第350話 タカシの身の振り方

        タカシの身の振り方

 -エリーオリジナル-

 なんかすっかり飛空艇で寝泊まりする事を決め込んだタカシだったのだが、ダンジョンはどうするつもりなのだろうと思い聞いて見る事にした。

「なんだか知らんがすっかり飛空艇で寝泊まりする風来坊設定で行く気満々みたいだけどさ、タカシはこれまで住んで来たあのダンジョン・・・つーかメルサはどうする気なんだ?」

「あ、いや、一応拠点にする気では有ります。

 愛着有りますしね、只こっちの寝室の方が快適そうなので。」

 そう言う系で考えてたのか、風来坊じゃ無かったんだ。

 ん?名古屋繋がりのようなお話になった気がするけど、そんなのは偶然なので、知らんがな。

「ふぅん、そうかぁ、じゃあ提案が一個あるんだけどな?」

「どんな提案です?」

「今私はさ、小湊の外れのちょっぴり突き出した半島の先端の崖の上でポツンと一軒家建てて、そこがメインの家になってるんだけど、空中庭園にも家を立ててそっちでも生活出来る事に成ってる。

 で、テディーは御殿場の外れの田舎町みたいな所で畑やったりしてそこの村で村長みたいなポジションで生活圏が確立してる。

 でも空中庭園は私が宛がってるから、寝泊まりするのはそっちの方が快適らしくて、生活圏と別に寝泊まりをしてる。

 で、元エルフで私が進化させちゃった、キュルレンシス君は、自分の村のシンボルだったユグドラシルの元でエルフの村の村長として生活してる。

 でもそこのユグドラシル、私に名前付けてくれって言うから気に名前付けちゃったんだけど、そのイワナガヒメ、要するに樹からの要望で、周辺と完全に隔絶させられるように空中庭園を造ってくれと言うので、その村全体とその周囲半径300mを全て庭園にしてあっていつでも空中に飛び上がれるようになってる。

 それを踏まえてタカシはどうする?」

「ど、どうしましょうか。」

「ここからが本題の提案、あんたの住んで居たメルサ、若しくはその隣のビルをユグドラシルの種を使って世界樹化して、地下街もろとも全てを空中庭園にする手が有るわよ、尤もこれは最大級サイズの空中庭園に成るだろうから、時間はある程度掛かるんだけど、どうする?」

「ちょっと待って下さい、いきなり凄い情報がぶっこまれた気がするんですけど、既に立ってる既存のビルを世界樹に浸食させて世界樹その物にするって事っすか?

 そんな事が出来るんです?」

「出来るわよ?私の契約精霊のドライアド、トリーシアは樹の精霊女王って事で最上位だから、何ならあんたの樹のドライアドも生み出せるけど?」

「うわぁ、新情報が多すぎて考えが纏まらない。」

 あのな、電脳化してるんだから使い熟せよ、検索出来るように私の電脳のオープンスペースに検索出来る情報として置いて在る情報なんだからさ。

「兎に角あんたのダンジョン城はあのままにもしておけないのは事実でしょう?

 余りにも広すぎるから発生した魔物が更に魔素を垂れ流して新たな魔物が生まれてその放出する魔素を吸って古い魔物はもう一段階進化してって言う悪循環おきるわよ?

 スタンピードになる前に対処しないと。

 だったらダンジョンごと庭園に取り込んで樹も植えておくべきと私は思うのだけど?」

「庭園にすると解消できるんですか?」

「ユグドラシルは必要以上の魔素は吸収して果実を生み出すって言う事が出来るからね、あんたはその果実を、庭園にエルフ住まわせるとか、アンドロイドに管理させてその果実を出荷したり果実酒に加工して出荷したりって言う手が有る訳なんだけど?」

「へぇ、エリーさん流石っすね、大賢者とか言われてるだけは有ります。

 それじゃお願いします。

 ドライアドも居たら良いかも知れないっすね、エルフの里も作ってあげたい。

 実は、迫害されて処刑されかけてた僕を助けてくれたのはエルフの一団だったんですよ。

 僕をこの大陸に逃がしてくれて。

 彼らは途中、嵐で半数が行方不明になりながらも、僕なんかの為に。」

「へぇ、初めてこっちに来てからの事話してくれたね、もしかしてそのエルフって私も知ってるかもしれないわよ?

 キュルレンシス君の所にでも行ってみる?

