第337話 ダンジョンコアルーム
ダンジョンコアルーム
-MkⅢ-
ハイ、と言う訳でダンジョンに戻って参りました、MkⅢなんですけども・・・
え? 何でいきなりそんなハイテンションかって?
ヤだなぁ、決まってるじゃないですか~、こんなハイテンションなのって言えば。
ねぇ?
又してもマナの異常消耗による、ハイって奴です~。
だって結局龍王召喚ダブルしないと厳しいんだもん。
昨日程じゃ無いのよ?だって精霊は半分しか出して無いんだもん、守る人は居ないからね。
それでもこの短時間でここまでゴリゴリ持って行かれると何だか気持ち良いのよ、判って貰えるかなぁ???
マゾとかじゃ無いわよ、なんつうかさ、すげえ勢いで持って行かれて意識飛びそうになるのをエンドルフィンあたりの分泌物がダバダバ出た事で辛うじて意識がある状態って言うかな、意識保つ為にこう成ってる訳よ。
どう?前回よか未だ冷静に分析出来てるでしょう?
でも私ってば誰に説明してるんだろう? 判んねぇ~。
たぁ~ンのしぃ~! あははははははははは。
二回目のクジャタを倒して、徐々に意識が元に戻ってきた・・・
うう、又やっちまった、まぁ今回は私だけで誰も見て無いから良いって事にしとこう。
クジャタが倒れた事で出現した扉を無視して、辺りを見渡すと、あったよ、もう一個、ひっそり出て来た扉。
その扉を開けると、祭壇が出来上がって居て、何だか随分立派な台座にコアが鎮座している。
こいつを外して収納に仕舞ってしまえばこのダンジョンは無くなる事だろう。
だけど、私はこのダンジョンのバランス調整を買って出てやろうとここに来たので、そのつもりはない。
どうしても変更が無理なら私が持ってるダンジョンコアとゴッソリ交換して作り変えてしまえばいいだろう。
先ずはこのダンジョンのオーナーの魔力をチェックしてみたんだけど・・・あれ?
良く知らない魔力・・・
おっかしいなぁ、てっきりハイエルフの誰かじゃ無いかと思ったんだけどなぁ・・・
でも、魔力は知らないのに何故か知ってる人物のような気はしてるんだ。
たまに居るらしいけどな、突如魔法回路が目覚める人。
知り合いな気がするのは少し興味あるのよね。
でもさ、ネクロノミコン持ってる人くらいしかダンジョンコアは作れないと思うんだけどね、そんな人に心当たりが無い、う~ん・・・
一応ここのダンジョンが出来たのっていつかと聞いて見たらさ、まだ一年経ってねぇらしいのよ。
ってか発見したのがごくごく最近らしいから下手にするとひと月経ってない可能性まである。
若いダンジョンだから階層が浅いのかも知れない、そしてマナ提供者が結構な魔力の持ち主だからこんな馬鹿つえーボスが出来ちゃったり、階層が変わった途端に雑魚モンスターのレベルが跳ね上がったりってな事に成っちゃってんじゃ無いかと想定できる。
そんなマナ保有量の、知り合いか、しかもネクロノミコン所有者?ンなの居たっけ?
その枠で考えるとキュルレンシス君て事に成るんだけど、まさかあの人は里から出ないだろ?
そうなると考えられるのは、誰かのネクロノミコンが盗まれたか、写本されたか・・・それを手に入れたお陰で覚醒した可能性、って所か。
う~ん・・・
悩んで居ると、私が入って来た扉とは違う位置にいきなり扉が出現して、それが向う側から開いた・・・
え???
「だ、誰かは知らんが、俺の兄貴を助けてくれ!」
あ、コイツ誰だっけ、見た事あるよな・・・
「あれ?お前誰だっけ、見た事あるよな?」
「あ、テメェは! ここであったが百年目!
俺達は、ブラックブラザース!!!」
「ああ、ブラブラか、こんな所で何してんの、あんた。」
「ブラブラ言うな! ってか、こんな時に敵対してる場合じゃねぇや、頼む、兄貴を助けてくれ!」
「知らんがな、っつーか、助けが来て助けられるような状態な訳??」
「う・・・それは俺にも判んねーッス、だけど、藁にも縋りたいんすよ、見に来てくれないっすか?」
随分と素直になったわね、弟ブラブラは。
「あぁ、もう、面倒だけど仕方ないわね、多分だけどもし助ける事が出来るとすれば私以外には居ないんだろうから見てあげるわよ。」
弟ブラの出て来た部屋へはいると、そこにはほぼ干からびたような状態で横たわる兄ブラが、肩で息をしながらもはや手遅れでは無いかと言う程の状況だった。
このままではダメだろうと言う事で、先ずはSPポーションを二本も飲ませ、マナチャージで私のマナを分け与えたんだけど、又もハイになりそうになる・・・
これ、結構きついわね。
で、5割程マナを戻せたので、急いでダンジョンコアを挿げ替えて私のマナを流して安定させ、直ぐにリンクを切る。
ダンジョンコアはある程度マナを流し込むと勝手にリンクが構築されるから、自力でリンクを切らないとこの兄ブラのようにマナが枯渇するまで吸い上げられて干からびてお亡くなりになるのだ。
まぁ、今私が与えたマナ量ならば、もっと安定したレベル設定のダンジョンに成るだろう。
それと、やたら牛系の魔物が多かった理由は、意識を取り戻した兄ブラの証言で明らかになった。
「ああ・・・あんただったのか、済まねぇ、しつこく追い回して迷惑かけた俺なんかを助けてくれるとは。
あんたの心意気、受け取りやした、俺達、もう悪さはしねぇ、足洗いやす。」
「ふぅん、今度は本当に反省したみたいね。」
「はい、兄貴の言う通りでさぁ、俺ももう、悪さはしねぇと誓うよ、港街ローデストの女神エリーに誓う。」
ちょ、まてまて! それ私だからな!?
