第327話 お宮参り

         お宮参り

「まあ良いわ、ちょっと私はこの後用が有るから、私の区画とアンタの区画切り離してもう行くわね。」

「あ、エリちゃんちょい待った~!」

「ん?未だなんかあった?」

「今日暇やし、うちも着いてってええかなぁ?」

「まぁ、マリイのお宮参りだし、良いわよ。」

「おー、お宮参りかぁ~。

 何処の神社にするかは決まっとるの?」

「それなんだけどねぇ、伏見に神使の知り合いが居たりするし、そっちまで行こうかなとは思ってるんだけどね~。」

「ちょっと待ってエリちゃん、しれッととんでもない情報ぶっこんでこんでくれる?

 神使って、あれやろ?御使いって言うか、あの、狛犬みたいなアレ・・・とは、ちゃうん?」

「そうよ? どっかにとんでもない情報あった?」

「はぁ、最近のエリちゃんには私の常識が壊されまくっとるわ・・・」

「そんなにガックリするほど?」

「あのね、普通に神使が友達って意味不明過ぎるやろが。」

「まぁある意味普通では無いのかも?」

「そこ疑問符つける所ちゃうで?」

「まぁ良し、なので兎に角、伏見へ出発~。」

「いきなり行くんかぁ~い!」

「そりゃぁねー、お宮参りに行くなら午前中でしょ、間に合わなくなっちゃうじゃ無いの。」

「まぁ、そうか、それは正論やね。」

 -------

 間も無く、伏見上空に差し掛かろうと言う所だ。

 このデカい2ブロックもある空中庭園を真上に持って行くのは少々不都合に感じたので、少しは合なれた所に待機させて飛空艇でアプローチする事にした。

 と言うのも、テディーが自分の飛空艇を飛ばしたいと言うたっての希望も有った上、丁度飛空艇としては小型に作ったテディーの飛空艇が好都合でもあったからだった。

 テディーのブロックへと移動した私達は、テディーの飛空艇の前に来ていた。

「念願の、私の飛空艇♡」

 やたらテンション爆上がりのテディーだ。

 自分の飛空艇を動かせるとあってスッカリ舞い上がっている、飛空艇に頬擦りしちゃってるしな。

「何でも良いからとっとと飛空艇に乗せてくれってば。」

「ああ、ごめんごめん、つい、嬉し過ぎて~。」

 飛空艇に乗り込むなり、早速テディーの興奮はこれまでで最高潮に達して居た。

「嬉しい、これ私の! ねぇ!エリちゃん!これ私の飛空艇やで!」

「判っとるがな、誰が作ったと思っとんのじゃこのハイテンションハイエルフが。」

「いざ出発~!」

「聞いてねぇしっ!」

 そして、むっちゃ短距離だった事もあってあっと言う間に到着してしまった。

「うぅ~・・・あっと言う間過ぎてつまらんやんか~。」

 まぁそうなるよね、あんだけテンション上げてたし尚更だなw

「さぁ、マリイ、おめかし出来たかな?行くよ~。」

「ママ~、あのね、あのね、ツヴァイお姉ちゃんにやって貰ったの。」

 今日はハーフツインを巻いて貰ってるようだ。

「ん、可愛くなったね~、じゃあ、テディーお姉ちゃんは何だか未だ飛空艇で遊びたいらしいからバイバイしようね~。」

「うん、テディーお姉ちゃんまたね~。」

「いやいや、降りるて! 後で遊ぶからえぇんやってば!」

「マリイと一緒に行く?」

「良く行く、もうお姉ちゃんマリイちゃんと一緒なら物足りなくてもエエから! こっちが優先やし!」

「あらそうなの?すっごく残念そうだったからそこいらグルッと飛んで来るのかと思ってたわよ。」

「もぅ~、エリちゃんのイケず~。

 マリイちゃんの方が大事に決まっとるや~ん。」

 と言ってマリイに抱き着こうとするテディーを、マリイが紙一重でさっと躱す。

「え?」

 身長差がかなりね。

 マリイに合わせて屈んで抱き着こうとしたもんだからバランス崩して盛大にコケるテディーを、マリイと二人で笑ってオチが付いた。

 伏見稲荷の正面に飛空艇を停泊させると、何だか神々しさを感じるような荘厳なイメージの巫女服を着た妲己と玉藻達が出迎えに来た。

 尻尾一本づつ全てバラで出て来るとそれはそれで凄い物があるな、そっくりな顔が9人並んで居る訳だからね。

 でも、こうして見比べると、少しづつ違う所がある。

 その辺は並列存在と近い物があるな。

「おこしやす、エリーはん。

 それと、マリイはん。

 此方は何方ですやろ?」

「妲己ちゃん、玉藻ちゃん達、久しぶり。

 こっちは私の転生前からの親友で、ベアトリクス・ヤマダちゃんです、ベアから発生したあだ名のテディーって呼んであげてね。」

「判りました、テディーはん、妲己どす、それとこの子らはわっちの分身の玉藻達どす、以後お見知りおきを。」

「ほんなら、お宮参り、どうぞいってらっしゃいませ。」

「さぁ、マリイ行こうか。」

 手を繋いで鳥居を潜る時の作法を教えつつ、潜る。

 千本鳥居は未だそんなにたまっては居ないけれど、何本かは既に寄贈されているようだ。

 本殿前に来ると、ますます神々しい光る何かが現れた。

 その光は少しづつ膨大になると同時に、人型に変形して行く。

 そうやって現れたのだった、そう、宇迦尊だった。

「よう来たのう、エリーよ。」

「ご無沙汰しております、宇迦様。」

「ねぇねぇ、この人誰? 何かむっちゃ神々しいんだけど?」

「そのほうは、ふむ、エリーの友であるか、なれば、其方にもわらわの加護を。」

 いきなり加護を貰って、思わず驚いて居るテディーだったが、納得したようだ。

「ねぇ、エリちゃん、この方は神様でおうてる?」

「当たり、宇迦尊様だよ。」

「宇迦尊!? お狐様やんか!」

「そうよ、でも狐と言われて居るのは、神師達がきつねだからなのよ。

 妲己ちゃんと玉藻ちゃんがきつねの亜人だったでしょう?」

「ああ、そう言う事、納得したわ。」

 するとテディーは宇迦様に向き直り「エリちゃんの親友で、ベアトリクス・ヤマダと申します、宇迦様にお詫びが御座います、わたくしベアトリクスは、宇迦様がきつねの神様なんやと間違った見方で見とりました、すんまへんでした。」と、素直に謝罪したのだった。

 その後、マリイにもちゃんと加護を頂き、マリイに健康に育って欲しいと願ってお守りを買うと、そのお守りにすら加護を頂いた私達は、近くのお店で湯豆腐を頂いて帰る事にした。

「ママ、私も宇迦様好き~。」

 そんな事言われた宇迦様は、身悶えしてたよね~w

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