第336話 MkⅢの一人反省会

       MkⅢの一人反省会

 ああ、もう。

 何でこうなった!

 精々、精霊女王オールキャストだけで良かったんじゃ無いのかな・・・完全に失敗だ。

 まさかあんなスゲェ量のマナを吸い上げられると迄思って無かったわ・・・

 お陰でナチュラルハイな状態になっちゃってあんな痴態を晒す羽目に成るとは・・・

 はぁ~・・・生きて行くのが嫌になる位恥ずかしい。

 まさか龍王二重召喚があんなにマナ食うとは思わなかったわよ。

 MkⅣじゃ無いんだからあんな狂人さながらの高笑いしながら暴れ回るなんかどうかしてたわ、マジで。

 しかも、何これ!

 こんなヤベー物まで作っちゃって!

 なんなのよこの大剣!

 ベースの素材がアルミ箔だしさ、このサイズで刃の重さ20gしかネェんだし!

 グリップの材質的にグリップだって200g無い位、要は全体の重さ200g強っておかしいだろ、こんな刃渡り1m50㎝もあるような巨大なディフェンダー系の大剣がこの重さって。

 しかもアダマンタイトに錬成したんだから時間停止が掛かってて、時間停止を解除しない限り絶対に破壊できない事に成ってるし。

 何よりもこんな規格外な物に付けちゃった名前が更に悪い!

 なんだよ、ラグナロクって・・・”神々の黄昏”、最後の聖戦と言う意味もあるけど、この名を冠したって事は神殺しの剣の名前な筈だよな?

 まさに神殺しの剣の性能を誇るって事に成っちゃうじゃん。

 剣で防げば魔法すら打ち消せるし、しかもこの薄~い向う側が透けそうなアルミ箔の剣で切りつければ切れない物なんか無いだろ?

 時間停止してるから強度も折り紙付きだしね。

 そんでここで問題になるのがこの剣をどうやって帯剣するかなんだけど・・・

 やっぱ背負う形にしないと危なさそう、いやむしろ背負った所で剥き出しのままだと知らんうちに色々切れてそうでむっちゃくちゃこえぇ・・・

 刃渡り150㎝はやり過ぎたわよね~・・・

 両手で使うタイプの長いグリップを含めると210cmもある。

 私は身長148㎝しか無いから私がこれ振ると私が振ってるのか私が振られてるのか良く判らん位の状態だ。

 自分の身長よりも刃渡りが2cm長いのよ・・・

 そこに60㎝のグリップ、う~ん・・・

 長刀に変更させたので今更キースに使わせる訳にも行かないし、どうしましょう。

 ってかまずはこれを背負う為の鞘が必要よね。

 アダマンタイトだから鞘もアダマンタイトにしないと全部切れちゃうしな、この際だ、贅沢な仕様にしてやろう。

 この間の炎龍の皮を使って一点物の豪華な装飾付きの鞘を作ってそれを時間停止させてアダマンタイトに仕上げる。

 ハイテンションで作っちゃった剣だからって事で、この際デタラメに豪華な装飾にしてやったら、マジで鞘に入れた状態からヤバさがにじみ出るものになってしまった。

 でもまぁ、そうよね、ドラゴンの皮使ってる時点で、それを倒した実績が有ると言う認識になって然るべきだもんね。

 そこに、希少金属や魔石で凝った装飾してありゃとんでもない一点物になるわね、ここでもやらかした感は強いけどもう今更・・・

 で、こんな物お遊びで作っては見た物のどうしたら良いか判らんから、ダンジョン一個作ってそこのダンジョンコアの間に台座作って置いとこうかなw

 伝説の剣の洞窟とかそんな名前のダンジョン、楽しそうだよね。

 まぁ私の作ったコアと私のマナで作るダンジョンだから200階層超えそうだけどな。

 こんなダンジョンを作る場所にも心当たりがあって、川もあって草原が広がってて山も森も近くに存在する、こんな立地で街が無いと言う謎エリアが有ったので、そこの山の中腹辺りに作る事に決定。んで登山道の入り口付近に街が作れそうな、魔物を遮る結界領域作って放置。

 うん、このプランで行くか、明日にでも早速作りに行こう。

 ああ、私が助けたあのパーティーだけど、私の痴態を見なかった事にさせる為に電脳化した上でハッキングして記憶操作しちゃった。

 やり過ぎって思った人挙手!

 結構いるわねw

 でも私は二度とあんな痴態を晒す気は無いし、黒歴史にもしたく無いので見た者は容赦している場合じゃ無いのよ!

