第338話 人材・・・派遣?

       人材・・・派遣?

「お前ら、心機一転、頑張れよな。」

「「なにから何まですいやせん、女神エリー様。」」

 ちょ!お前ら! あの教会の像が私っていつから気付いてた!?

「ちょ!待って! あんたらあの教会の女神像のモデルが私っていつ気が付いた!?」

「姉さんに治療して貰った時っすね。」

「そうッス、あんなアッサリ兄貴を助けて貰えるなんて女神様しかあり得ないっすよ。」

 ち、こいつらまさかあの教会に出入りしてたとは、参ったね。

「私はあの像のモデルになっただけで私が本気で女神だったりする訳じゃ無いからね?」

「解ってますよ、そう言う事にしときます、誰にも言いませんから。」

「どうしても私を女神に仕立て上げたい訳?

 違うっつってんだろ?」

「判りましたよそう言う事にしときます、あねさん。」

 あねさんて、何処のヤクザの姉御なん?

 それもどうかと思うのよ、私的には。

「あーもうわかったから! でも私はマジで女神なんかじゃ無いからね? さぁもう行けよ、あそこの街門が街の入り口だからね、私の紹介状渡すのよ?」

「「はい、お世話になりやした!」」

 街門へと向かうブラブラを見送る事にした。

 すると、門を護る衛兵に何故か即拘束されて連れて行かれそうになって居るので、慌てて短距離転移で門へ向かった。

「ちょっと待って、何があったの?」

「あ、これはエリー様、こいつらあろう事か貴女の名を語ってラインハルト様に謁見しようとして居たのです!」

「ああ、スマンスマン、こいつ等こっちの大陸で何か悪い事してた?」

「あ、いえ、そう言う訳では無く、明らかに人相が悪いので。」

「御免ね、確かにこいつら人相は悪いわ。一応その紹介状も私の渡した物で間違いなく本物だから。」

「左様でしたか、失礼しました。」

「判ったかこのクソ衛兵ども!」

 なんかすぐこう言う反応するなよ、小物感出まくりだなおい。

「おい、まて兄ブラ、お前らのそういう態度が尚更疑われる原因なんだぞ?」

「そうっスよ、兄貴、もう少し冷静になって下さいよ。」

「お前に言われたくねぇ・・・」

 そこで兄弟喧嘩しないように・・・

「ま、まぁ、ここは私に免じて、ね?

 っつーかラインハルトちゃん居るわよね、この際私が直接こいつら連れて行くわ。」

「あ、はい、エリー様達ならアポイント無しでも大丈夫なので、お通り下さい。」

「ん、ありがと、ちなみに此奴ら、あんた達よりも上の立場に成るかも知れないからヨロシクね?」

「「「「「え? えぇぇぇ~~~~???」」」」」

 衛兵一同目を丸くして驚いている。

「それは、どう言う・・・」

「こいつら、私の魔導書の読者でさ、兄の方は光と闇魔法、医療魔法なんかに特化した魔導士、弟の方は火と水の特化型魔導士なのよ。

 第4階梯迄の魔法が既に使えるから、強いわよ?

 まだ成長中だから後々は弟は炎と氷の魔法が使えると思うわよ。」

「そうっスよ、俺達ゃ強いんす!」

 胸を張る弟ブラ。

「俺は上位の魔法とか無いんすか?師匠。」

 今度は師匠かよ、色々私に対する呼び名が多いやっちゃな、兄ブラよ。

「光と闇の魔法は既に初めから上位属性だからあんたの才能が凄いだけだから気にしないの。

 それに、人を治せる医療魔法が使えると言う事は医療知識も持って居るんだからあんたはこの魔法との親和性が半端じゃ無いんだから自信持ちなさい。

 それに、まだ使えないみたいだけどアンタの魔力量的には、今後の成長次第で欠損も治せる大司祭も夢じゃ無いんだからさ。」

「だ、大司祭っすか・・・」

「精々ラインハルトちゃんに所作とか習って立派な将軍や宰相目指しなさいな。」

「カッコ良いじゃ無いの、魔導将軍とか、大司祭の宰相閣下とかさ。」

「「俺達、そこまで考えて無かった、カッコイイっス、それに最高っすね、頑張るっすよ!」」

 兄弟そろって全く同じセリフが丸被りで同時に出るって、こいつら良く鑑定したら双子だったんだな、その割に区別着けやすいけどな。

 城に凸って、執務室に直に向かい、無造作に戸をあけながら声を掛けて見る。

「ラインハルトちゃん、居る? ひっさしぶり~。」

 近衛兵が一瞬反応したが、私の声を認識して踏みとどまる。

 ここの近衛兵ってば、私に欠損とか治して貰った元敵兵の内の早めに降参して死なずに済んだ連中だから良く覚えてるらしい・・・

「やぁ、エリーさん、久しぶり、どうしました?」

「ちょっとこの国で雇って欲しい人材が居るんだけど。」

「へぇ、エリーさんの紹介じゃ相当腕が立つんですか?」

「この国に未だ魔導士系の兵居ないでしょう?

