第362話 第一回里長会合

        第一回里長会合

 この日、遂に全ての空中庭園が、一つになった。

 とは言え、未だMkⅢのブロックだけはこの場に存在して居ないが。

 だがそれも間も無くこの巨大空中庭園の一部と成るだろう。

 もはや空中庭園と言うより、一つの島と言った規模だ。

 タカシや私の持つアニメの知識を借りて表現するとしたら、“空島”であるとか、“浮島”と、言った所であろうか。

 だが、この空中庭園を集結させる事で、全ての庭園のマザーコンピューター及びセンサーをフルに駆使する事で、恐らくこの世界に元から存在する空中庭園、高天原を検出出来る筈である。

 これは、マッドであり大賢者であり、魔素研究の第一人者となった私の出した一つの答えだ。

 どうしてそんな途轍もない結論に辿り着いたかって?

 それはね、妲己ちゃん達の一連の出来事で、少なくともこの世界に、宇迦御霊は存在して居る事が確認出来た。

 そして、私やMkⅢが唱えた祝詞、その言霊によって、少なくとも伊弉諾尊や、その他の神々の加護は事実存在をしていた。

 すなわち、この世界にこそ、日本書紀に描かれる神々は存在し、高天原と呼ばれる幻の地は存在して居るのであろうと言う仮説が立つのだ。

 それを実証する為には、空中庭園をいくつも作り、全てをリンクさせてその機能を相乗効果で増幅する必要性があった。

 かつて、玉藻ちゃん達が融合する度にグッとその力を増幅したように。

 そう、この空中庭園の最後の1ピースは、高天原だ。

 恐らく、神道の神々は、全てハイエルフ。

 私は自力でそのハイエルフへと至り、更に自力で彼らに追いつこうとして居るのだ。

 まだ足りなければ、このハイエルフの無限と言って良い寿命を使って、ハイエルフの仲間を増やし、新たな庭園を造り、更にその力を付け、高天原を検出し、私の作った庭園とつなげる事。

 この世界は見捨てられたわけではなく、見捨てられたのはこの世界を管理して居た存在のみ。

 神々は、私のような実力のハイエルフの出現を待って居たのだ。

 多分そう言う事なのだろうと思う。

 ここ迄が今の私の研究の成果だ、これが何時実証出来るかは判らないが、これだけの規模の庭園が集結する事で、高天原を捕まえられずとも、尻尾、若しくは軌跡位は見つけられれば良いと今は思って居る。

 もしもこの庭園を高天原と繋ぐ事が出来たとすれば、その時は私も神の一柱と成って居るのかも知れないけどね。

 まぁ今は兎に角、この世界の修復と言う課題も残っている以上、そう簡単に高天原の尻尾が掴めるとは思って居ないけどさ。

 でも恐らくは私の事をあっちは待って居るんだろうね、その理由までは知らないけども、何故かそんな気がするんだ。

 まぁ、気長に頑張るさ。

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 庭園が集結した事で、全ての庭園の森が一つに繋がった。

 ちなみに繋がった事で、一番大燥ぎなのが、私のブロックで養っていたヨルムンガンドだったりするのは秘密だ・・・

 でも、あんなに喜んで居たのにキースに召喚されたらしくていつの間にか消えてたけどなw

 まぁそれはそれで置いといて、っと。

 庭園が一つに成った事で、私の息の掛かった全ての樹も一堂に集結した事に成る。

 そこで、だ、第1回里長会合でも開催して見ようかと。

 その序でにテディーの里は全員女性エルフだけなので、大お見合い大会と洒落込もうかと。

 今回のこのお見合い大会は、テディーの里に婿入りするのが条件って事で、婿入りするのに抵抗が無い男性って条件で募集を掛けて、女性はテディーの里全員、のみと言う縛りを付けて見る。

 何か昔からテレビっつーメティアでは幾度と無くそう言った趣向の番組があったのは私の調べでも解って居るので、それと同じような時間割を作ってみよう。

 先ずは自己紹介パートで、その後は一通り全員と総当たりが出来るツーショットトークタイム。

 次に男性の得意技術の披露、その後女性が同じように得意な技を。

 大詰めは立食パーティー形式でフリートーク。

 その後に告白タイムで、男性から女性を指名しての告白。

 ここでちょっと待ったコールをして割り込む事も可能。

 うん、完璧だ。

 司会進行はアインとツヴァイにお願いして、細かいお世話やお料理、飲み物の提供に、神無月と師走の二人を駆り出してスタッフに据えた。

 私はと言えば、当然今回冒頭に言った通り、この巨大空中庭園のリンクしたマザ-コンピューターと高性能センサー軍の性能をフルに活用して、高天原を探す為に、私のブロックのブリッジに来て、植物生体量子コンピューター“ゆぐどらしるsecond”を他の庭園の“ゆぐどらしる”とのリンクを構築しての周囲探索に従事して居る所だ。

 まぁ私のやって居る事は見て居て面白い物では無いので、私のナノマシンからの映像で楽しんで頂きましょうw

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 -里親会合-

 タカシに頼んで、四里の里親を、タカシのビルのレストランに集めて顔合わせをさせて貰う事にした。

「良いっすよ、その間、エリーさんは何するんです?

