第358話 タカシの空中庭園

       タカシの空中庭園

 -オリジナル-

「貴方、テディーと結婚しなさいよ。

 あの子結構辛辣だけど貴方にはとってもお似合いだと思うわよ?」

「な、なななな、何をいきなり!」

 すっげぇ動揺してるね、ちょっと可愛いかも知れん。

「驚く事は無いじゃない、貴方のさっきの笑顔、あれはテディーと一緒になんかしてる時の顔と近かったわよ?

 多分、それ以前はアンタ引き籠ってたんだからあんな顔して笑った事無かったんじゃ無いかって思うわよ?

 テディーと貴方なら良い関係築けるんじゃないかなぁ?

 そんなホムンクルス復活させるよか、生身の女性と仲良く成ったら良いと思うわよ?」

「いきなりトンデモナイ事言わないで下さい、た、確かにベアトリクスさんの距離感とか、悪い気はしませんけど・・・」

「なら、良いんじゃない?

 知ってるわよ?最近何度かテディーが私抜きで会いに来てたりするの。」

「え? 何で知ってるんですか?

 確かにあの人、良く来てくれますけど・・・」

「実はさ、あの子が中学時代好きだった男子にあんた少し似てるのよ、いや、少しじゃ無いわね、かなり?」

「そうなんですか?」

「あの子も満更でも無いんだと思うわ、じゃ無けりゃ私抜きで来たりしないわよ。」

「そ、そんな事より、内見しに来たんじゃ無いんですか?

 ユグドラシルビルの。」

 こいつも満更じゃねーんだろうな、誤魔化したしw

 うん、200年以上生きて人生経験ふんでも未だ中身中学生だな、初々しいわw

「まぁ、あんまり虐めてもしゃぁねぇか、内見始めよう。」

 メルサ改めユグドメルサ?の中にタカシと一緒に入って見る。

 おお、良い感じに同化してるじゃん、思ってる以上に良い出来だ。

「うまい具合に同化出来たみたいね、それじゃこの樹に、タカシ、貴方名前つけてやりなさい、そうしたら貴方の樹のドライアドが生まれる筈よ。」

「樹に名前つけるんですか・・・そうですねぇ・・・

 強そうな名前が良いなぁ。」

 こいつ何と戦う気なんだ?

 妙に戦闘力の高い飛空艇と良い、ね?

「出来れば可愛い名前つけてあげなさいよ、樹にも、そのドライアドにも。」

「ええ~、強そうなのじゃダメです?」

「元々ドライアドは相当強い精霊だから、強い名前付けなくても良いんだからさ、樹にも可愛らしいのつけなさいっつーの。」

「え~、そう言われてもなぁ、可愛い名前なんか思い付かないっすよ~。」

「あのねぇ、あんた元私の憧れた程の時代の日本人なんだからさ、何かのアニメとかから気に入ってたキャラの名前とか無いの?

 俺の嫁!とか言ってた程のキャラとかさw」

「そ、そんなキャラ居ませんよ~。」

「じゃああんたが夢中だったエロゲのキャラとかさw」

「エリーさんって僕揶揄う時になると急にフレンドリーに、貴方からあんたに呼び方変わりますよね、そんなに楽しいです?」

「余計な所に気が付いてないでとっとと名前決めなさい。」

「判りましたよ、可愛い名前・・・う~ん・・・

 これだとだいそれてますかねぇ、ベルダンディー。」

 そっち系だったかお前・・・

 北欧神話の女神としてだったらヴェルザンディと発音するのが定番だから、それだと超有名アニメの女神だよな?

 まぁユグドラシル繋がりだし良いけどよ。

「まぁ、良いんじゃない?

 その名前の元ネタも判っちゃったけどさ。」

「何で知ってるんですか、エリーさんって僕の時代よりも千年近く先の時代の人っすよね?」

「私はさ、自分のやらかしで生み出したAIの手で軟禁されてた時代があってね、その頃に、大昔のアニメに触れる機会があって、大概の物は見てるのよ。」

「大変だったんすね・・・」

「それじゃ、樹にベルダンディーってつける?それとも「いえ、樹はノルンにします。」」

「だろうと思った、じゃあ、樹に向かって名前を付けてあげて。」

「判りました。

 世界樹よ、君の名前はノルンだ。」

 すると樹は、枝を震わせて答える。

「さぁ、生まれるわよ。」

 今回の場合、初めから世界樹の種を使ったけど未だ樹が若いから、名前を付けて先に格を上げてあげないとドライアドが生まれなかったのよ、ドライアドが生まれない世界樹では樹自身が弱くて、植物の病気とかで簡単に死んでしまう可能性もあったのでこんな手を使わせて貰った。

