第352話 私もドワーフに会いたい1
私もドワーフに会いたい1
-MkⅢ-
ジ・アースメンバー達と一緒に朝ご飯を頂いた後、パメラは、カイエン達にまた会いに来ると挨拶をして、私と共に飛空艇に乗り込んだ。
まだ本当はパパやママと一緒に居たいお年頃だけどな、凄い子だよこの子は。
今ではすっかり魔法槍杖の使い手としてその技も確立し始めている。
今までに居なかったジョブだからさ、第一人者なのよ、この子ってば。
自分で色んな技を生み出さなきゃならないのにホントによくやってると思う。
まぁ、タイカンやボクスもある意味新しいジョブでは有るから第一人者と言っても過言では無いんだけどね。
パメラは飛空艇内の自分の部屋に足早に入ってしまった。
やっぱ何だかんだ言っても寂しいんだよね、でも私に涙を見せたく無いんだろう、そっとしておきましょう。
後でお風呂にでも入りに来たらムッチャクチャ可愛がってやろう。
さ、私は新作スイーツの制作にでも掛かりますか。
まぁ新作っつっても、今までこっちで作って無かったってだけなんだけどな。
で、だ、どんな物か気になるでしょう?
それはね・・・
おはぎw
まんまと裏切られた?
そりゃそうだ、敢えてスイーツって言ってミスリードを誘ったからね。
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朝には既に、元の居た街、スケベニンゲンに到着してる訳なんだけど、今日は三人とも冒険者ギルドの依頼はお休みにした。
今日はこのエリアのドワーフの里を探す事にしたんだ。
あんなにMkⅣに自慢されたら、ちょっと悔しいじゃない?
って事で情報収集です。
ん~っと、ドワーフっつったら、髭面の4頭身位の、ちっこいオッサンだな。
よっし、ドワーフで通用しなかった場合はこれで何とかなると思う。
確か女性にも髭が生えてるって話だしこれで間違う事は無いだろう。
手始めにこの街で聞き込みだね。
冒険者ギルドでドワーフの情報を探って見るも、会った事のある冒険者は居ないみたいだ。
仕方が無いので商業ギルドへと足を運んでみる事にした。
「いらっしゃいませ、ご依頼ですか?」
「ああ、御免ね、私は一応商業ギルドのライセンスは持って居るの。
なんなら胡椒でも売りましょうか?」
「こ、胡椒をお持ちなのですか?
是非お譲り下さい、今ギルド長を呼んで参りますので。」
ありゃ、失敗した、余計な事言うんじゃ無かった。
奥から出て来たギルド長が又ね、胡散クセーんだわ。これが。
「おまたせしました、って何だ未だ子供じゃねぇか。」
これ、商業ギルドを取りまとめる人物の第一声とは思えねぇよな。
ちょっと態度にカチンときた私は、登録証カードを提示しながら、ワザと丁寧な口調で脅しをかけて見る事にした。
「お初にお目に掛かります、商業ギルド ワーゲン帝国ジェッタ支部長殿。
私は、冒険者で、商業ギルドにも登録が有ります、ハイエルフのエリー・ナカムラと申します。
商業ギルドの支部を預かる者が見た目だけで相手を判断するとはどのような了見です?
ハイエルフな私は、735歳となった今でも少し幼いこのような姿のままなだけなのですけれど。
何か言い訳があるのでしたらお聞かせ願えますか?
精々40歳程度で他人を見下すような態度を取れるだなんてご大層なご身分なのですねぇ? ギルド長殿?」
痛い所を突かれてシドロモドロになって居る所に更に追い打ちを掛けて見る。
「はぁ、何も言い返せない程図星だったのですね、信頼するには値しないようですので、私はこれにて失礼させて頂きます。」
そう言って商談の為に用意された席を立ち去ろうとする。
「お、お待ちください、大変失礼を致しました。」
「は? 今更ですか?? 舐めるのも大概にして頂きたいのですが?」
「あ、いや、そんな・・・」
「ハッキリと私に対する侮辱を耳にしてしまった以上、貴方が私の信頼を勝ち得る事はどの様な弁解をしたとしても不可能である事をご理解頂けると幸いですが、他にも何か?」
「くっ、下手に出て居れば生意気な!」
懐から短刀を抜いて構えるギルドマスター。
「正体を現したわね、ロクなもんじゃ無いとは思っては居たけど、どうもこの商業ギルドは盗賊ギルドかアサシンギルド辺りに既に乗っ取られて居ると言う事か。
でも、私と敵対するという事の意味は知らない様だ。」
「何だ?随分ハッタリが上手いようだな、短剣を前に臆したのだろ?」
「全然? 名前位聞いた事が有るんじゃ無くて?私の名はエリー・ナカムラ、ランクル王国を一瞬で消し飛ばした大賢者なのだけど。」
「ま、まさか、ハッタリもそこまで大きく出るとバレバレだぞ?」
「そう思うのなら試して見れば良いわ、こんな事が出来る私相手にかかってらっしゃいな。」
と言って、翳した掌の上に、ファイアボールブルーローズを展開する。
これで私は本人だと判って貰えると楽なんだけど・・・
「クッ、なんだ、その手品は。」
「手品なんかじゃ無いわよ、ほら。」
ファイアボール自体を短剣の刃に被せるように転移させると、当然ながら短剣を手にして居る手は火傷、短剣は青い炎のファイアボールの高温に溶かされて使い物に成らなくなってしまう。
「うぉわっつっ!」
そんな隙を付くかのように、商業ギルドの他の職員達が一斉にそこかしこから飛び出して来た。
「捕まえろ~!」
一斉に飛び出してきた職員達の手で、ギルド長は捕縛された。
「エリー様、お陰様で助かりました、私がこのギルドの真のギルド長で、ヴァイスと申します。
乗っ取られて脅されて居たのです。」
「まぁ、あんな第一声を放つような奴が商人である筈が無いからね、直ぐにおかしいと思ったわよ。」
「流石大賢者様です。
お陰でギルドを取り戻す事が出来ました。」
「でも、あんた達全員で周囲に潜んでた訳よね、何でこうなるって判った?」
「受付で貴女様がギルドカードを提出された時に、たまたま受付をして居た者が貴女様の信者でして。」
信者?? 私信仰対象なの??
そのままその職員は話し続ける。
「その者のおかげで、この人なら即ギルドの状況を理解して助けになってくれると、我々に、このようなメモで連絡を。」
そのメモには、シンプルに「反撃の好機、捕縛準備を、大賢者様現る。」とだけ書いてあった・・・
こんなメモだけで集まったんか、こいつら、どれだけ強い信頼感で繋がってるんだ?
まぁ、その位でないと商業ギルドなんてあっと言う間に詐欺師に騙されてすっからかんにされてもおかしくは無いとも思うけどね。
「大賢者様、ちなみに本日はどの様な御用で此方に?」
あ、そうだった、本来の目的を忘れる所だったわ。
「実はね、今日は、この周辺の商業ギルドに、ドワーフの製品が入荷して居ないかを調べに来ているのよ。」
「ドワーフ、ですか・・・実際にドワーフって言う種族が本当に居るのかどうかは良く判らんのですが。」
「そうねぇ、4頭身位の小さいおじさんだと良く言われて居るのだけど?」
すると、1人の職員が。
「ああ、その方でしたらよくスコップやツルハシを納品に来られる方では無いでしょうか?」
「その人の住んで居る所は解る?」
「あ、ええ、一応ギルドに所属して居る方なので、判るかと思いますが。」
これは重畳、運が良かったわ。
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