第340話 短話:六芒状線建設開始・ドワーフとMkⅣ
短話:六芒状線建設開始
-MkⅣ-
さて、環状リニアは完成したけど、グルグル回らすだけじゃ芸が無いわよね。
やっぱ予定通り、環状線の6駅を繋いで環状線の内側を走る路線を作る必要が有ると思うのよ。
それと、路線同士が交差する箇所は全て駅を作る。
それにしても本当に、この島って言うかもうこのサイズになったら大陸って言っても良いと思うんだけど、日本と同じ地名ばかりなのに形は楕円形だわ、位置関係もおかしいわで変な感じでは有るんだけど、こうやって円形にリニア引いて、人口の多い都市に駅を置いて見たら丁度六等分くらいになったのよ、それを繋いで見たら六芒星に成るから敢えてこれはやって見るしかないって事に成った訳なんだけどね。
兎に角、先ずは三か所を繋ぐ事にして着工する事にした。
もうね、環状が完成した時に半分の報酬払ったからさ、皆やる気満々ですげー勢いで工事進むんだよ。
この調子だと任せきりでも良いかなってんで私は周囲の邪魔になりそうな脅威度の高い魔物の討伐で奔走してりゃ良いやってな位になってて少し楽になったよね。
道隆に丸投げしても後は大丈夫そうだしな、アイツにはスパイダーの砲をアームに改造したクリムゾン・クラブっていわゆる蟹を先払いでプレゼントしたら嬉々として陣頭指揮を執ってる。
アイツってば、前世ではインフラ整備したりする会社のエンジニアだったらしくて、元々こんな風な仕事してたらしいから、作る物が鉄道に変っただけだし任せてくれなんて豪語してたし、後はやらせときゃ良いわ。
重機みたいに使ってたしな、自分のカニw
まぁ、戦車では無くなった以上、重機で間違い無いけどなw
そう言えば変形機能そのまま残してあるんだが、変形機能も見事に使ってたよね。
砲身がアームになってるもんだから4本腕みたいになるけどね。
その4本腕全部見事に操ってて草。
好きこそ物の上手なれって奴なのかな?
何にせよ、これでやっとインフラ整備は私の手を完全に離れた事だし、これから冒険するぞ~、って何か忘れて無いかって?
ちゃんと覚えてるってば、魔王討伐でしょ、任せなさい、もう少しでアンドロイド4姉妹のレベルアップが完了するんだから、予定レベルに達したら凸りますからね。
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ドワーフとMkⅣ
それに、予定外に強力な味方が出来たしね~、龍王が三体か、すげぇ事だよ、これは。
そうだ、それはそうと、どうせ暇が出来た事だし、この大陸にも居るらしいドワーフを探して見るのも一興かな。
確かねぇ・・・一寸した小島に集団で住み着いてるって聞いたんだよね、種子島って奴なのかなぁ・・・
飛空艇に搭乗して、周囲の島々を巡る事にした、んだけど、その前に一つの可能性を思い付いた私は、先にあえて湖を探す事にした。
そうなのだ、島と言ったって海に有るとは限らない。
確か、私が大昔過ごした日本の湖にだって、多くの島が存在してたのだ。
確か全部で220位はあったかな?
その中でも、人の住める規模の島も幾つかあった筈。
何となくだけど私の勘が、そう言った湖の島にこそドワーフが住んで居ると告げて居る。
片っ端から湖を巡る。
ここは日本では無くてアトランタで、島国と言う規模では無くて大陸になって居る為に湖もずっと大きな物が多いし、そこにある島も、人が住める規模の物も多い気がするんだ。
そう言えばMkⅢが渡ったと言う猪苗代湖、あそこにも島があったな。
MkⅢは島には上陸して居ない様だけど、そう言う見落とした所に住んでたりすると言うフラグも捨てがたいしな。
この大陸、北海道に当たるエリアが存在しないので、北海道の地名になる湖が無い。
なので、十和田湖辺りからチェックして行こう。
十和田湖には8つの島がある、筈なんだけど・・・どれも小さすぎて生活圏とは成り得ないだろうな、これは。
じゃあ、十三湖の中島はどうだろう。
お、ここは生活出来そうな規模、しかも橋掛かってるじゃん!