 ドライアドが居れば樹のケアをしてくれるからね。

 思って居たとおり、ドライアドが生まれた、未だ樹が若いせいもあって、ドライアド自体も、私のトリーシアとかサクヤと比べて、見た目若い感じだ。

 幼女とまでは言わんが、少女的な。

 まぁ、でもドライアドは樹の精霊が本分なのでこれでこの樹も問題無く育って行くだろう。

「さて、ドライアドにも付けてやれ。」

「はい、君の名前は、ベルダンディーだ。」

 ベルダンディーと名付けられたドライアドが、光ったと思ったら、きっとタカシの意思を反映したのだろう、想像した通りの姿に変化して行く。

 似てるしw

 あのアニメの奴にさw

 なんか駄目だよねー、倫理的に二次創作にされちゃいそうな奴やw

 ベルダンディーに先導されて内見を始める。

 色々見て回り、食堂室に都合の良さそうなフロアや、遊戯室に使えそうな部屋なんかをピックアップしつつ、これまでも寝室として使って居た最上階までやって来た。

「寝室はここで良いの?」

「うん、今までもそうだったし、ここが良い。」

「そ、んじゃとっととここにベッドとか置いちゃいましょう。」

 私がそう言って取り出したのは、タカシが元々使っていた物じゃ無く、私の作って居る高級感の溢れるフッカフカの奴だ。

「じゃあこっちにデスクと、書棚ね。」

 タカシの愛用していたデスク(タカシ自作)よりもずっとしっかりしたデスクを出してやる。

「ちょっとエリーさん? こんなにいいデスクを出して貰わなくても僕の自作のアレで良いのに。」

「だぁめ、あれは貴方の身長や座高と合って居なかったからね、それに、これからこの世界初の漫画家としてでデビューする人が使うデスクなんだから、良い物を使いなさいって事。」

「成程ぉ。

 そうでしたか~、って、は??

 デビュー? 誰が??」

「タカシに決まってるでしょう?」

「意味わかんないんすけど??」

「今日これから私の担当のシャーリーが来るから、彼女に貴方の絵を見て貰うのよ。」

 未だこの世界にはコミックが無いんだけれど、世界初のコミックを出そうって事に成ってるのよ。」

「ねぇ! それ初耳! 僕が当事者になるのに何で僕抜きで話が出来てるんです??

 勘弁して下さいよ・・・」

「さ、次行くわよ、食堂は何処のフロアにするの?」

「あの、僕の意思は?? ねぇ、エリーさん??」

「煩いわよ、男の子なんだから腹括って飲み込みなさい!

 ほら、次よ次!」

 強引に話し逸らして見たw

 キッチンと食堂となるフロアを決めさせて、そこにオートクッカーを設置、この庭園にもハコンダーZを4体一式置いて行く事に。

 ユグドラシルに施設を集中する事で、住民となるエルフにも利用できるようにして居る。

 この庭園に住むエルフ達は、冒険者として狩りに出かけて帰って来るので、彼らに食材の提供を依頼する事でこの庭園の食糧を確保する事にしているからね。

 そして次に、お風呂だ。

 大浴場にしたいフロアを決めて貰い、男女のお風呂と脱衣所を設置、お風呂には時空間固定で温泉の豊富に沸いて居る場所の湯畑から直接温泉を引いた源泉かけ流しだ。

 これもユグ内部に設置するのは食堂と同じ意味、ここの庭園に住み着く予定のエルフ達の冒険者に自由に使わせる為だ。

 そして客用の寝室等を一応用意しておく、何故ならこの庭園には、名地下ダンジョンがあるしネ。

 他所から来た冒険者がお泊り出来る施設として。

「あの、エリーさん、僕の庭園って空中庭園ですよね、どうして他所から冒険者が来るんでしょうか?」

「名地下の入り口は地上に残しておくからに決まってるでしょう?

 各休憩ポイントから来れるようにしただけよ?」

「あの、僕のプライベートは?」

「勿論、貴方とは隔絶出来るようにしてあるし、エルフの里も隔離出来るようになってる、だからあんたの収益になる施設は合ってもばちは当たらないわよ?

 宿の運営はAIアンドロイドにやらせるし。」

「で、僕の庭園って未だ浮いてませんよね、どうやって浮かせるんです?」

「それはこれからよ、メルサを完コピしたって事はさ、セントラル空調の集中施設とか、守衛室有るでしょう? 空調施設の空きの場所に反重力エンジン、守衛室の集中警備システムに当たる物をブリッジの集中管制にするからね。」

「成程、確かにそう言う部屋だったものと思われる部屋ありますね。」

「じゃあそこに行く前に遊戯室のフロアね、どこ?」

「ああ、はい、それじゃ開いて居る3階にお願いします。」

「はいはい、じゃ行きましょう。」

 遊戯室には、ルーレット、スロット、バカラステージ、ポーカーテーブルの他に、パチンコとパチスロを設置。

 他にも、バーカウンターなどを設置し、ここにも専用のAIアンドロイドを置いておく事にする。

 ディーラーやバーマスター、ウエイターとして必要だからこの辺は出し惜しみしない。

「さ、これで一通り揃ったわね、じゃあ反重力エンジンの設置に行きましょう。」

「ちなみに、エリーさん、この庭園って最大のサイズに成るんですよね?」

「そうよ?」

「名地下ダンジョンごと浮かせるんでしょ?」

「ええ、そのつもりだけど。」

「どうやって切り取って上げるんですか?」

「そんな事心配してたの? 世界樹の根で既に全体掬い上げてるから問題無いけど?」

「は?それ初耳なんですけど?」

「メルサを世界樹にした時点でそうだって思えなかったかしら? そうしないと途中でダンジョンぶち切れてる事に成るじゃない?」

「あ、そうか、そうですよね、僕が考え浅かっただけでした、すみません。」

 なんか納得行ってない顔してるけどまぁ良いでしょw

 そんな雑談しながら反重力エンジンを設置、管制システムを守衛室に設置して空中庭園が完成した。

 管制室すごく良い物が出来たよ、全周囲モニターで庭園の全方向が見られる優れモノだ。

 こうして、半径3km超えの規模の空中庭園は、遂に地上から離れるのだった。

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