第343話 聖剣の実力
聖剣の実力
-MkⅣ-
「折角完成した聖剣だ、名前を付けてやってくれや!
こう見えてもワシは名前を考えるのは苦手なんじゃよ、がははは。」
どうでも良いけど何がそんなに可笑しいのやら、やたら笑うよねこのオッサン。
てかさ、サイズ感が全体的にゴツイもんだから声もデカくて笑い声が頭に響いて頭痛がするのは気のせいか?
ガンちゃんはドワーフ以外に自分が認める事が出来る者に出会えたのが嬉しいのかも知れないと言う事にしとこうかな。
そう言う事ならしゃあなしだろ。
さて、そうか、この剣の名前か、銘を刻まないといけないのか、これ程の業物になるとな。
そうだな、聖剣・・・とは言っても、エクスカリバーみたいな細身のロングソードでは無いしな・・・
何方かと言えばファルシオンタイプの剣になったからね・・・
そうだな、もう地球になぞると恐らく北欧に当たるエリアだろうし、北欧神話の聖剣に名を頂くか・・・
「聖剣レーヴァテイン、なんてどうかな?」
「おお、何だか強そうな名前じゃな、良い感じだ!がはははは。」
まさか地球の北欧神話に出て来る剣の名前だとか言えないので、取り敢えず頭を掻いて誤魔化しておく。
「んじゃ試し斬りでもしようかね~。」
飛空艇の甲板に巻藁を用意してみた。
「まずはの、そのまま普通に剣の斬れ味を試すと良いぞ。」
ガンテツに言われた通り、普通に巻藁を斬って見る、
何のストレスも無くザクっと小気味の良い音を立ててアッサリと斬れる。
この剣にマナを流して斬るとどうなると言うのか、既にかなりとんでもない切れ味だと思うんだけど。
オリハルコンの剣にマナを流せるなんて、私の常識を完全に逸脱したドワーフ製のオリハルコンの剣、まさに聖剣だとは思うけれど、マナを流さないでも十分に切れると思う。
「じゃあ、次はマナを流してやって見ろ、おもしれえから。
がはははははは。」
それじゃあやって見るかな。
属性の付与はしないで、普通にマナだけを放出して剣に纏わせる感じで、と。
巻藁を斬り付けると、何のストレスも無く刃は巻藁を素通りし、音も無く振り抜けられてしまう。
なんだこれ?
??? って感じで首を傾げて居ると、時間差で斬れた巻藁が、スゥっとズレて落ちる。
・・・・マジか。
達人が斬るとこんな風になると言う話は聞いた事があるが、自分がアッサリそれを再現出来てしまうとは思っても見なかった。
巻藁をもう一本用意した私は、早速試して見る事にした。
剣にマナをたっぷり纏わせると、巻藁にそっと近づき、ゆっくりと巻藁を斬る。
スピードを乗せて斬り付けるのでは無く、まるで刺身か何かを斬る様にスーッと刃を巻藁に通して見る。
また何のストレスも一切なく、刃は巻き藁を通り過ぎた。
そして時間差で巻藁は奇麗に切れて地面へと落ちた。
えーっと・・・・
「馬鹿じゃねーの? 何この狂った切れ味は!」
「がははははは、オモシレーだろ!」
「そう言う問題か? むしろ相手が斬られた事を理解出来ずに斬りかかって来られそうで嫌なんだが?」
「大丈夫じゃ、そう言う動きをしようとすればソヤツ自信が初めて斬られて居る事を認識してストンと斬り落されてしまうからな。 ソヤツの刃はお主には届かないと言う寸法じゃよ、がはははははは。」
とんでもない物作っちゃった気がしてならないんだが。
「はぁ、まぁ良いわ・・・、あ、そうだ、もう一個試したい事が。」
「ん?何じゃ?」
「私は魔法を開発して使えるようになったと言う話はしたわよね?」
「ほう、っつー事は、、わしもそれには興味が有る、やって見ろ。」
だよね、魔法剣が乗る聖剣を見てみたいよね~。
更にもう一本巻藁を用意した私は、剣に炎の魔法を付与して見る。
すると、これまでもミスリル製の剣で魔法剣をやったことはあったが、本家のミスリルさえ驚く程の親和性を見せた。
剣が炎を上げる事は無く、起った炭のように赤く輝き、剣の周囲には熱による大気の揺らぎを纏う。
これって、とんでもない事なのでは無いだろうか。
そのまま、巻藁を斬り付けて見ると、先程の様に何のストレスも無く刃は通り抜けた。
そして次の瞬間、キレて落ちる巻藁が、ゴッ、と言う音を立てて一瞬で燃えカスと化し、消し飛んだ。
これ、ヤバい奴じゃね?
その後、水、土、風と各魔法を付与してやって見たが、これが本当の魔法剣なのかと驚く程の結果となった。
恐るべき聖剣の実力と言う所だね。
ドワーフの技術スゲーな、マジで・・・
この剣はアキヒロにやって、同じ要領で細身のロングソード版を作ってカレイラに預けて見るとしよう。
とても楽しそうだ。
とんでもないパワーアップに成る事は間違いなさそうだからね、おもし・・・もとい、大変興味深い。
試し切りも終わったって事で、ガンテツにお手製の鞘を受け取って、レーヴァテインを鞘に入れて見ると、それはもう見事なまでにぴったりで驚かされる。
剣の後で拵えた鞘でもこうも上手くは行かない物だと思うけれど、これを剣より前に作ってあったと言うのだから不思議と言いたくなる。
それ程にしっくり来る鞘だった。
鞘に納めたこの剣を、MkⅢに邑雅を返す序でに一緒に送って置くとしよう、電脳通信で詳細は事前に伝えておこう。
早速電脳通信でMkⅢに連絡を取る。
『邑雅有難うね~、返す序でと言ってはなんなんだけど、完成した聖剣を一緒に送っとくから、アキヒロにでも使わせてやってくれると嬉しい。
オリハルコンの剣なのにマナが流せる優れモノよ。』
こんな感じで良いかなっと。んじゃストレージを繋げて邑雅とレーヴァテインを・・・っと、これで良し。
後は向うでMkⅢが受け取れば転送終わりっと。
「あ、そうそう、ガンちゃんさ、鞘の材質は何かしら、これ。」
「ああ、これはな、さっきアマルガムを凝固させるのに使ったオリハルコン末を鞘の材質の革の内側に吹き付けて作ったもんじゃ。」
「へぇ、そんな使い方もあるのね。
勉強になるわ~。」
良い事聞けた、カレイラ用のは私が全部作ってやる事にしよう。
鞘にも細工したいしな、カレイラに似合いそうな可愛らしい彫金か何かで。
私はガンちゃんに又来ると伝えて飛空艇で空中庭園へと帰る事にした。
何故って早速庭園に多々良場作って実践あるのみ、なのさっ。
体が覚えてるうちの方が身につくってもんでしょう?
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