 僕に丸投げするって事は何かする事あるんですよね?」

「まぁ余計な事知らなくても良いけど、ちょっと探し物があってね、庭園が集合したこのタイミングなら、この庭園全部のセンサーをフル稼働したら見つかるかな~って思ってね。」

「成程、じゃあどっか行っちゃう訳じゃ無いんですね、用があったらそちらのブロックのブリッジで良いっすか?それとも電脳通信のが良いです?」

「電脳通信でお願いしておくわ。」

「判りました、困った事があったらそうします。」

「じゃあ、悪いけど後よろしくねぇ~。」

 エリーと別れたタカシは、早速、手始めに自分の里の里長、ユーフォルビア・プルケリマを呼び出した。

 ナノマシンの映像で様子を見ていたエリーは、そのエルフの名を知って、あっけに取られていた。

(ユーフォルビア一族って事はキュルレンシス君の親戚か何かか? 今度はポインセチアの学名だしよ・・・次は花麒麟でも出て来そうだなw)

 ちなみに後日談だが、プルケリマはキュルレンシスの甥っ子に当たるのだそうだ。

 世間って狭いわーってエリーは思ったものである。

 樹を探す旅の旅団を率いていたのだから、エルフ的に言えば若き指導者と言った所なのだろう。

 里長して他キュルレンシスと良い、息子もギルマスなんかしてたりするので出来の良い血筋なんだろうな。

 脱線したので戻します。

 他の里の里長を招くと言う事がタカシより伝えられたプルケリマは、早速招く準備をと言い出したが、それは既にタカシのAIアンドロイドの@Homeシリーズに伝えられており準備は既に進んでいるので、今回女性ばかりの里の参加が有るのでお見合い企画を立てて有る事を伝えて、プルケリマの里からも独身男性を何人か参加させて貰いたいのでその人選をしておいてくれとタカシが伝えると、プルケリマは良い機会を与えて下さりありがとう御座いますと、タカシに涙を流して感謝したのである。

 次に、一度訪問して顔は合わせて居るので、キュルレンシスとは電脳通信が確立して居るタカシは、キュルレンシスに連絡をしつつ、ここで初めて、プルケリマと名前が似ていると気が付いた。

 割とスットコドッコイなタカシだった。

 次に、テディーの里のエルフの里に伝える事に成ったタカシは、私の作って置いた転移ポータルを使って直接行く事にしたようだ。

 テディーが遅くなる事は私はタカシに言って居なかったので、テディーに会いに行く口実になったと思って気も逸って居る感じだ。

 この間私がタカシを焚き付ける為に言ったテディーと結婚しろって言葉は割と刺さってるっぽいねw

 そのまま意識してれば良いと思う、楽しくなって来たわね。

 テディーが居ない事を悟ったタカシは少し残念そうな表情を浮かべていた。

 お互いに意識して居るだけでも恋に発展する可能性は高いんだけど、タカシは特に判り易くて楽しいわ。

 テディーの里の里長、マリゲットマリーラは、お見合い企画を取り付けてくれたハイエルフとしてタカシにムッチャクチャ感謝してたみたいだったね、何故か音声の配信をしてくれるナノマシンが不調でここでのやり取りは全くの無音だった事が少し悔やまれる。音声配信のナノマシンはアップデートが必要そうだわね・・・

 その後、タカシは私の里への連絡はどうした物かと一瞬考える仕草を見せ、私の電脳へと連絡を寄こした。

『エリーさん、エリーさんとこの里はどうします?僕が直接行って伝えても良いけど、エリーさんからお伝えして貰った方が速い気がしてるんすけど。』

『ああ、そうね、うちの子達には伝えておくわ、お疲れ様。』

 うちの子達の里長は、女性なんだ。

 私が保護した時にはその旦那さんが里親だったのだけれど、私が保護した時には原因不明の病気、エルフ肺炎と言うのを患って居た為に、長くは生きられなかったのよね。

 私が保護した3か月後には、私の作った薬も効かず、流感ではない様で看病して居たエルフの誰にも感染する事無く、一人息を引き取っている。

 まぁ、今は彼のおかげで原因は見つけたので対処法も研究中だったのだけどね。

 また脱線しちゃったけど、マリゲットマリーラに関してはまだ若いから再婚相手でも探しなさいと常日頃から言って居るので今回の会合が良い刺激に成ってくれたら良いと思ってる。

 エルフの名前の付け方って未だに良く判らんわ、やけになげーのが多いし、苗字が前に付いたり後ろに付いたり。里に寄っての差もあるのだろうけど、どうもその辺の法則が存在して無いしな。

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