第363話 どきっ!?エルフだらけのお見合い大会?

    どきっ!?エルフだらけのお見合い大会?

 -タカシ-

 各里親が里親会合に行っている以上、この場には取り仕切る事が出来るエルフが居ないと言う事もあって、ハイエルフの言う事はちゃんと聞いてくれるからって事でこの場は僕が任されてしまった。

 エリーさんは良くこう言う事を丸投げにして来るけど、まぁ今回はエリーさんが里親会合の方に顔を出して居るからって事で、二つ返事で請け負ったけど、僕如きで本当にこれだけの人数のエルフを取り纏められるのだろうか?

 ってか任された以上はやるしか無いんだけどね。

「参加者はこちらに集まってくれるかな?」

 僕が一声かけると、嘘みたいに全員速やかに集まった。

 エリーさんに言わせると、「エルフはハイエルフの言葉に対して敬意を払って従うのが美徳とされて居るから、反抗的な子でも私達の言葉には逆らえないのよ、彼らの矜持がそれを許さないらしいから大丈夫。」

 とか言ってたけど、どうも本当にそうなのだろう。

 でも彼らは僕がハイエルフであると何で判るんだろう?

 こんな事エリーさんに聞いたらまた馬鹿にされそうなので聞けないし。

 とか思ってたら、小声で言葉として出てたらしくて、僕の里の、このお見合い大会のリーダー的な子が、小声で耳打ちしてくれた。

「私たちエルフは、魔力の強さを肌で感じ取る感覚が特に発達して居ますから、貴方がたハイエルフ様の強い魔力でハイエルフ様との認識が出来るのです。」

 なんか、納得できた様な、出来ないような?

 一応僕もエルフ達のマナ量は何となく解るけれどね、ハイエルフってそんなにマナ量桁外れなん?

 細かい鑑定が出来るようなスキルが無いからな、僕には・・・

 あ、そうか、今度エリーさんにスキルの調整して貰う事に成ってたっけ、その時に細かい鑑定が出来る様にバージョンアップして貰おう。

 自分の魔素量とかも判んねーからね、比較が出来ないんだよ、エリーさんとか鑑定しようとしてもブロックされて見えないしな。

「あの、タカシ様?」

 あーしまった、つい考え込んでた。

「ああ、御免、つい考え事を。」

「先程迄、久しぶりに会う者同士て固まって居たりしましたので、里毎に整列させました。」

 流石僕の里のリーダー勤めるだけはある、優秀だよね。

「ありがとう、それじゃあまず、開催する僕や、君達のサポートをする者達の紹介をします。

 先ず、僕はタカシ・タナカ。

 今、君達が居るこの空中庭園の主だ。

 今日は、ベアトリクスさんの里の子が女性しか居ないと言う事で、このお見合い企画を企画しました。

 他の里からは、他所の里へ婿入りしても良い男性ばかりを選出したのはそうした理由です。

 今日は、少しでも多くのカップルが出来る事を願っています。」

 そうして、神無月達に場を譲る。

「皆様、私達が様々なお世話をさせて頂きます、何か御座いましたらお声を掛けて下さい。

 尚、私達は、かなり精巧には出来て居りますが、人では有りません。

 機械仕掛けの、言わば魔道具ですので、御覧の通り、人工皮膚を一枚剥いてしまうと、あなた方の苦手な金属がむき出しになってしまいますので、蹴っ飛ばす等、攻撃はご遠慮くださいませ。」

 腕の人工皮膚を一枚、わざと剥いでの説明だ。

 ちゃんとエルフに対しての配慮もプログラムされて居る、エリーさんって本当に凄い。

 僕が感心している内に、一通りスタッフアンドロイドの自己紹介が終わった。

 正直な話、僕はここに居るだけで良いお飾りらしい、何故ならスタッフが優秀過ぎて何もする事が無いからだ。

 参加者の女の子達の自己紹介が終わって、何と無く聞いてたけど、エルフの適齢期って、200歳から300歳位なんだなぁ~、僕の前世の丁度10倍位なんだ~って感心してしまった。