飛空艇も、私のなら小型艇だし、降りられるか。
降りようとしたら、何やら変なキャンプ場みたいな施設があって、微妙に降ろせるサイズの土地に巡り合えず、島内には降ろせず、仕方が無いので橋の近くに降りる事にした。
飛空艇を降りて橋へと向かう。
橋を向うから渡って来る人が居た、見た所ドワーフっぽくは無いな。
軽く会釈をしつつ、すれ違う。
そして島へと上陸をする。
確か、橋から見れば左側がさっき飛空艇を降ろせそうで降ろせなかったキャンプ場っぽい奴だったから、右側が屋根が幾つか見えたエリアだろう、行くならそっちだな。
ぐるっと回って見はしたが、ドワーフのドの字も無かった、けど、ここはシジミ漁で成り立っている村らしく、本体がストレージにストックして居たシジミもそろそろ残り少なかったのでストックを増やす事は出来たよ。
次に訪れたのは五色沼群。
ここはMkⅢが渡った湖だよね。
ああ、MkⅢがスルーした島は既に廃墟と化した家がぽつんとある他は、朽ちかけた社が一つあるだけだった。
あ、待てよ?
MkⅢが見つけたダンジョンの入り口ってこの島の近くじゃん、成程、誰も住んで無いのは見て知ってたからスルーしたって事か、納得だ。
猪苗代湖にも言って見たが、翁島と言う島が一つあったけれど、そこにも廃墟と朽ちた社があるだけだった。
きっと、こう言うのが小さい湖の島に多いのは、湖の島が信仰対象になりやすいのではないか?
きっと廃墟は、社を護る
次に中禅寺湖に言って見たが、湖のサイズに見合わないような本当に小さな小島がポツンとあるだけだった。
この島、本当にチッパイ島なんだけど、名前だけはとても高尚だった。
その後は、湖自体が小さすぎて島のサイズが期待出来なかったりとかってのが多かったので、結構スルーして、もうこの最大級の島の有る琵琶湖以外に無いだろうって事で、琵琶湖は沖島へとやって来た。
予想通りと言うか、すっかり街が出来上がって居て、住んでる人口も多そうだ。
ここならば期待出来るだろうって事で、飛空艇を着水させ、船舶モードで、ちゃんと文明的な港として存在する護岸へと寄せ、降りて見たが、ちゃんとした街並みが広がって居て、人もごく普通のヒューマンだった。
でも、ここにドワーフが居なければ他の島ももはや期待出来そうに無かったので、聞き込みをする事にした。
まぁ、初めは誰に聞いてもドワーフの住んで居る事実は知らないらしかった、が、刃物と金物の専門店へと入って見た所、何だか見事な鍛造品と思えるダマスカスになった包丁なんかを置いて居るので、あ、これはもはや見つけたも同然か、と思いながら聴き込みをして見る事にした。
「御免下さい、すみませんが、この見事な鍛造の刃物は、何方で作られて居るのでしょう?」
きっと街の人々も知らなかったと言う事はドワーフの存在は秘匿されて居るかもしれないと思った私は、こんな風に誘導尋問をしようと遠回しに聞いて見た。
「お、いらっしゃい、珍しいね、見ない顔だ。
この包丁の事か、これは、アレだ、俺がコッソリ打ってるんだ。」
眼が泳いでいる店主を見逃さなかった私は、さらに突っ込む事にした。
「ああ、失礼しました、私は、平泉の刀鍛冶、初代長船の弟子で、初代荒船出雲守の銘を頂いて居る刀鍛冶職人です。
このダマスカス加減が大変に見事だったものですから、是非打って居る所をお見せ頂こうかと、願わくば私にも槌を握らせて頂けると幸いかと思いまして。」
嘘は言って無いわよ、私じゃ無いけど並列存在なんだから、私でもあるもん。
すると店主は驚いたような顔をして。
「すみません、今は打って居る物が無いんです。
この小さな島の中での商売ですので、ここに並べてある物が無くなればまた打つ気ではありますが。」
苦しい良い訳みたいな事言い出したので、ここでトドメでも刺して見よう。
「では、せめて多々良と工房だけでも見学させては貰えませんか?」
こう切り返して見た。
普通ならこの質問への答えは、素人をやすやすと立ち入らせて怪我でもされたら困るので、等と言う所だけど、私は既に刀鍛冶であると名乗って居るのでこの言い訳は出来ないだろ、多分この店の裏に工房は無い。
この、工房の見学を、に対しての答えは流石に持ち合わせて居なかった店主は、はぁっと一つ大きな溜息をつくと、こう切り出した。
「本物のプロの鍛冶師の方には流石に敵いませんね、実は私は鍛冶は出来ません。」
「やはりそうですか、槌ダコが出来ていないようなのでそうだと思いました。
