第347話 エリちゃんの料理は最強

       エリちゃんの料理は最強

 -ベアトリクス-

 エリちゃん家に遊びに来たら、いきなり。

「あ、テディー良い所に来た、ちょっと私地下室で作業が有るからマリイ見ててくれない?後で美味い飯食わしちゃるから。」

「ほんま!? エリちゃんのご飯マジウメェからなぁ、ええで~。」

 この安請け合いが失敗やった、私は子供3人も育ててるし慣れとるから余裕や、とか思ってたんやけどな。

 まさかマリイちゃんてあんな子ぉやったとか、手に負えないどころや無かったで、マジで。

 実際未だ一歳位の子やったから、精々高速ハイハイで目を離せへんとかそう言う事やろと思っとったんやけどな。

 あんなムッチャクチャな子やとは思わんかったわ。

 -------

「マリイちゃん、こんにちは~。」

「あ、テディーおばちゃんだ、こんにちは。」

 口が達者とは聞いとったけど、活舌もエエし、なんややけに賢そうやん。

「今日はおばちゃんと遊ぼうな?」

「マリイ、ママはちょっとお仕事あるから、それ迄テディーおばちゃんに遊んで貰ってね。」

「ママ、お仕事って、地下室のお味噌の所よね、行ってらっしゃい。」

 すごいな、この子、無茶苦茶賢いんちゃう?

「ほなおばちゃんが遊んだるで~、何して遊ぶ?」

「っとね、んとね、かくれんぼ!」

「かくれんぼかぁ~、おばちゃん強いでぇ~?」

「じゃあ、お友達も呼ぶ~。」

 ん?お友達??

 アインやツヴァイの事かなぁ?

 そんな風に思ってた時も有りました・・・

「顕現し賜え、我が名は、マリィ・ナカムラ、我が友、其方らの名は、ウンディーネ、フリージア、レジーナ、プラト。」

 え?? 召喚魔法?? まっさかぁ~~~w あははは・・・・は?

 え~!まじかぁ~!

 四体の精霊の幼女が顕現した・・・

 何なん、マリイちゃんて、こんなナリしてとんでもねぇ魔導士やんか!

 何処にこんな精霊4体同時召喚する程の魔力持っとんねん!

「「「「マリイちゃん、今日は何して遊ぶ?」」」」

「今日は、このおばちゃんと一緒にかくれんぼ。」

「この人だぁれ?」

「ママのお友達でね、テディーおばちゃん。

 私と同じで、前はハイエルフじゃ無かったんだけど、ママに進化させて貰ったんだって。」

 そんな事まで理解すんのかい、この子は。

「こんにちは、精霊ちゃん達、私は、ベアトリクス・ヤマダっちゅうハイエルフやねん。

 エリーちゃんのお友達や、よろしゅう。」

 挨拶を交わしたら、私の電脳に、スキル獲得のアナウンスが流れたんやけどどして?

『ちゃらららっちゃら~、べあとりくすは精霊魔法を覚えた、精霊召喚を覚えた、水の上位精霊ウンディーネを召喚可能になった、風の上位精霊レジーナを召喚可能になった、緑の上位精霊プラトを召喚可能になった、氷の上位精霊フリージアを召喚可能になった。』

 しかもこのアナウンスって、エリちゃんがおフザケで録音したかのような声・・・

 エリちゃん、やってくれたなぁ、これからスキルとか獲得する度にこんな面倒なエリちゃんの声でアナウンスされるんやな、はぁ。

 妙なサプライズ要らんちゅうねん。

 こんな所にもエリちゃんの面倒な性格の悪戯が隠れとったとは、油断してたよな~・・・

 でも、私も精霊呼び出せるようになったんか・・・レベル低い私のマナ量じゃこの子みたいにまとめて呼び出す事は出来んと思うけど、でも精霊呼べるようになるとは思っても見んかったわ。

 んで、この精霊ちゃんもかくれんぼに参加する訳やね?

 んじゃ、ジャンケンで鬼を決めなあかん。

「じゃーんけん、ぽん」

 う、負けた、私が鬼や。

 ・・・

「もーういい~かい。」

「もーいーよ。」

 かくれんぼの範囲は、地下を除くこの家全体。

 このかくれんぼの天才テディーちゃんにまっかせなさーい!

 探す事30分・・・・何処にも見つかんねーんだけど???

 くっそー、このかくれんぼマスターに見つけられない筈はあれへんねや~!

 あ・・・

「プラトちゃんみーっけ!」

 これで次の鬼はこの可愛らしい緑の精霊プラトちゃんに決定。

 は、良えけど、何処に隠れとんねん、マジで。

 く、ここかっ!

「ウンディーネちゃんみーっけ。」

 そこから更に10分。

 見つから~ん!