 そこでこいつらを紹介してやろうと言う事に成ったのだけど。」

「ほう、素晴らしいですね、僕も魔法は使えませんからぜひ欲しい人材です。」

「あんたら入ってらっしゃい。」

「「へい、失礼しやす。」」

「見た事は有るかもしれないわ、東の大陸の出身だし、以前はちょっとね。」

「ああ、覚えてますよ、女性から財布を掏った所を一度僕が取り押さえてます、確か・・・ブラ・・・?」

「おい、お前らラインハルトにも取り押さえられてたのかよ。」

「「す、すいやせん・・・」」

「でもエリーさんがこいつらを雇って欲しいと言うって事は、そう言う事なんですね?」

「ええ、そうよ、もう二度と悪さはしないと誓ってくれたわ、鑑定しても反省ってなってたから大丈夫でしょ、それに、魔法に目覚めた事で悪い事しなくても稼げるんじゃ無いかって気が付いたみたい。

 冒険者登録してあったしな。」

「判りました、もしも悪さをするようなら僕が斬りますから、置いてってください。

 立派な王宮勤めに教育しますよ。」

「ラインハルトちゃんも鑑定スキル持ってたから判るでしょうけど、こいつらの魔法結構有用だから、こき使ってやってね。

 あ、そうそう、これもあげるわ。」

「これは?」

「スマホって言う魔道具、っつーかアーティファクトデバイス、第三階梯迄の魔法なら全部使えるようになる反側的な魔道具よ。」

「三個も頂いて良いんですか?」

「いっぱいあるから気にしないでね。

 もしかすると兄ブラの方が創造系の闇魔法使えるからその内コイツが同じ物を量産出来るかも知れないけどな。」

「助かります、今は復興の真っ最中ですから、有能な人材は少しでも欲しい所ですし。

 こんな魔道具まで頂けるなんて。」

「じゃあ、こいつらよろしくね、これまでろくな事して来なかった分、士官出来るなら何でもするっつってるからさぁ。

 私は帰るわ、又そのうち遊びに来るわね。」

「はい、今は人材がいくら居ても足りない状況ですし、助かりますよ。

 いつでもお越し下さい、大賢者エリー殿。」

 軽く挨拶を済ませて転移魔法で飛空艇へと帰った。

 ----

「ただいまー。」

「師匠~! お帰りなさい。

 今回は三日で帰って来てくれた~。」

 パメラが飛びついてくる。

「ごめんごめん、もっと早く帰って来るつもりだったんだけどね~、ちょっと知人が巻き込まれてたもんだから余計な時間が掛かっちゃったよ。

 明日はギルドに報告入れて、件のダンジョンの調整も済んだと報告しないといけないしね。」

「流石師匠、ダンジョンを調整できちゃうんですね。」

 横からタイカンが口を挟んで来た。

「いや、闇属性が使えればダンジョンの調整は出来るのよ?」

「へぇ、じゃあパメラにも出来るのかなぁ。」

 興味ありそうにボクスが会話に入って来た。

「そうねぇ、パメラは未だ闇魔法のレベルがそこまで高く無いけど、頑張って研鑽積んで行けば出来るようになるわよ。

 闇魔法の卒業試験としてダンジョン作りは面白いかもね~。」

 他愛も無い話に花を咲かせている場合では無かった、ギルドに行って報告しなきゃな。

 ---

「あ!エリーさん、お疲れ様です! ダンジョンどうでした?」

「ああ、あのダンジョンさ、もっと厄介な問題抱えてたわ、ダンジョンコアルームの隣に隠し部屋があってね、そこでダンジョンマスターが瀕死になってたわよ、コアに魔力吸い尽くされて死に掛けてた。」

「もしかして、それが原因だったのですか?ダンジョンマスターから吸い尽くしちゃって暴走したコアが冒険者を屠って養分にしてたって事なんですね?」

 勝手に想像を膨らませて勘違いするミューちゃん、間抜け可愛いですw

 でもおかげでそう言う事にしちゃったおかげでダンジョンマスターは死んだ事になり、ブラブラの件は有耶無耶になってくれた。

「まぁ、そんな所ね、で、さ、ダンジョン無くなるのは困るでしょう?

 だから私が錬金術でダンジョンコアの調整済ませてあげたから、もうダンジョンマスターも必要無いし、階層も増えて50階層になったみたいよ。

 レベル調整も済んでるから急に強いのが出たり一階からいきなり最下層の出口のない部屋に落とされてしかもモンスターが無尽蔵に沸くとんでもないトラップも無くなったわよ。

 後ね、50階層迄攻略出来た人は、神話級の大剣が突き刺さるダンジョンコアルームへご招待にしたから。

 あ、ちなみにダンジョンコアルームで厄介な裏のラスボスが出るから挑戦するか辞めるかは前の部屋で選べるようにしといたからもう安心よねっ!」

 とウインクをして見たら、ミューがドン引き・・・

「エリーさん、デタラメな人だとは思ったけど何処までデタラメなんです?? 何でダンジョンコアの調整が出来たりするんです? 神話級の大剣ってどっから出て来ました??

 裏ボスって、すっごくヤな予感しかしないんですけど。」

「あははは、気のせい気のせい、気にする事じゃ無いわよ、ダンジョンコアの調整が出来るのは私が錬金術師だからだしさ、折角ギルドがダンジョン管理するんだから入場料取ったら? ポーションとか出るようにしたし。」

 私の話に遠い目をして惚け顔になるミューだった。

 奥で聞いてたギルマスも惚け顔になってた気がするけど気のせいと言う事で。

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