きっと秘匿したいのでしょうけれど、私はとっても興味が有ります。
それでは、この見事な包丁は何方が?」
「内密にお願いしたいのですが、この島には、シジミ漁やマス漁で生計を立てる以外のもう一つの顔が有ります。」
「大丈夫ですよ、私も鍛冶師の端くれ、自分の独自の技は秘匿したいものですし、口の堅さには自信があります。」
「そうですか、では、お答えします、この島の街並みは、海岸線沿いに島の西側に偏って存在して居ます。
では東側はどうなって居るのかと言う事なのですが、保護自然林になって居ます。
ですがそれは、とある秘密を護る為です。」
「その秘密と言うのは?」
「その自然林の奥に、ドワーフの集落があります。
彼らは、少数民族である事も然る事ながら、あまり外との交流を持つ事を良しとしません。
なので、私が彼らに鉄の提供をし、刃物等を買い取り、彼らの大好きな趣向品、酒を彼らに売って生計を立てて居るのです。」
「成程、ここで売っている刃物等は売れずとも食っていく為の手段として酒を仕入れてドワーフに売って居るのですか、納得しました。」
「どうしても工房の見学をされたいと言う事でしたし、貴方が鍛冶の職を持って居ると言う事で、信用して、紹介状を書いて差し上げます。
彼らに手土産を忘れずに行ってくれれば、彼らの態度も軟化すると思います。」
そう言って、さらさらと手紙を書くと、見事な和紙の透かし入りの封筒に入れ、私に手渡してくれた。
「ありがとう御座います、早速行って見ます。
ああ、それと、彼らへの手土産に、異国のお酒を持って居るので、此方にも例として一樽置いて行きます、
ご賞味ください。」
そう言って、本体がこっそり地下の蔵で寝かしていたブランデーを一樽、置いて行く事にした。
本体にバレたら怒られるんじゃ無いかって?大丈夫よ、ドワーフに出会った時の為にって言いながら仕込んでた奴だから、ドワーフに会えるなら問題は無い筈。
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東エリアの森の中を長々と歩き回り、すっかり日が落ちかけていた、その時、ようやく集落らしき物を見つけた、この付近は二回程通り過ぎた筈だったが、日が落ちかけ、家で焚く明りが無いと見つけられなかったのではなかろうか。
兎に角集落を見つけたのだけれど、予想に反して建物が何だかでっけえ。
こんなだから見つけられなかったのだろう、ちゃんと詳しく聞いて置くんだった。
まさかこんなマンションみたいな建物だったなんてな、てっきり崖か何かかと思ってたよ。
近付くと、広場のような所で複数家族で賑やかに食事していたであろうと思われる者達が一斉に建物に逃げ込んでしまった。
それにしても、ドワーフと言うと4頭身ぐらいの半小人みたいのを想像して居たんだけど、この広場に置いて在る簡易テーブルが妙にデケエ。
まさかな、とか思いつつ、大声で、酒を持って居る事と、街の刃物屋で紹介を受けた鍛冶職人である事を叫んでみる。
すると、予想を超えた大きな扉が次々と開き、戸の隙間からこっちを覗く頭が見えて来たのだけれど、確かに4頭身なのは間違い無いのだが、小さく無かった、逆にデッケーの。
平均身長は恐らく、180㎝位か。
デカい人等は、240はゆうに有りそうだ。
う~ん、異世界物ラノベ知識が逆に邪魔になる事、多いんだよな、この世界。
嘘じゃ無い事を証明する為に、ストレージから酒樽を三つ程取り出すと、姿だけはお約束の髭を携えた4頭身程の人が、1人近付いて来た。
「どうぞ、一口試飲して見て下さい。」
私がそう言って、樽からくみ上げたブランデーを差し出すと、先ず香りをチェックしたドワーフが、初めて口を開く。
「何て豊潤で芳しいのかしら!」
髭面だよな!、女性だったんかぁ~い!
どの面下げて甲高い声出しとんねんっ!
身長も170位あるしよ。
更に一口舐めるように確かめ、更に叫んだ。
「こんなうまい酒、初めてよっ!」
それは何よりですが、その顔でその声出されると色々と問題ありそうなんだけどどうなの?
こうなるとゾロゾロと皆出て来て、思い思いに声を掛けて来る。
「わしにも一口くれんか?」
「こっちにもくれ!」
やいのやいの。
一気に賑やかな食卓、みたいなのが戻って来る。
全員一口づつ味見を終えると、私は一気に客人扱いされる事と成ったのであった。
どうなのこの変わりよう。
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