

 私はプログラムとかのノウハウを電脳を通じて教えただけ。

 で、だ、私はと言うと協力すると一言言ってしまった建前上、お手伝いする羽目に&材料の提供をする羽目になった訳よ・・・

 口は禍の元とはこの事かしらね、何でも彼らのプレゼント活動ってば、元々は近隣の孤児院へって内容だったけど、私の作る移動手段があれば行けるってんでこの大陸中の孤児院へと言う物だったので、私が教えてしまった物の材料迄無償提供する羽目になったって訳。

 とは言ってもアモルファス伝導体のタッチパネルやカラー液晶のモニターやら、中身の半導体とかであって大した物は使って無いから良いっちゃ良いけどね。

 この里の周辺は樹が大変多い大森林の真っただ中みたいな所だから、ゲーム機のがわのプラスチック部品とかは全て植物樹脂で自作して貰ってるので、量産が私ではなくドワーフ達と成ってるようなもんな訳なんだけどさ。

 ラバー部品まで、こんな寒い地域にも拘らずゴムの樹みたいなのまであるもんだから樹脂天然ゴムに硬さを出す為のポリマーなんかで加工した物を自分達で自作して来たからね、この人達。

「こんな感じでどうじゃ?」とかって見せに来た時にはあまりの出来の良さに感心してしまった、ドワーフってやっぱ器用なんだね。

 あんな、グローブみてぇな指でどうやってこんな細かい物作るんだろうと本気で感心したわよ。

 思わず作る所見せてくれって頼んだらさ、指先にピンセットの先っぽみたいなのが付いた手袋持ち出してこれを又器用に操るのよ、すげぇな、この人等。

 思わず私も見習わなきゃって思ったけど、今じゃスキルでそう言った器具使わないでも出来ちゃう今日この頃だったりするのでまぁいっかと我に返る。

 まぁ何だかんだ言って今の方が前世よか細かいナノマシン大量に生産してたんだったわwって、改めて気づいたし。

 まぁそんな自分を見つめ直す時間も出来ちゃったりして、この里は何故か他と違ったゆっくりした時間が流れて居そうで、なんだか、いつかは私も庭園の世界樹の麓に籠って悠々自適な生活も良いかななんて一瞬思ったけど、本体の性格上無理だね(断言)


 ってのっけから脱線しちゃったけどさ、今日は私はこの袋詰め作業の後は、明日本体に頼まれてダイテツ連れて飛空艇で庭園まで行かないといけないんだ。

 とっとと袋詰め終らせたらさ、何でも本体が企画したエルフの集団お見合いの参加者全員に一つづつ何かプレゼントを作れって言われてた訳よ。

 ンで私が知り合ったサンタドワーフのダイテツと一緒に配りに来いとそう言う事言われてる訳。

 面倒だけど丁度なタイミングなのでやり遂げましょう、楽しそうだし。

 で、ダイテツに相談したらさ、女性用20名分は、ダイテツ自らが彫金してアクセサリ作ってくれる事に成ったので、私はこの作業終えたら男性40名っつったか、そいつらに上げる物を用意しにゃならん、何が良いんだろうね・・・

 そうだな、エルフの男性はほぼ全員狩人みたいなもんだから、弓を扱う為のグローブ、それと獲った獲物を捌く為のナイフが良いかな?

 さすがの私も学習したもんね、唯一金属アレルギーを引き起こさないエルフの為の金属と言っても過言では無いオリハルコンでナイフを作り、フレイムドラゴンの鞣革でグローブを作って、糸状にしたオリハルコンを縦糸として使ったドラゴン皮で織り込んだナイフホルダー。

 一個作っちゃえば私の創成スキルで同じ物を増やせば良いだけの事なので一組分は丁寧に作成。

 折角なのでナイフにも装飾付けてカッコ良くしてみた。

 どうだ、中二病のエルフ君にもおすすめのナイスデザインだぜっw

 全ての準備が終わって、私が、悪戯半分で作って置いた、トナカイソリ型小型貨物飛空艇を三機、里の広場に用意して積み込みを終えたのが、つい今しがた、日付が変わってしまって12月24日の午前1時半。

 疲れたので私はそのまま飛空艇の部屋の風呂で済ませてそのまま就寝した。

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 よっぽど疲れたんだろうね、珍しく、ショートスリーパーな筈の私が目覚めたのは昼過ぎだった。

 ダイテツの家へと顔を出して見ると、積み込み迄が終わった安心感からかそのまま飲み始めてたドワーフ達は、一様に酒を持ち寄って飲んでたんだけど、まだ飲んでたよ、おいおい・・・

 オメー等これから夜んなったらプレゼント配りに行くんじゃ無かったんかい!

