第305話 内政干渉

         内政干渉

 -MkⅢ-

「ははっ、エリーが出抜かれるなんてな、珍しい事もあったもんだぜ。」

「お前未だ言う? キース、お前の為に作業してる最中だったから私もウッカリしてただけだぞ。

 本来ならナノマシンを坑道内に先行させて潜伏させる位はする所なんだ、本当に迂闊だったとは思ってるけど、お前に言われる筋合いは無いし、しつこい。」

 滅多に無い私のミスを嬉しそうに燥いで何時までも突っ込むキースに少しイラっとしたけど、まぁ珍しいからこうしてツッコまれるんだろうなって事で、少し強めの口調で怒って見せるだけで許す事にした。

 でも私がそれで許したのに、クリスがキースにお説教を始めて一寸したカオスになってたりするんだけどな。

「クリス、その辺で許してやらないか?

 お腹の子にもお母さんが怒りんぼだとあんまり良くないぞ。

 怒りっぽい子に成るかも知れない。」

「あ、うん、エリーが言うならきっとそうなんだろうね、ンじゃ辞めとく、ありがと、お姉ちゃん。」

「何時から私クリスのお姉ちゃんに成ったんだ?」

「お腹の子への教育でそう呼ぶことにしたんだ~。」

「成程、親戚のお姉ちゃんみたいな感覚でやってくつもりなのね。」

「そう、そんな感じ。」

「よし、ンじゃクリスの出産は私がお産婆さんしてやるよ、医学知識は豊富だから安心したまえ。」

「私初めからエリーにお願いする気だったから、此方こそよろしくお願いします、お姉ちゃん。」

 実は今、飛空艇の食堂でお茶してたりする。

 怒られたキースは私達の座ったテーブル席の横で正座させられてたりする。

 そろそろ可哀そうだから声掛けてやるとするか・・・

「キース、いつまで反省してるん?

 気にしてねぇから飯でも食って来い。

 私達はもう暫くここでお茶しとくから、カイエン達と一緒に繰って来なよ、もうスグこっちはカレイラとマカンヌが合流して女子会になる予定だから。」

「あ、ああ、もう、良いのか?」

「私は初めからそんなに怒って無いぞ、揶揄われたのに少し腹は立てたけどな。

 むしろクリスの方が何故か怒ってたけどな、クリスももう良いっつってんだから良いに決まってるだろ?

 それより、お前も待機だったとは言え腹減ったろう?

 空腹はダメだぞ、腹が減ったら食う、これが健康の秘訣だ、長く空腹を維持し続けるとホルモンバランスが崩れて、食った物が脂肪になって貯まるようになり易く成る、たまった脂肪は肥満の原因、肥満は色んな病気を引き起こすんだ、だから腹が減ったら何か食え、これが一番の健康の秘訣だからな、これからクリスのお腹の子のパパになる奴が肥満で病気がちに成ったりしたらクリスもこの子も困るだろ。」

「あ、ああ、そうなんだ、判った。」

「良し、ンじゃ食って来い。 後で義手にマナを流す特訓だから今の内にしっかり食っとけよ。」

「ああ、判った。」

 さて、キースに、家族を大事に、の精神を遠回しに教える事も出来たし、私も今の内に軽く何か食べておこう。

「私はちょっと軽くホットサンドでも食べるけど、クリスはどうする?」

「んっとぉ~、私は、これかな、アーリオオーリオ。

 最近は待ってるって言うか、なんかこれが妙に気に入ってるんだよね~。」

 そうかそうか、お腹に子が居ると好みって妙に変わったり、やたらと固執して同じ物が食べたかったりするんだけど、それだわね。

 私も前世で経験あるから良く判るわ。

「そう、アーリオオーリオね、じゃあ、一緒にこれとか食べなさい、アーリオだけだと炭水化物しか無いから脚気とか変な病気になる可能性が有るし、お腹の子の為にもバランスの良い食事にしないと。」

「そうねぇ、エリーの言う事だし、電脳の知識にも同じようなのが有るから、そうするわ、これからもっとちゃんとした食事しなきゃね。」

 うん、ママに成る事が決定してると素直になって宜しい、クリス可愛い!

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 軽い食事を終えると、カレイラ、マカンヌと合流して女子会に雪崩れ込む。

 あ、未だ子供のパメラは今日の当番の長月がご飯食べさせて寝かしつけてるね、今頃。

 さて、出抜かれて結構ショックで凹んでたのも女子会でぶちまけたお陰で精神的に立て直したので、この際だからリバイアサンの津波で生きてる可能性が低い相手の事は考えるのは止めて、この蛻の殻になった城に新しい王を据える為の算段でもしようか。

 捕らえた将軍達を収容してある飛空艇内に仮設した収容室を訪問、1人1人話を聞く事にした。

 結果・・・共和国となる前の王家の血筋である公爵家は軒並み全て討たれてしまって居たので、侯爵家を、と思って居たのだけれど、驚いた事に侯爵家が結託して王家の血筋を亡き者として乗っ取った形らしく、将軍達からの覚えはあまり宜しく無かったので、将軍の内の一人に、伯爵家の出の者が居たので、この将軍に任せようとしたが、こいつが又最悪、他の将軍達から、書記長に取り入って居て気に入らない等と疎まれやっかまれて居た様なので、そう言うのがトップに立ってもダメだろうと言う結論に・・・

 仕方が無いのでこの国の広大な土地の各地に散らばっている貴族全員を集めようと思ったら、驚いた事に全員この城の付近に住んで居て領地は代官に任せて居る者ばかりだと言う事なので、会議を開かせて決めさせる事にした。

 会議は三日にも及び、結局はお互いに蹴落とし合いをするだけだったのでもうこいつ等には任せておけないって事で、神無月と師走にこの国をお任せする事にして、彼女達にあの隠し財産を丸投げ、本体と私の野望の一つの学園都市と言うか、魔法大国みたいなものを旗揚げさせる事にした。

 勿論、一応この国の女帝とする予定の神無月には、ナノマシンの利用権限レベル7を与えて精霊召喚まで扱える大魔導士タイプに改良する事にした。

 なので暫く私はこの城に泊まり込んで、神無月の改良と、パメラ、タイカン、ボクスの修行を行いつつ復興に重点を置いた内政に干渉する羽目になってしまった、面倒だけど本体が一時独裁政治を300年位維持して居た訳だし、お陰である程度のノウハウは有るから何とでもなるだろう。

 国の中心に、魔法学園とかそんな異世界物に在りがちな施設作って行けたら楽しそうだろ?

 だから不本意な内政干渉だけど目標の為には労力は惜しまないつもり。

 と言うか完全に国政を代行する形だけどね。

 でも、この大陸広いから、マダマダほとんどの地域を網羅出来て居ないし、もっと冒険する気は有るからここで燻るのも1~2年にしとこうと思うよ。

 後は本気でアンドロイド任せで良いかと。

 カイエン達とまたここでお別れかと思ったんだけど、全員ここで復興のお手伝いしてくれると言うのでお言葉に甘えさせて貰う事にした。

 クリスの赤ちゃん取り上げなくちゃいけないしね。

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