第355話 新事実?発覚

        新事実?発覚

 一軒一軒がかなりのサイズに見える、ドワーフの集落と思しき村。

 ついに到着した私は、刺激しないように少し離れた所でドラグライダーを降りて歩く事にした。

 三兄弟は寒いから来なくて良いと言ったら本当にドラグライダーでお留守番をするそうだ。

 一応私お前らの師匠なんだが?

 まぁ良いけどな。

 ・・・・ちょっぴり涙が流れたよ。

 で、だ、案内を買って出てくれたホビットのズラリホーに、ドラグライダーの簡易テーラーに防寒具を作らせてプレゼント。

 私の防寒具も角兎さんのラビットファーの革コートが出来てるので、これに身を包んで出発。

 私の膝上程度の身長しか無いズラリホーは、私の肩の上に乗って頭にしがみ付いてるので私寒いのに帽子被れないんだけど??

 しゃぁねぇからその場で魔法作って防寒のヒート魔法って奴でホッカホカで出動です。

 したら初めからこの魔法で全身あったかくして出たら毛皮コート作らなくても良かったよな。

 まぁ、可愛いのが出来たから良いけどな。

 で、外に出て見て又後悔。

 何で膝上まで雪積もってんだよコラ。

 泣くぞ?

 頭には禿でも無いのに乗ってるしよ、マジで泣いて良い案件だよな?

 急いで寒敷をクリエイトしてブーツに固定してやっと出発。

 でも今更ながらふっと思ったんだけど、寒敷じゃ無くてミニスキーとかで良かった気がする・・・

 あ、でも私運動神経良く無かったわ、寒敷で良いです。

 村の周囲の街道は一切雪搔きがされておらず、積もり放題になってる。

 こりゃぁ、村から出ない方向で孤立決め込んでるよな。

 小一時間程も掛けて村の入り口に到着して見れば、案の定村の中はしっかり雪搔きがされて居て、村内では何処へでも楽々動き回る事が出来るようになってた。

 だけど私はここで、雪搔きがされて綺麗な村内道路に気を取られて、重要な違和感に気が付かなかったんだよ。

 それはさぁ、確かに立派なでっかい家に見えるそれは、ドワーフにとって豪邸でも何でも無いって事、それに気付けなかったのだ。

 何が違和感ってさ、そりゃ異様なサイズのドア、そして窓だよな。

 ドアの高さはそれは2m以上あるような高さと、2tトラックだったらギリ通れるんじゃ無いかと云う程の、幅だ。

 冬だし寒いし誰も歩いて居ない村の中央通りを、真っすぐに村長宅と思える大豪邸を目指して歩いて行くと、絶対に窓からこっちを見て居ると思われる視線に苛まされる。

 そうかいそうかい、私らの気配を察して隠れてたっつー事ですか、もうどうでも良いわ、くそっ。

 で、村長宅に到着した私は、その見上げる程のドアに仰天。

「なによ、これ?」

 デカくねぇ?

 こんなでっかいドアじゃ強く叩かないと音向う側に聞こえないわな。

 正拳突きでノックする事にした。

 ゴンゴン!

 いや良い音したわ。

 で、出て来たドワーフに、又しても驚いたのだった。

 顔でっかっ!

 ドワーフのイメージがガラガラと音を立てて崩れて行ったのだった。

 確かに4頭身よ、髭面でズングリ体型だったわよ。

 だけどさ、なんでこんなデカいのよっ!

 MkⅣの奴、自分が驚いたからって私にもあえて秘匿してたわね、今度会ったらぶっ飛ばす!

 腰抜かしそうになったじゃ無いのよ!

「ラリホーじゃねーか、久しぶりだな! がははははは!」

 頭の上から大音量の笑い声を振りかけられる日がこようとは夢にも思わなかった。

「ヤぁ、ダいテつ師匠、久シぶリだヌ。」

 ズラリホーが相変わらず聞き取りにくいイントネーションで答えた。

 ドワーフとの第一遭遇は、驚きのあまり一言も発する事が出来ずに周囲によって終結を迎えるのであった。

 家に招き入れられた私達は、子供用の椅子に座らされて、早めのディナーに同席する事と成った。

 色々話を聞くと、ダイテツ、彼はこの村の長だが、最長老では無く、ドワーフから進化してエルダードワーフに、そしてエンシェントドワーフへと至ったのだそうだ。

 最長老は御意見番として存在して居るけど、最上位種になった為に、村民全員の総意で村長になって居るらしい。

 そして今朝、丁度600歳の誕生日を迎えたらしい。

 赤いチャンチャンコならぬ、赤いコートに赤い帽子、その全てに寒い地域の為にファーがあしらってあった。

 むぅ、ダイテツってシルバーブロンズだしよ、この格好は既にサンタさんよね。

 寒い地域に住んでるし、マジでガチサンタなんじゃね?

 で、さ、更に色々話を聞くに、ここの里は、ドワーフの里でもかなり変わり者な里らしくて、鍛冶よりも木工の方が盛んらしい。

 その木工で余った木くずで拵えた玩具なんかを周囲の人間の里に行っては子供達に配って・・・居た??

 はぁ!? マジにサンタなんじゃねぇか!

 二度処か何度驚かされたか、今回私驚いてばっかだな。

 でも、ちょっと待てよ?

 私鍛冶の技術学びに来たんだけど?

 まさかここの里にはチートレベルの鍛冶師居ねぇんじゃ?orz

 でも、子供達に無償で玩具配るなんてこいつ等粋だわ。

 気に入っちゃったから、村全体電脳化しちゃえ、電脳化ナノマシンを酒に仕込んでおけば全員飲むだろ。

 ンで、ネクロノミコンの写しを村長宅に、それとグリモワールを村のそこかしこに配ってしまおう。

 グリモワールは読めそうな子供ドワーフに渡してやったら広まるだろう。

 万一破損しても自動修復出来るようにその手のナノマシンもしのばせておこう。

 それにしてもこのエンシェントドワーフ、あからさまに土産はねぇのかって顔しやがったしな、今出してやるってば、もう。

「あ、ごめんね、遅くなりました、此方をどうぞ。

 世界樹の実で作ったお酒です。」

 私の空中庭園のエルフ達渾身の作だ。

「銘酒ゆぐどらしる」

 樽でどうぞ。

「がはははは! スゲェもん持って来たなぁ!おい!

 ワシもまだ飲んだ事ねぇぞ、そんな酒!」

 いきなり上機嫌になったダイテツであった。

 それにしても、意外な事実だったよね~、まさかサンタってドワーフだったとはねぇ~。

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