 これ迄は近隣の街の孤児院だけだったらしいからそれでも良かろう、今回からはこの大陸全土の孤児院周るって息巻いてへんかったかこいつら、あ?

 そのつもりで私もあんな素敵な飛空艇作ってやったっつーのによ。

「おー起きたかいエリーちゃん。」

 ダイテツが私に気が付いた。

「あのね、いつ迄飲んでる気?もう何時間化後にはプレゼント配りに出かけるんでしょう?」

「がははは、いつもの事じゃ、気にすんな。」

「気にするわい、今夜はこの大陸中に配るんでしょうが、そんなぐでんぐでんで周り切れる?」

「ふむ、言われてみればそうじゃったかな、まぁ、この辺りでお開きにするかのう、オメー等、帰ってしっかり寝とけよ~。」

 ダイテツの言葉には逆らえないらしい、素直に帰って行った。

 確かダイテツってエンシェントドワーフっつったな、ドワーフから二段階も進化してるんだもんな、ハイエルフに逆らえないエルフとあんま変わんないってか、その辺は。

 まぁ、今まで飲んでたのならば、酔いを醒ますような美味しいお味噌汁とかお茶漬けとか要るわよね、っつー事で、オルニチンが大量に取れる蜆の味噌汁と、清涼感で飲んだ後でもとても食べやすいワサビ茶漬けだ。

 ダイテツは茶漬けを3杯もかっ込むと、味噌汁も5杯おかわりし、3時間ほど寝て来ると言って自室に行ってしまったので、私はその間だけでもと、弟子三人に稽古でも付けてやる事にして時間を潰した。


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 そろそろダイテツが起きる頃だろう、日も落ち掛けて、支度も出来て居るので、飛空艇に一度戻ってお風呂に浸かって汗を流すと、サンタっぽい服に着替えて出発だw

 サンタ姿の私、見たいよね?w

 赤い服に髪が赤いから少し赤が強すぎる気はするけどそこは良しとしてねw

 んで、ダイテツ以外の配達要員二名にも、ダイテツと同じ還暦の赤い服を用意して着せ、三方向に分かれて出発。でもまずダイテツと私はいったん飛空艇へ。

 私の高速艇じゃ無いと、昨日から先行して移動をはじめてる私のブロックの庭園に追いつくのは難しいからね。

 私の飛空艇が庭園のブロックに追いついたには、巨大庭園とドッキングフェイズに入ろうと言う直前だった。

 今頃本体は既に里長会合とやらに出席してるんだろう、タカシとテディーがお見合い大会の観戦中かな?

 ドッキングフェイズが終わりまでドックの格納庫へは入港できないからね、どんな具合かナノマシンネットワークで映像を取り寄せて見た。

 そしたら今まさに、告白タイムが始まる所だった。

 思わず見入ってしまいそうになったけど、その前にタカシの様子を映像を取り寄せて見たら、こっちはこっちで何だか良い感じじゃん?

 思わず同時進行で見入ってしまったw

 丁度私もお腹空いてたし、ご飯食べながらの観戦。

 パメラもドキドキしながら楽しんでたよね、さっすが女の子。

 コイバナとかこう言うの好きよね~。

 テディーったらわざと密着するような体制で座ってるしな、仕掛けるよね~。

 食事終ってもそのまま夢中で感染する程甘酢ッぺー展開に思わずパメラも大興奮w

 男子二人は何かこっぱずかしそうに俯いちゃってる、こいつらやっぱ可愛いわ、もう弟子なんて言わず私の養子にしようかしらw

「て、テディーさん、チューした! チューしたよ、師匠!」

 もはや興奮最高潮のパメラ、女の子はホントこう言うの好きよね、マジでw

 さっすが耳年増とは良く言ったもんだわ。

 私は二つのイベントとこの子等の反応を見られて大満足でした。

 そんで、我に返ってダイテツと共にソリ飛空艇に搭乗し、会場のど真ん中に降り立った。「メリィ~クリスマァ~ス!」

 全員、私よりもダイテツに釘付けだった、まぁそうだわなドワーフってあんなだとは誰も思わねぇわな。

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