 始末するのは流石に、最後の生き残りパーティーだしなぁ。

 私の結論、やらかしまくった事だけは認める。

 でも反省はしない!

 二度としないと誓うだけだ。

 さて、メンタルも修復出来たって事で、例のパーティー連れてギルドへ。

「ただいま~。」

 まだ一日しか経って居ないせいか、誰もが驚く以外に無かったようだ。

「あ、あの、エリーさん、もう攻略したんですか?」

「うん、そうだけど?」

「あの、先行してた方々は?」

「この子達しか生き残って無かったわよ、この子等もかなりヤバそうだったけど。」

「青き月の輝きの皆さん! 良く生還されました、お帰りなさい!」

 ミューが目に涙を湛えて生還を喜んで居る。

 これ迄に泣く事が出来たホムンクルスって居なかった気がするんだが、この子は何体も作るうちに出来上がった新型なんだろうね、きっと。

「ミューちゃん、後はこれね、タグがそこら中に落ちてたわよ。」

「こんなに・・・皆さんお亡くなりになっちゃったんでしょうね。」

「なんかバランスに問題の有るダンジョンだったからねぇ。

 例えば前の階層から突如出る魔物の強さが桁外れに跳ね上がったりとか・・・

 突然だだっ広いフィールドに成って常軌を逸した数の魔物が一斉に襲い掛かって来る、とかね。」

 一階層から五階層のボス部屋前までならまぁ、Dランク位の冒険者でも行けるかと思うんだけどね。

 その先に行くとガラッと別のダンジョンなんじゃ無いかって程に様変わりしちゃうからね~、そこが今回の事件の発端じゃ無いかな?」

「そうですか、ですが、ここの所数カ月で急にそんな事故が頻発してたんです、それ迄は何も・・・」

「って事は、急に変質したって事なのか。

 こいつ等が囚われてた閉鎖部屋も、無尽蔵に魔物が沸くモンスターハウス状態だったらしいしなぁ。」

「ああ、俺達も、これまで大丈夫だった通路を歩いて居て急に、これ迄存在して居なかった落とし穴のトラップに掛かってあそこに落とされたんだよ。」

 割って入ったフィガロがとんでもなく重要な情報を今更のように話し出した。

「何だって? それが本当なら閉鎖する必要があるわね。」

「どう言う事でしょう。」

「これは私が作ったダンジョンコアなんだけど、これにマナを注ぎ込んでやると、異空間が発生、ダンジョンが構成されるのよ。

 そしてダンジョンコアにマナを注ぎ込んだ者の意思が反映してその通りのダンジョンが完成する訳なのよ。」

「ちょっと待って下さい、エリーさん、突然むっちゃくちゃ重要な情報急にぶっこまないで下さい、理解が追い付いて行かないです・・・」

「ああ、気のせい気のせい、で、つまり、ダンジョンが急に変質する事は、ほぼ、無いって事なのよ。

 それが起きたって言う事は、誰かがダンジョンを攻略してダンジョンコアを発見、そしてダンジョンコアに、元のダンジョンマスターを超えるマナを注ぎ込んで変質させたと考えるしか無い訳なのだけど・・・

 私の知る限り、そんな事が出来るのは私の身内にしか居ない、筈なのよね・・・」

「どう言う事です?」

「私の知人位しかそんな事が出来うる人物が居ないのよ。

 元々のダンジョンは多分、私の知人のハイエルフ、タカシ・タナカの作ったコアと、タカシの生みだしたホムンクルスをダンジョンマスターにする事によって作られた筈。

 そしてそんな技術を知って居るのは私を含むハイエルフ数名と、私が少しだけ世に出した、真の魔導書であるネクロノミコンに記載されているだけに留まる。

 そのネクロノミコンも、親和性の有る属性等の記事しか読む事が出来ない事に成って居るので正直な話そんなに普及している筈が無いのよ。」

 属性毎に切り分けたグリモワールにはダンジョンコアに関しての記事は掲載して居ないしなぁ・・・

 在り得るとしたら・・・最近ハイエルフに成った人物かタカシ本人の並列存在か・・・

 可能性的には、テディーかタカシの並列存在、4体目5体目くらいになると劣化が激しくて性格に難が出たりする事があるから、その辺りの暴走・・・とか。

 キュルレンシスは並列作る必要も無いし、作らないと思うんだよね。

「ん~・・・もう一度潜って、ダンジョンコアルームを探して見る必要が有るかもしれないわね。」

 こうして、もう一度ダンジョンの探索をする羽目になったのだった。

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