 まぁでもそうだよね、エルフってば千年が寿命とされてるから丁度当時の日本人の10倍程度の寿命だしな。

 僕達ハイエルフは寿命が無いって聞いたけど、じゃあ僕らの適齢期は?っても思うけれど、そんなのは結婚したいなと思った時がそうなんじゃね?とかって言われそうだ。

 僕も何となくそうなんじゃ無いかなとは薄々解ってるしな。

 ああ、暇なもんだから色々考えられて良いんだか悪いんだかな時間になっちゃってるなぁ。

 どうも僕は電脳の使い方が下手糞らしい、エリーさんに言わせるとフル活用させれば考え事をしてても普通に受け答えとか、更に同時に作業とか出来ちゃうらしい。

 マルチタスクも大概だと思っちゃうんだよな、どうにもそう言うのが苦手だ。

 おっと、そう言えば、カップル成立の商品の魔道具を作って置かないといけないんだったな。

 エリーさんからは適当にって言われただけだけど、新婚夫婦に必要な魔道具って何だ?

 って考えたら、エリーさんの電脳通信で白物家電三種の神器だろって言われたんだけど、良く判らん。

 白物家電って何だ?

 洗濯機と掃除機? 後は何だ?

 そしたらまたツッコミのメッセージが・・・

 冷蔵庫なんだ、そうなんだ、へぇ~、知らんかったでよ。

 それだけじゃ足らんだろうからIHクッキングヒーターと電子レンジも付けてやれって言われた、僕をマナ酔いさせる気か、この人は。

 マナ酔いする程の量にならねぇよってさらに突っ込まれたのは言うまでも無い。

 まぁでも、@Homeシリーズメイドロイドを筆頭に優秀なスタッフが殆ど全て熟してくれて居るので僕は魔道具の作成に集中できそうなのだけは確かだよね。

 で、黙々と作って居たら、そろそろ立食パーティー形式のフリータイムの時間になったらしくて、メイドロイドが僕の食事も持って来てくれた。

 取り合えず10組程作れたから、後はこれを入れて手渡す為のマジックバッグでも作って終わりにしよう。

 先ずは食事だよね。

 お一人様飯だけど、食べながら会場の様子を映し出して居る三つのモニターを眺めつつ、この二人は良い感じだなぁとか、僕の前世の時にも良くあったお見合い番組さながらの映像を堪能して居るだけな僕。

 本気で僕って居るだけで良いんだなーってなんだか少し寂しい気持ちになった。

「ごめんごめん、お待たせ~!」

 突然背後より響くベアトリクスさんの声。

 なんだかとっても嬉しい気持ちになった。

「あれ?えりちゃんは~?」

「ああ、エリーさんなら里長会合の方に行ってます。」

「あ、そうなんだ、どうどう? いい感じになった子達居る?」

 狭いテーブルなのに、僕の横にくっ付くように座ったベアトリクスさん。

 良い匂いがする。

 ヤバい、僕は本当に、エリーさんに尚更意識させられたのは事実ではあるけど、ベアトリクスさんが好きになってるのかも知れない、少しドキドキする。

「えっと・・・今はチェンジしちゃってるけど、この子と、この子が仲良くなってて、良い感じかも知れません。

 後、この子とこの子は今も良い感じにツーショットですよね。」

「あー、ふんふん、成程、ここの達は顔も少し似てるからうまく行くんじゃない?」

 何だか謎の理論がぶっこまれた。

「似てるとうまく行くんですか?」

「そうよ? 仲が良さそうな夫婦の写真見てると大概はどっか似てる所があるものよ?」

 そんな、ウソみたいな・・・

「あぁ? 嘘っぽいとか思っとらん?」

「ええ、まぁ・・・」

「まぁ見てなさい、うまく行くから、この子達。

 私はあっちの世界で大人になっててこっちで結婚しておばあちゃんになってたんやから、年の功って奴よね~。」

 う、これ言われちゃうと引いちゃうよな。

 僕は中学生のままこっちにハイエルフの体に成って転移?したので、精神年齢とか人生経験が大分低いレベルのままで、弾劾されて200年以上たってしまっただけだから、ハイエルフとしては僕の方が年上だけれどベアトリクスさんから見たら子供、むしろ孫位な感覚なのかもしれないって思ってしまう。