 もうこうなったら後はこんな箪笥の引き出しとか・・・あ、「マリイちゃん見っけ~。」

「見つかっちゃった~。」

 で、何故か一緒に隠れていたフリージアも同時に発見。

 どうやって二人も隠れるんだよこんな所・・・

 入った所で閉められねぇだろ。

 後さがして無い所って、まさかねぇ。

 幾ら精霊だからって、キッチンのレンジフードの中とか、有る訳が・・・居った、マテマテ。

「レジーナちゃん見っけ、ってかこんな場所は反則やろ~、最後に見つけたけど反側ペナルティーで鬼やで、レジーナちゃん。」

「ちぇ~、反則かぁ、じゃあ鬼やるね~。」

「いーち、にー、・・・・」

 レジーナが数え始めたので一斉にみんな隠れ場所を探しに行く。私は得意技の、クローゼットの服の裏側に張り付いて隠れる、だ。

「も~ういい~よ~。」

 5分も立たない内にクローゼットが開かれた、気配を消さんと・・・

「テディーちゃんみーっけ。」

 うん、速攻で見つかった・・・

 かくれんぼの天才と謳われた私が速攻で見つかってまうとは、くそう、悔しい。

 私が一番に見つかってしまった、さっき鬼やったばっかなのに。

 ----------

 結局レジーナは20分程で全員見つけて来た。

 私もこの子達のかくれんぼには多少慣れて来たみたいで、次は40分で何とか全員見つけた。

 次の鬼はフリージアで・・・15分。

 次の鬼も又しても私、うう・・・

 キツイわ、これ。

 こんな具合に、二戦に一回私が鬼と言う大変不名誉な状況でクタクタになった。

 どう言う訳かマリイは一度も鬼に成らず、大はしゃぎで隠れている。

 もう、勘弁して欲しいと思い、違う遊びをしようと誘うと、トランプでババ抜きしとうとマリイに提案されたんやけど、これって間違い無くエリちゃんが知識チートでこっちで再現したトランプやんね?

 今まで見た事あれへんもん。

 何でか、ババ抜きでも何でか知らんが勝たれへん、むぅ、こいつら遊びの天才かっ!?

 かなり凹んで居たんやけど、そろそろお腹が減ったなーなんて思い始めた頃。

「テディー、ありがとう、マリイのお相手大変だったでしょう?」

「エリちゃんやぁ~! この子ら遊びの天才か? かくれんぼもババ抜きも全く歯が立たん!」

「あははは~・・・でしょうね・・・」

 何故か目が泳ぐエリちゃんに、私は悟ってしもたんや・・・

 ああ、エリちゃんも勝たれへんのや、マリイちゃん・・・

 恐ろしい子っ!

「今ご飯作るしちょっと待っててね~。」

「あ、私手伝うでぇ?」

「あ、いいから座ってて、テディーに手伝って貰うとこなもんばっかに成るしw」

「何やとぉ!? 粉もんは関西人の命やで?お好み焼きそばたこ焼きは大阪の命なんや!」

「そこまで言い切るあんたが羨ましいわよw

 それに、あんた肝心な大阪の三大粉もんよりもそうめんの方が好きじゃんかw」

「あ、さぁせん、そうでした~。」

「今日はね、テディーが粉もん以外で確実にハマれるお肉を用意しましたよ~。」

「何のお肉?」

 ワクワクして来た。

「へへへ~、ひ♡み♡つ。」

「ええ~、気になるやん~。」

「もう少しババ抜きの続きしてて~、すぐ出来るし。」

「しゃあ無いな、そうするわ。」

 そして、ババ抜きで三戦連続最下位に成ってベッコリ凹んどる所に、エリちゃんのご飯が完成した。

「おっまたせ~。

 何と驚くなかれ、本物のファイアドラゴンのバラ肉を使ったシチューです~。」

「そんなん食った事ないで? ドラゴンの肉なんて手に入るんやね?」

「まぁ、私の並列の一人が・・・ね。」

 又しても目が泳ぐエリちゃんに、悟ってしもた。

 倒したんやな・・・・(汗)

「はいはい、じゃぁ食べよう、マリイはママのお膝に乗りなさいねー。」

 マリイを膝に乗せたエリちゃん、ちゃんとママしとるねぇ、ええんちゃう?

「ほな、頂きます。」

「いただきます。」

 さぁ~て~、エリちゃんのご飯は美味しいから期待出来るぞ~、パクっと。

 !!!!!????!?!?!?!?!?!?

 う・・・・・・・・美味すぎる~~~~!!!

 美味すぎて脳がバグりそうや!

 ますます腕を上げたようやし、何よりドラゴン肉、うっまぁ!!!

 もうエリちゃんのお料理しか勝たんで、マジで!

こんなんやったら毎日でもマリイちゃんのお世話しに来たるわ。

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