第329話 潜入捜査

         潜入捜査

 -MkⅢ-

 カイエン達がどうやらルージアの帝都、ミュシュカルの100㎞圏内に入った事をナノマシンデータリンクで知った私は、本体に相談して、三人の弟子を本体に預けに戻って来て居た。

「ねぇ、本当に私が行っちゃって良いの?

 人身売買を組織的にやってる国だよ? あんたが直接潰したかったんじゃない?」

「何を言ってるのよ、私はマリイとの生活が大事なの、パメラタイカンボクスの三人は一時的に私が預かってちゃんと鍛えてあげるから行って来なさいな。」

「でも本気で自分でやらなくて後悔しない?」

「あんたもしつこいね、私とアンタは同一人物なんだから良いのよ、この間のあんたのドラゴン戦もモニタリングしててちゃんと自分の功績って言う認識も出来た位だからあんたがやれば私の留飲も下がるから思う存分やって来なさい。」

「そこまで言うんなら行って来るけど、後で文句言いっこ無しでお願いね?」

「言わないってば~! むしろ私的にはマリイの世話私ばっかりでMkⅡ~MkⅣには申し訳ないと思う位なんだから。

 その代わり、容赦しないで叩き潰しなさいよ。」

「ん、判った。

 そこは私も容赦する気は無いから安心して。」

「じゃあ、パメラ達はちょっとの間、私の元で基礎修行ね。」

「師匠、出来るだけ早く帰って来て下さい、一緒に旅するの楽しいです。」

「タイカン、判ったよ、先ずはあの国に囚われてる奴隷にされた人達を助けてからじゃ無いと潰せないから、少し掛かるかも知れないけれど、早めに何とかするわ。」

「あ、そうそう、MkⅢ、テディー連れて行くと良いわよ、あの子もハイエルフに成って並列存在作って持て余してるから。」

「持て余してんの?何で? あの集落の統治に一人置いてって自分で旅とかしたら良いんじゃ無いかと思うんですけど?」

「うん、私もそう思うから言って見たんだけどね、私と一緒じゃ無いと嫌だって我儘言ってんのよねw」

「成程、さてはその最大の理由は私の飯かな?」

「多分それで正解w 特にそうめんに関して言えばフードファイター並だもんな。」

 するとどこからともなく・・・

「誰がフードファイターやねん。」

 おわ、テディーだ、何時の間に。

「あら早いわね、あんた。」

「地獄耳のテディーとかアンタに言われるほどには地獄耳って忘れとった?」

「丁度良かった、あんたテディーの並列でしょ? さぁ乗った乗った!」

「え?え?え? 何? 意味解らん!」

「MkⅢがあんたを連れて旅するんだってば、さあ乗りなさいな。」

「え?まじ? 連れてってくれんの? 支度、支度!」

「んなもん要らんって、お泊りセットも着替えもいっぱい用意してるから。」

「さぁさぁ、乗ってね、テディー。

 あんたのお部屋に案内するから。」

「え?飛空艇に私の部屋もう有るん?」

「有るよ~。」

「じゃ、じゃあ、行って来ます。」

 少し不満そうなパメラ達は、少ししょんぼりして見送ってくれる。

 電脳通信で、パメラ達の成長を楽しみにしてると告げた。

 すると元気の良い、いい返事が返って来たのであの子達は大丈夫だろう。

 --------

 飛空艇内で、テディーが増えた事で行けそうな作戦を新たに立案し、テディーにも協力をお願いしようとしたら、ノリノリで二つ返事でしたw

 折角だからテディーに、この間打って置いたテディー用の武器、薙刀、旋毛風紅葉を手渡すと、超ご機嫌で練習室に振いに行ってた。

 ちなみにこの薙刀、名前の通り、風属性の魔石を埋め込んで有るので、マナを込めて振うとそのまんま旋毛風が巻き起こる。

 冗談で作ったつもりだったんだけど思いの外凶悪な武器になってしまったのでテディーに良いかな~って思って・・・ ダメかしら・・・

 ------

 ジ・アースとテディーの顔合わせは滞りなく終わり、これから潜入の段階なんだけど、カイエン達には、私がここに来るまでに無力化して捉えて置いた誘拐の実行犯的な4人組に姿を変えて貰う。

 クリスはそろそろ安定期ではあるけどまだまだ大事を取って無理させない方向なのでお留守番。

 万一の時の為に光学迷彩で隠れたスパイダーで砲撃して貰う可能性もある。

 そんで私とテディーは捕らえられたエルフを演じる事にした。

 潜入するなら最高の人選だよね、私達。

 二人の美少女エルフ、売れる商品になるじゃ無いか。

 本当はハイエルフだけど、見た目じゃ判らんし。

 まぁ、実際は飛び込んで内部から破壊する鉄鋼榴弾だけどなw

 テディーも良く私の本体に教わって魔法の扱いにはかなり熟練して来てるらしいし、期待出来そうよね。

「さて、皆準備は出来た? 行くよ。」

「準備okだ、では行こう。」

 私とテディーは縛られて、荷馬車の荷台へ。

 目隠しされてようとナノマシンで周囲の映像取得できるから色々な問題も無し。

 流石に国ぐるみでやらかしてるのが見え見えな程にすんなりゲートを通った、ここ迄あからさまにやってるのか、とんでもない国だな。

 積み荷のチェックもしないんだから恐れ入る。

「お前ら又捕まえたのかよ。」なんてな声も聞こえてくる始末だ。

 もうここまで来ると呆れるのすら通り越してむしろ清々しいわw

 ダメだな、こりゃ・・・

 完全に国ごと潰すに限るな。

 で、ちなみに捉えてる4人組には自白ナノマシンで何処に行けば良いのかも既に聞き出してあるのでその通りに行動を取って貰う。

 っつーかさぁ、ここでもあからさま過ぎてもうどうなんだろうね、これって、だってさぁ、城の裏口から入って直ぐの所に牢が有ると言うかなんつうか・・・

 裏口がある時点ですでに有罪って噂もあるけどなw

 皇帝の万が一の脱出経路は別の話だからそれは裏口とは言わないしね。

 馬車が停まり、おろされ、両手を繋がれ目隠しをされたまま歩かされる。

 そして、倉庫のような雰囲気の有る建物に押し込まれる。どうやらこの建物が全部収容所になって居るらしい。

 建物内部、中央に全面鉄格子の牢があり、その周囲に警備兵が複数名詰めている、此処までするか、こいつら・・・

 電脳通信でマカンヌに応援を頼むか、それとも強引に極大魔法で強襲するか、若しくは転移で外に出て皇帝を直に抑えるか。

 既に囚われているエルフや亜人達は30人ほども居る。

 とんでもねえ国だな、ココ。

 まぁ、暫く、忍び込む予定のマカンヌからの情報を待つべきだろう。

 一応私達は高額商品らしく、扱いはそんなに悪くは無い、ヒデェといきなり慰み物にされたりする可能性は有るしな。

 まぁ今回は商品だろうからイキナリって事はほぼ皆無と思って潜入してるんだが。

 それにしても収容施設、まさかこんな作りになってるとは予想外だ。

 もっとコッソリ動けるものと思ってたけど、これじゃ変な動きしたら即バレじゃ無いのよ。

 全員逃がすとしたら、大規模転移魔法で良く知ってるポイントしかあり得ないよね。

 仕方が無いから、あまり遠いと大規模転移は厳しいし、庭園を上空に移動させておくしかない。

 出来る事は全てやって置く、何があっても対処できるようにな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る