 私の庭園に住み着いた子達にも会って見ましょうか。」

「お願いします、僕が里を作れるのなら、未だ旅をして周って居るのであれば彼らに安住の地を与えてあげられるかもしれない。」

 そうか、樹が少ないから放浪しているエルフって多いのか。

 もしかしたら私も知ってる子達かも知れないけどな。

 序でにエルフを探す為の探索用ナノマシンを爆発的に増やして解き放つ。

 これである程度近くに居れば放浪しているエルフでも見つける事は出来そうだ。

 ナノマシンによる探索は自動的にやらせて置いて、取り合えず私の庭園のエルフ達に会いに行く事にした。

 長老に話を聞いたりしたけど、基本的にエルフは、安住の地を探して旅をして居る者が多く、エルフ達に伝わる伝承で、自分たちの上位種族のハイエルフが守っているユグドラシル、所謂世界樹がその安住の地の目印であると言うものがあるのだそうだ、つまり樹を探して旅をするエルフのグループは世界中に点在して居ると言う事に成る。

 旅の途中で出会ったほかのグループの異性と良い仲に成って相手のグループへと移る者等も居るらしい。

 ここで気になって居たダークエルフと言う種族が居るのかどうなのかと言う疑問をぶつけて見たが、聞いた事は無いと言う。

 だけど私のこの世界に来て早々に放ったナノマシンの得た情報にはそれらしき種族が存在して居る、かなり少数ではあるが。

 そのうち出会うかもしれないよね、本人達に聞いて見よう。

 そう言えばホビット族なんてのも居る筈なんだけどな、いつか出会えるのだろうか。

 脱線し掛けたけど、次にキュルレンシスの所に転移して話を聞く事にした。

 幾つか話を聞いたが、概ね同じ内容だった。

 どうやら私の庭園でも、キュルレンシス君の里でも、タカシの事を知って居るエルフはごく少数居たので、タカシを助けたエルフのグループから嫁入り若しくは婿入りした者達だろう。

 そんな事をしている内に、放浪するエルフの集団を一組発見したとの報告が来たので飛空艇で行ってみる事にした。

「僕を助けてくれたグループっすかね、ちょっとドキドキします。」

 彼らは丁度、岐阜に差し掛かる所だったので、割と近くに居たと言った印象だ。

 飛空艇を見て、慌てて物陰に隠れる一団。

 だが、空中で停止した飛空艇から私達ハイエルフ三人が磁光エレベーターで目前に降りて来るのを見て、内の一人が姿を現し、話しかけて来た。

「もしかして、タカシ様では?他の御二方もハイエルフ様とお見受けいたします。」

 一発目で当たりだった、タカシもついてるね。

「あ、あの時のエルフ達かい? その節はお世話になってしまって。」

「いえいえ、いつか貴方様がユグドラシルを育てて下さることを希望に持ってお助け致しました、もしや樹を?」

「うん、僕自身は気に関してはあまり知識が無かったのだけれど、こっちに居るエリーさんが僕の樹と庭園を作ってくれる事に成ったので、君達に住んで貰えないかと思って探してたんだ。」

「ほ、本当ですか!? それはとても嬉しいお申し出で御座います、是非お供させて下さい。」

「あー、ちょっと良いかしら?

 途中で樹を持ったエルフの里に寄ってるわよね?

 何故そこに定住しなかったの?」

「ああ、樹海の樹ですか、未だあの樹にはドライアド様が宿って居られなかったので、であればタカシ様が樹を育てて下さるのを待った方が良いかと思って旅を続けた次第です、あの里にはハイエルフ様も居られなかったので。」

「成程、随分前だったのね、寄ったのって、今あそこにもハイエルフは存在するしドライアドも居るわよ。」

「なんと、かれこれ100年程しか経って居ないと言うのにそんなに成長したのですか、あの村は。」

「あははは、私がやらかしたのが原因だけどね。

 まぁ私が寄った時は既にドライアドは居たわよ。」

「そうだったのですね、エリー様は、樹や長く生きたエルフを進化に導く役割のハイエルフ様なのですね。」

 え?そうなの?私って・・・確かに色々進化させた気がするけどさ・・・マジ?それ・・・

 ちょっと驚いたけど気を取り直して。

「で、今度、タカシに庭園と樹を私から提供するかも「タカシ様本当ですか!? ついに、ついに!」」

 被せ気味にタカシに食いつくように行かれてしまった、相当タカシをリスペクトしてるね、このエルフ、そう言えば名前聞いて無いけどさ。

「エリー様、是非お願いします!タカシ様の庇護下に私共を是非入れて欲しく思ってます!」

 タカシより先にお願いされてしまった。

「判ったわよ、樹と庭園は任せて。

 タカシ、あんたには樹によって生まれる新たなドライアドの名付けを任せるわ、自分で考えなさいね。」

「えっと、僕の選択肢って・・・」

「勿論、無い、こんだけ信仰してくれるエルフのグループがあって、その子達がここ迄言うんだから大人しく庭園作らせなさい。」

 どうやらタカシには既に飛空艇だけで良いやって選択肢は残されて居ないらしい。

 名地下ダンジョン庭園と、ビルディングユグドラシルを作成、そこをタカシの拠点としてエルフ達を住まわせる事に成ったのだった。

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