ってか何時の間に信徒に成ったんだ??
でもまぁ、誓いを立てるくらいだし、まぁ一応は信用してやろうかな。
「所であんた等さぁ、何でダンジョンコア持ってたり、コアにマナ注ぎ込んだり出来てんの?
ネクロノミコン、どっかからかっぱらった?」
「ち、違う! これは、ローデストのシスターの持ってた聖書みてぇののタイトルが、時なんか読めない筈の俺に読めたから、読ませて貰ったんだ、そしたらよぉ、何でか、読んだ所が全部記憶出来ちゃってよ、俺って天才じゃね?っとか言ってよ、その、まだ語彙力が足りねぇくて説明しきれねぇけどな、そのぉ・・・」
「つまり、読めなかった児が何故か読めて、読んでるうちにその読んだ所全部忘れずに覚えてた事に気が付いた、と。
で、嬉しくなって読破したって事か。」
「おお、そ、そうそう、そんな感じだ!」
ふむ、こりゃネクロノミコンに仕込んでたナノマシンが進化しやがったな、それにしても、才能はあったって事だよな、今鑑定してもこいつ等のMP結構あるぞ?
しかも電脳化されてるしな、いつの間にか知らんが。
「成程ね、じゃあ、あんたってさ、今、光魔法、闇魔法、無属性と使えるって事よね?」
「ああ、使える。 丸暗記しただけでまだ試した事は無いけど、多分医療魔法ってのも使えるぜ。」
兄ブラが答えた。
そうか、医療魔法が使えるかも知れないけれど、まだ試した事も無いし、診断で確認するも、SPやMPは見る事も出来ないし、鑑定できなきゃ判らなかっただけでなく、SPを回復させる魔法は無いから、SPポーション持って無ければ無理だよな。
「そうかそうか、弟の方は、炎と水か。
お前ら、良かったな、こっちの大陸ではお尋ね者じゃ無いんだろ?
仕官できるよ? お前らの魔法が有れば。」
「「な!? し、士官? 俺達が??」」
「英雄王子のラインハルトは知ってる?」
「「はい、有名人っすから。」」
この間崩壊したルージア帝国を知ってるわよね?」
「「え?あの国崩壊したんすか?」」
「成程、情報が回ってくる直前にこのダンジョンを作って幽閉されてたって訳ね。」
「そうなんスか、俺がこのダンジョン作ろうと思ったのって、あんたを待ち構える為の罠にしようとしたんすよ。」
「やっぱそうか、だからあんなに悪意に満ちた構造してたのね。」
「い、いやだなぁ、悪意に満ちてるだなんて~。」
「ほ、ホントっス、何の事っすかねぇ、兄貴。」
「まぁ私はそこは咎めないわよ、あんた達が心の底から改心したって言い切れそうだしね。」
「ああ、すいやせん。」
「兎に角、そのルージアが崩壊して、その国を復興して新生国家にする為にその英雄王子さんが奮起したのよ、だからね、あの剣技は凄いけど魔法が使えないラインハルトさんのお手伝いをして欲しいと思う訳なのよ、出来るわよね?」
「本当にあっしらにそんなすげえ人のお手伝いが出来るんスかね。」
「出来るわよ、出来ると言いなさい、出来ないなんて口が裂けたって言うなよ?」
「「は、はい、出来る、とは言い切れないけど努力しやす。」」
「仕方ないわね、及第点と言う所ね。
私が紹介状を書いてあげるから、彼の所に行きなさい。
それと、これを彼に持って行きなさいな。」
「そう言って、ラインハルト用に調整したフェンリルギアをガシャのカプセルっぽい器に座標固定した亜空間に閉じ込めてあるものと、彼への此奴らの紹介状、それと彼の国用にコピーしたネクロノミコンを一冊。
それと、アーティファクトも有った方が良いだろうから、スマホを三台程入れたバッグを手渡し、ルージアの街壁前に転移し、彼らを送り出してやる事にした。
「お前ら、心機一転、頑張れよな。」
「「なにから何まですいやせん、女神エリー様。」」
ちょ!お前ら! あの教会の像が私っていつから気付いてた!?
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