第353話 私もドワーフに会いたい2

       私もドワーフに会いたい2

 -MkⅢ-

 早速その所在地情報を手に入れた私は、取り急ぎパメラ達に冒険者ギルドでエリア付近の採集と討伐の依頼を受けさせ、一緒に連れて行く事にした。

「師匠、ただいま~。

 良い依頼見つかりました、牛ウサギの肉の納品とグリフォンの討伐です。」

 牛ウサギ肉は良いけどグリフォンは少しきついんじゃない?

 飛ぶし、アイツら。

「グリフォンの討伐、大丈夫?

 結構厄介よ、あれ。」

「多分大丈夫です、パメラの魔法もあるし、僕の魔法拳も、射出出来るようになりましたから。」

 へぇ~、もうそんな芸当も覚えたのか、じゃあお手並み拝見と行こうかな?

「それじゃあ私は、手は出さない方向で良いわね、もし駄目そうだったら声掛けなさい。」

 意外と近い所だった事と、森の奥と言う事だったので飛空艇は使えない、更に私のクリムゾンスパイダーは他の物より大型なのでこれも無理、だからと言ってフェンリルギアは私の一機しか無い、カイエンの子供達は成長期なのでこれにフィットするサイズのユニットを作るのは難しいからね。

 って事で、一番都合良いサイズのドラグライダーに搭乗して行く事に。

 装甲車フォームなら幅も高さもスパイダーの半分程になるからね。

 まぁ、4人も搭乗すると部屋は少々手狭になるけど、寝るだけは問題無く出来るしね。

 もしも時間が掛かっても寝床が確保出来てさえ居れば何とだって出来るもんね。

 って事で支度を済ませて出発です。

 確か西の森っつったよな?西の森ってさぁ、距離にして100㎞位有るんじゃねぇの?歩きがメインの冒険者にそんな遠くでグリフォン討伐や牛ウサギのお肉を収穫しろって?

 一応戦士職ともなれば鎧着てたりするだろ?

 それでこの距離移動ってさぁ、確か、軍隊の50㎞行軍訓練って一日掛かりだよね?

 そんな遠くから兎の肉を届けろってさ、傷んじゃうよね、これってもしかして誰も受けない依頼だったんじゃぁ?

 たまたま立ち寄って何も知らん冒険者だったタイカン達に強引に押し付けたんじゃ無かろうかな?

 まぁ、特に問題はネェとは思うけどな、私達の場合は、多分。

 移動手段はあるし、色んな意味で規格外だろうしな。

 森には到着したので、先にウサギ狩りして疲れた後でのグリフォンは明らかにきつそうだし、先にグリフォンだよねって事で、森の南側へ移動。

 南の外れに巣を作って住み着いてるらしいからね。

 したらさぁ、これって、先にこっち来てみて良かったわよ。

 野良のエンシェントトレントの極太の立派な枝ぶりに4つ程も巣が出来ていて、そこに番が4組・・・マテマテ?

 これは私が出る案件だろ、流石に。

 8体ものグリフォンを相手にせんといかん案件って、完全にギルド職員の怠慢で不可能依頼案件になってた奴掴まされたよな。

 あの街のギルドってクズだらけか?冒険者ギルドも商業ギルドも腐ってるんちゃうけ?

 帰ったらぶっ飛ばしても良いかしら?

 まぁ、予想の斜め上を行く状況だったのでこの依頼に関しては私がお手伝いする事に成った。

 なんせ、エンシェントトレントの強さは土地神クラスとも言われて居るから、もしもヒューマンのこの子等だけで挑んで参戦された日には、グリフォンとエンシェントトレントに挟み撃ち、と言うかグリフォンの数も多いから殆どリンチになっちゃうもんね。

 でもハイエルフの私が居れば、エンシェントトレントはおいそれとは攻撃できない筈だし、私の火力が有ればグリフォン自体も脅威では無くなる。

 って事で、クリスタルバレットで3頭を撃ち落し、マルチプラーシャで呼び出した毒豆の一斉掃射で2頭を麻痺させ、突如雲も無い良い天気なのに落ちた雷で1頭が黒焦げに。

 残りの2頭を、身体強化したパメラが、氷のエンチャントをした槍杖を投げつけて叩き落し、タイカンとボクスの挟み撃ちで1頭づつ確実に仕留めて終了していた。

 エンシェントトレントは、ハイエルフの私に対して何かを期待したかのようにじっとしてくれて居たので、トリーシアを呼び出して進化を促してやる事にした。

 世界樹となり、その精神が分離して精霊、ドライアドとなったその存在に、ドロシーと名付けてここから森へアプローチするために彼らの住処の洞窟の位置を大まかに聞き出した。

 牛ウサギ狩りは後でも良いと思ってたんだけど、途中で牛ウサギの集団のテリトリーみたいな所に遭遇してしまった。

 牛ウサギは複数の番で集まって集団生活をする習性があるらしい。

 そして集団生活をする者達の間には、リーダーを中心とした魔素ネットワークのようなものが構築されるらしく、言わばデータリンクをして居るかのように敵情報や思考を共有できる。

 長い事旅して来てて初めて出会ったよね、魔素を元から利用している種に。

 ちゃんと元から出来るんじゃん、あのポンコツの半端な開発のせいで出来ない種が多すぎただけでさ。

 ちょっと脱線したけど、つまり、逸れ牛ウサギは脅威では無いが、集団に出会ってしまったら脅威となるって事だ。

 データリンクで情報共有して思考まで繋がる以上、いつでも背後から攻撃が出来ると言う事に成るんだからね。

 徒党を組まれるとこれ程厄介な、脅威度の上りの激しい魔物も珍しいのでは無かろうか?

 だが、先程のグリフォンを2体倒せるこの子等であれば問題は無い、むしろ少し物足りなかったのでは無かろうかと思う、あっと言う間に群れは壊滅、私のストレージに一旦突っ込まれてお肉へと姿を変えたのだった。

 その数、22頭・・? ウサギだから、22羽か? でも牛でもあるんだよな、牛なら「頭」だしウサギなら「羽」だけど、どっちで数えれば良いのだ?

 まぁ恐らくはどっちでも良いのだろう。

 気にはなる所ではあるけどね。

 確か納品依頼の数は10だったっけ、そうしたら結構な量が私たち用のお肉としてストレージに残せる事に成る。

 ホクホクしつつ奥へと踏み込んで行くと、アッサリ問題の洞窟?と言うか人工的に掘られたと思しき、所謂洞穴が見つかった、ここですね?

 奥へと入って行くと、その内部に集落があった。

「ムむ、人が来タ、隠レろ。」

「コんナ奥に入ッて来ルとハ。」

「ちょ、ちょっと待って、私はヒューマンじゃ無い、ハイエルフよ。」

「なヌ? ホんトか?」

 突然ワラワラと、隠れかけてた連中が一斉に戻って来る。

「あなた達がドワーフで間違い無いの?」

 ちょっと思ってたのと違って髭面が居ねーので念の為に確認して見た。

「ドわーふ? イや、ワしラはホビットじャな、ドわーふデは無い。 ホビットは妖精ナるゾ。」

 くそ、外れだったか。

 って、妖精?マジで居るんだ、スゲーなこの世界。

 って事は、フェアリーとかスプリガンなんかも居るのか?

 妖精にしてはかなりデカイんじゃ無いかとは思うが、本人達が言うのだから間違いは無いだろう。

「私は、ドワーフに用があって探して居るのだけれど、貴方達、ドワーフの所在を知って居る人は居ないの?」

「ワし、知っテる。」

 おおっ!ハズレかと思ったけど大ハズレでも無かったようだ。

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