第331話 ルージア再生
ルージア再生
-MkⅢ-
「ハイエルフ様、有難う御座いました、お陰で恨みもすっかり晴らす事が出来ました。」
エルフ達の中で、すっかり一人、リーダー的な子が出来たらしく、代表して礼を言われた。
「良かったわね、貴女達、ちなみに帰る森はあるの?
良ければ私の世界樹の元で暮らしてみてはどう?」
「よろしいのですか?
でしたら、里の者達も一緒に引っ越しをさせて頂いても宜しいですか?後数名しか残ってはいないと思いますけれど。」
「構わないわよ、うちの世界樹の元で暮らしてる子達も大歓迎だと思うわよ?」
こうしてエルフ達は、空中庭園の世界樹の元で生活する事に成った。
さらに・・・
「あの、ハイエルフのエリー様、我ら亜人は、里へ帰りたいと思って居りますが、拳聖オーブ様はあの勇者達に付いて旅をして居るのですか?」
「うん、そうよ?」
「拳聖様に修行を付けて頂きたいと思ったのですが。」
「成程ね、でもね、あの子に修行を付けたのは私なのだけど。」
「では、私達を弟子にして頂いても宜しいでしょうか?」
「え? 全員の総意だったりする?もしかして。」
「はい、そうです! 師匠!」
いきなり師匠にすんな・・・
「あのねあんた達、私も旅をしながら、既に三人の弟子を養ってるの、だから無理よ。
こんな人数を連れて旅なんかできないわよ。」
「えぇ~! そこを何とか~。」
あ、そうだわ、こう言う時は、ルイちゃんにお願いしたら良いかな?
いや、待て待て、剣とか持って戦った子達が多いんだから格闘じゃ無いわね、じゃあ、竜馬さんとこ?
あの二人もあのまま風の噂では結婚して一緒に暮らしてるって聞くし、竜馬さんも剣の腕確かだったし、二人で師匠して貰えばこの人数でもアリじゃ無いかな?
ロッテちゃんの電脳に連絡取って見たら、三カ月に入った所らしく安定期迄はしばらく安静って事であっさり断られた・・・
仕方無いな、ここはオーブちゃんをこっちに呼び戻して、庭園に訓練施設建設してやるしか無いか?
って思ったら、テディーから提案が。
「ねえ、えりちゃん、私の庭園もカスタマイズ出来るんよね?」
「ん?まぁ、出来るよ? なんか作るん?」
「私の庭園で養いたいんやけど、亜人ちゃん達。」
「まぁ、良いけど、師匠が欲しいって言ってたしなぁ。」
「それなんだけど、オーブちゃんもうちに欲しいと思って~。」
あぁ、そうだった、テディーってば、ケモミミマニアだった・・・
「な、なるほど・・・い、いいけどね・・・」
「なんや引いてへん? ドン引きに見えるんやけど気のせい?」
「気のせいだって~、ンじゃあオーブも呼ぶか~。」
オーブのスパイダーに最優先命令を発令して強制的に呼び付けて見る。
丁度オーブはスパイダー内のジムで筋トレしてたようなので、気が付いた頃にはもう空中庭園に回収済みだろう。
あ、ちなみにオーブが回収される庭園はテディーの庭園だからねっw
「さぁ、亜人族の皆、テディーの庭園に御引越し出来るわよ~、オーブもそのうち到着するからねっ。」
「ありがとうございます、エリー様。」
「あ、そうそう、あんた達も既に電脳化が施されてるっぽいから、得意な武器の技とかその手の知識あげるわね~。」
「さぁ、順番に並んでね~、一人づつ必要な知識のリサーチするからね。」
こうして、リサーチしては知識の提供の流れを繰り返し、実に3時間程も掛かったのであった。
その間にオーブも異変に気が付いて一悶着有ったのだが・・・
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-キース-
ルージアの元皇帝の親族を連れ戻す為に、北の不毛の地へと先行したラインハルトを追うようにスパイダーを走らせている。
何故ならば、少し胸騒ぎがしたのだ。
彼にだけ任せてはいけない、そんな気がした。
兎に角ナノマシンでの探索を最大に設定して追う事にした。
所が何故か突然、最後尾を走って居たオーブのスパイダーが、急に進路を変更して、来た道を戻って行く。
どうしたのかと思って居ると、エリーからの通信が入った。
『悪いんだけど、オーブちゃんは助けた亜人ちゃん達が師匠と仰ぎたいらしいから、テディーの空中庭園に行かせる事にしたので御免ね~。」
成程、亜人族の中でも拳聖まで上り詰めたのは他に居ない様だから、オーブの今後の身の振り方としては良いのかも知れない、カイエンさんもきっとそう思ってくれるだろう。
『良いんじゃないか? オーブとしても今度は人に指導して行く立場でも良いと思う。』
俺としては、オーブは居なくても問題は無いのでこう返して置く事にした。
むしろオーブは亜人達の英雄みたいになってるからその方が彼女の幸せな気もするしな。
それにしても、ラインハルトの騎獣って相当足が速いらしいな、まだ追いつかないとは・・・
かなりの速度で追いかけている筈なのだけど、未だに追いつく気配が無い。
騎獣とは、比較的人懐こくて育てやすい、小型の走竜と呼ばれる地龍の亜種で、草食の為に馬などと同じ房で育てる事が可能である。
ちなみに嘴のようになった口が愛らしい。
おっと、やっと見つけたらしい、ナノマシンに反応が有ったようだ。
なんとかラインハルトと合流する事に成功した俺達は、ラインハルトと騎獣を収容して全速力で前皇帝の親族を収容している施設へと急いだ。
施設は、周囲を有刺鉄線で囲まれて居り、厳重に警備されていた。
だがそんな物はスパイダーには無意味。
強制突破し、その隙にラインハルトを施設内に飛び込ませ、内部を探索させた。
その間に俺達は、警備の兵達を一人残らず無力化しておく。
暫くすると、がっくりと肩を落としたラインハルトが建物内からでて来た。
その余りにも残念そうな様子に、何と無く意味を察した我々だったが、念の為に全員で建物内へ。
すると、前皇帝の親族と思しき人達は、全員自害して居たのだった。
カイエンが提案する。
「ラインハルト、お前は元より王太子だ、この国のでは無いけどな。
自国は弟に継がせたのだろ?
ここいらで冒険生活にピリオドを打って、この国の復興の為に王になって見てはどうだ?
お前の功績はこの国でも轟いてる筈だ、英雄王として受け入れて貰えると思うのだが?」
「カイエンさん、俺なんかに国が興せるでしょうか?」
「大丈夫さ、お前の親父が国を興したその背中を見て育ったのだろ?
お前なら出来るさ。」
この収容施設に囚われていた、元帝国の重鎮達も、ラインハルトであれば従っても良いと言う意見で全員解放し、ラインハルトの手伝いをする事に決まった。
後味があまり良い結末では無かったが、カイエンの説得で起つ事を決めたラインハルトを応援しつつ、俺達はルージアを後にするのだった。
カレイラは少し残念そうにして居たが、一時の憧れみたいな物だろう。
この数年後、ルージアは、何故か、旅のハイエルフの協力を経て王制民主主義国家としてその名声を世界へ発信する事に成るのだがこれは又別の話だ。
しかし、旅をするハイエルフ、どこかで聞いたようなアレだが、エリーやベアトリクスでは無かったのだ。
ハイエルフって人種は、ある意味暇を持て余して居るのかも知れない・・・
キースはそう思うのだった。
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