第354話 私もドワーフに会いたい3
私もドワーフに会いたい3
「ワし、知っテる。」
おおっ!ハズレかと思ったけど大ハズレでも無かったようだ。
それにしても、ホビットは独特の方言みたいなイントネーションとかの違いで聞き取りにくいわ。
本来は妖精の言語か何かがあってそれで話して居るのだと思う。
今は私達に合わせてくれて居ると言う事なのだろうね。
ならば聞き取り難くても我慢して電脳をフル稼働して理解に勤めよう。
って事で、以降は翻訳して居りますw
兎に角、ドワーフの所在を知ってた一人に話を聞く事にした。
簡単な会話程度なら難しいと言っても瞬時に理解出来るが、複雑な話になると、解析に少々時間を有する。
なので、翻訳して見たのがこんな感じだ。
「わしが昔、若気の至りでこの集落を離れて旅してた頃の事じゃ。」
「へぇ、こんな穴掘って生活して居る内向的な種族なのに旅してたんだね。」
「いや、そんなに内向的でも無いんじゃよ、ワシらは若い時に大概旅に出て見聞を広めて帰って来るもんなんじゃ。
ただ、大概家出同然で飛び出して行くので若気の至りと申した迄。」
成程、家出するのがデフォルトなのか・・・
「で、若者達は旅の空で出会った異性と結婚して里に帰って来る、これがワシらの風習と言うかな。
兎に角そう言う事が多いんじゃ。
ワシなんぞ、娘ばかり4人も居ったのでな、皆嫁に取られてしまったわい。」
ホビットなんか長寿だろうからもう一人位子供増やしたら良いんじゃねぇ?
しかし、そうやって出会って居たのね、納得だわ、エルフの方がよっぽど内向的だわ、こりゃw
「あ、話の腰折って脱線させちゃった、御免ね、戻して。」
「おお、そうじゃったな。
ここよりも南の方を旅して居ったんじゃが、冬になってしまってな、遭難してしもうたのじゃ。
あ、これはダメかな、春まで寝るしか無いか、って諦めかけた時じゃった。」
「ちょ、ちょっと待って、春まで寝る???
ホビットって冬眠できるの??」
「いや、大した事じゃ無い、遭難しちまったって事は下手に動かない方が良かろう?
それこそ大豪雪の山の中ではいつ滑落して大怪我をしたって可笑しくない。
ワシらは概ね不死身じゃが怪我はするし、怪我してしまえば痛かろう?
それは不本意じゃからな、だったらそこで春まで寝ていた方がよほど良い。」
「・・・なんか私達の常識が崩れる音がした気がするわ。」
「まぁ、要するにわしらは頑丈じゃが絶対に怪我をしないと言う訳では無いっちゅうことじゃ。」
「まぁ、そう言う事で落し所にしといてあげるわ、続きを話してくれても良いわよ。」
「と、どこまで話したかのう?
おおそうじゃ、遭難した所までだな、ぐひゃひゃ。
そんな折に、出会って助けられたんじゃ、そ奴に。
奴は、ワシを冬眠し損ねたリスと思って、捕まえて食う気で近寄って来たらしいがな。」
何だかスゲェ展開になったな、話が・・・
「じゃが、奴はわしらの種族の事を知って居る奴だったのでな、助けられる事に成ったんじゃ。」
「それで、その時にドワーフの里へと行った、と言う事?」
「まぁ、そんな所じゃ、ワシが良く商業組合に持ち込むツルハシやスコップは、奴らに教わって作って居る物じゃ。
穴の中で生活しとるワシらには必要不可欠な道具になったが、掘っている内に、鉄鉱石が大量に出る地層に当たってな。
ついつい調子に乗って作り過ぎるのじゃが、そこまで消費する道具でも無いし、壊れても打ち直せば良いだけじゃからな、余るのじゃよ、そこで売る事にしたと言う訳なんじゃ。」
なるほど納得だ。
しかもドワーフを師匠に持ってると言う程だから、ツルハシと言えど普通の品質では無いのだろうな。
長持ちする道具を量産し(すぎ)て売る、まぁ尤もな理由だ。
「じゃあ、そのドワーフの里に案内できる?」
「出来ん事は無いが、もうこの時期じゃとなぁ、遭難したくは無いんじゃけどな。」
「遭難の心配は無いわよ、私のドラグライダーで行けば快適そのものですから。」
っつーかまだそんな時期じゃ無いだろう、相当に緯度が高いのか?
ここから大分距離有りそうだな。
「フーム、そのドラグ・・・何とかちゅうのに興味が有るの、案内はしてやると約束するからそいつに乗せてくれ。」
「勿論良いわよ、お客さん待遇で専用の寝室とベッドも用意してあげる。」
「魔道具なんじゃな? 乗り物じゃな。」
「まぁそう言う事、ハイエルフの私にお任せあれ、よ。」
こうしてホビットの鍛冶師、ズラリホーに案内して貰える事に成った。
予想を上回る程南へと移動する事に成って、その間ほぼ森林地帯だった事も手伝って、ドラグライダーでも2日近く掛かってようやくその里へと到着した。
その間のズラリホーは、まさにすっかり毒気を抜かれたように寛いでたよね。
本当にこっちであってるのかと何度も聞き直す程だったわよ、マジで。
てっきりさ、ホビットと同じように洞窟か何かに住み着いてんのかと思いきや、すっげぇ立派な家が幾つも建ってる立派な集落だった。
そうだな、強いて例えるなら、北欧のレンガ造りの重厚感のある煙突付きの家。
南半球だから北じゃねぇんだけどねw
しかも一軒一軒がデケェな、遠巻きに見た印象はそんな感じ。
で、これ以上近付くとドラグライダーじゃ警戒されるっつーこって、降りて歩きで移動しようと思ったんだけど。
・・・クッソ寒ぃ~!!!
思わず温度図ったらマイナス10度近いじゃん!
あのなぁ、まだ秋、っつーか初冬だぞ?
おかしーンじゃねーの?こんなとこに住むなんてどうかしてるって!
パメラ達に、「寒いから無理に来なくても良いわよ、中に居ればいつでも快適だしね。」
っつったら、本当に誰も来ねえでやんの、まぁ寒いし仕方ねぇか。
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