 本当にエリーさんの言う通り、この人は僕の事を少しでも好きと思ってくれて居るのだろうか。

 お見合い大会をこうして高い所から覗いて居るだけだった筈が、なんか僕がドキドキしたり、こんな感情に悩まされてる、困っちゃったな。

 どぎまぎしてる間に、お見合いの方は佳境に入ってたよ。

 ベアトリクスさんの里の女性が横一列に20人全員並んで、向かい合わせで、所狭しと男性エルフ達が40人そして一人づつ、男性がメイドロイドに呼び出される。

 すると、大掛かりな花いちもんめのような状況のど真ん中で、男性が、お目当ての女性を大声で呼ぶ。

 すると、女性が中央にやってきて・・・

「ちょっと待った~!」

 こんなとこまで再現してるんだ、面白い。

 二人の男性が中央に走って来る。

 そして女性にアピール。

「ほっほぉ? これやったら真ん中の男の子がええんちゃうかな?」

 ベアトリクスさんが手を伸ばして指差す。

 すると更に僕に密着する形になる。

 すみません、抱きしめても良いっすか?

 いや、耐えろ僕!

 そして、ベアトリクスさんの言う通りの展開でカップルが成立する。

 ベアトリクスさんの謎理論、当たるんだ・・・すごいな。

 それにしてもベアトリクスさんは、良い匂いだし、柔らかくて、こんなにくっ付かれるとマジ辛抱堪らん。

「ホラな?言うた通りやろ?

 今の子ぉ等は目元がソックリやねん。」

 笑顔のベアトさんが僕の顔を覗き込んでる、近い近い!近すぎるよっ!

「そ、そうですね、ベアトリクスさんの謎理論、当たりましたね。」

「謎理論言うな、ガチでいくつも見て来たから言えるんやで、これ。」

 ドヤ顔でぐいぐい迫って来る、近すぎる~!

 理性ぶっ壊れそうだ。

 ベアトリクスさんは、エリーさんみたいなクールビューティーな感じじゃなくて、ほわッとしたあったかくて柔らかそうな美人で、実は僕のドストライクだったと言っても間違いじゃ無いんだ。

 そんな可愛い顔が、僕の顔に息の掛かる距離で得意そうにドヤ顔してるんだ。

 超可愛すぎるやんね。

 惚れてまうやろ~!って奴ですわ、マジで。

 なんかもう、心臓の音がデカくなりすぎて周りの音が聞こえない程になって来た。

 耳は心臓に近いから、きっと僕の耳は既に真っ赤なんだろう。

 もう、後は殆ど記憶が欠落したような状態で、誰と誰がカップルになったとか、どうでも良くなっちゃって、ベアトリクスさんの事しか考えられなくなってしまってた。

 たまに、エリーさんが、『おーいタカシー、心拍数200超えたぞ~。』とか、『おーい、動かなくなっちゃったけど大丈夫かぁ?w』

 なんて冷やかすメッセージ送りつけて来たけど、それ所じゃない、理性が吹っ飛ぶのを抑えるので必死だった。

 最後の告白が終わった直後、「タカシ、ごめんな、あんたの反応確かめたくて今のワザとやっとってん。

 あんたなら第二の人生一緒に居れそうな気がするわ。」

 と、意味深な言葉を残したベアトリクスさんに、軽く唇にチュッてされて完全に思考が真っ白になって、固まった。

 直後、エリーさんのメッセージが届く。

『チ~~~ン。』

あ・・・今日って元の世界ならクリスマスイブ・・・

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