第298話 内向的な村
内向的な村
何だかやたらとリザードマンの数が多い、むしろ多すぎる。
挙句の果てにリザードマン・ウォリアーなんて言う、上位種と言うか、ユニークまで現れた。
普通リザードマンやサハギンの扱う武器は、槍と言うか、銛が多いのだけれど、ウォーリアは肩手斧を持って現れた。
当然ながらその肩手斧はお亡くなりになった冒険者から齎された物であろう、大分年季が入って居て刃が欠けていたりするものだった。
驚いた事に弓を装備して居るアーチャーなんてのもごくわずかだけれど確認出来たし、本当にリザードマンだけで果たしてこんなバリエーションが広がるのが謎だ。
突き詰めて調べたいと言う興味は沸いて来たし、色々引っかかる所では有る、突き詰めて調べて見たい所ではあるんだが、そうする以前に、とうとう集落が見えて来た。
上空から見て規模的に街だと思って居たそれは、規模の大きな村だった。
街と言うには建物が粗末だし、外壁は木製、せめて石積みの街壁なら街と言っても良かったほどの規模だったんだけれど・・・
足を踏み入れるも、人っ子一人として歩いて居ない。
人の気配はするんだけどなぁ、飛空艇で上空に差し掛かった時も慌てて逃げ惑う人々自体は確認して居るし、ああもあっさり通り過ぎてしまえば安心してとうに戻って来て居る筈なんだけれど。
皆室内に引き籠っているみたいなんだけど、何で?
仕方無いので電脳通信で示し合わせて、全員一度村の外に出て、スパイダーを不可視化させて私の空間転移で召喚、暫くカーゴスペースに仮設した会議室で時間を潰してからもう一度村を訪れてみようと言う事に成った。
未だ警戒してるかもしれないしね。
この際だからご飯も食べちゃおうって事で合意。
どうせなので私が腕を振ったろうと言う事に成った。
多数決の結果、本日のメニューは、札幌風塩バターラーメンと半チャーハン。
丁寧に煮出したガラスープベースで、玉葱、ネギ、干し椎茸等の野菜の出汁を合わせた合せ出汁で、塩は、本体がお家でアインに秘かに作らせて居た塩田のお塩だ。
家の近くの竹林で採れたタケノコを使って漬けたシナチクと、私が旅の途中で勝ったグレートボアのバラ肉で作ったお箸で切れる位の柔らかさになったチャーシューを乗せて完成。
チャーハンは、私が家に連れ帰って育てて居るアローカナの卵を惜しげも無く使ってお米に絡めたシンプルなチャーハン。
男性陣はそれじゃ足りないんじゃ無いかと思って、カイエン、キース、ボクス、タイカンの4人には、宇都宮と浜松で広めた餃子も付けてやる事にした。
「エリーお姉ちゃんのご飯美味しい~。」
なんてパメラに言われちゃったりしてメロメロになってたりする私だった。
実はガラスープと野菜スープは15ℓの寸胴で一杯づつ作っちゃって居るのでストレージに仕舞ってあるのを出すだけなのでいつでもすぐに出せるのだ。
さて、お腹もイッパイになった所で、もう一度凸って見ようっ!
それいけー!ってな具合に一斉に突撃して見たら、外で色々と作業していたり遊んで居た子供達までが、私達を見るなり一斉に家の中へと逃げ込んで行くのだった。
何よそれっ!失礼にも程が有るでしょうがっ!
頭来たからそこいらの家風魔法で吹き飛ばしたろか?あぁっ!?
「エリー、それはやり過ぎだろ。」
カイエンに突っ込まれた。
「あら?声に出てた?」
「ああ、おもいっきりな。」
仕方無い、こうなれば拡声器で炙り出してやるとしよう。
『くぉ~らぁっ!テメェ~ラぁ~!!! 私らがなんかしたかこらぁっ! 隠れてねぇで出て来いヤァっ!
5つ数える内に出て来なかったら一軒づつ破壊して行くぞっ!
ひとーつ! ふたーつ!』
一斉に家から飛び出して来た。
「こ、殺さないでくれ! こんな村を襲ったって大して儲からないべさ!」
「誰が殺すっつったのよ、失礼な! こんな可愛い美少女捕まえて何でそんなに恐れてんの?おかしいと思わない?」
「え?じゃあ、あんた等は国の寄こした使者じゃ無いんか?」
「は? 何の話よ、私達は只の冒険者よ。」
「じゃ、じゃあ・・・」
「ええ、何なら助けてあげられなくも無いんだけど?」
「お、お願いします! 実は、国から無茶な要求を受けたので断ったら、この街の周囲の湿地帯に、恐らく捉えて有った魔物を鼻って脅して来たのです。
我々では魔物の駆除もままなりませんので、せめて魔物の討伐だけでもお願いしたいのです。」
「無茶な要請ってのは?」
「見ての通り、この村は貧しいのですが、近く戦争が有るとかで、税率を60%なんて無茶な要求をされたのです。」
「そうか、私達を政府の派遣した徴収官と思ったのね。 それであの対応か。」
これはこの村の所属する国も一悶着有りそうだな。
「仕方無い、カイエン、キース、お前らも、取り合えずリザードマン討伐、やるだろ?
スパイダー全機、出撃だ。」
「流石エリー、そう言うと思ってたよ。」
「報酬の話なんかしなくたってこうやって人を助けちゃうんだよな、やっぱお前は聖女だよ、うん。」
「う、うっさい! 褒めたって何も出ねぇぞ!」
「実はな、そんな事に成るんじゃ無いかと思ってよ、俺のスパイダーから、ヨルムンガンドを降ろして既に一暴れさせてるんだ。」
「キースお前、もう見て無くても暴走しない程度に調教出来てるのか、余程相性良かったんだな、あの地龍と。」
「ああ、元々土竜だったからな、名前付けたら進化しちまった訳だから俺の事は本当の親みてーに思ってるんじゃね?」
「成程な、デカく成ったろ、最近見て無かったからな。」
「ああ、そろそろスパイダーの格納庫に入れなくなりそうだ。」
「ふむ、そうなるとアレだな、今回の戦闘終ったら多分もう入れないかも知れないな・・・」
「マジ? どうしよう、困ったなぁ。」
「まぁ、何とかなるだろ、ちょっと最近開発した魔法が有る、空間魔法の応用でな、空間転移のゲートに別の空間を固定する魔法だ。 それを使って、空中庭園にヨル君を住まわせればいい。」
「空中庭園って・・・」
「あ、未だ言って無かったっけ? 最近空中庭園を拠点にしてるのよ。」
「あ・・・あのな、おまえ・・・常識が壊れる音がするのは気のせいか?」
「気のせい気のせい、大した事じゃ無いわよ、でっかい飛空艇みたいなもんだしね。」
「そういう問題・・・なのか?」
「あそこなら広いし、自分でご飯の獲物取る事も出来るから最高の飼育環境だと思うわよ。
それで、空間魔法に特化したスマホを作ってあげるから持っててね。
アプリケーションを起動して、サモン、ヨルムンガンドと叫べば呼び出せるように設定しておくね。」
「俺にも召喚魔法が使えるって事か。
そう言う事なら楽しみにして置くよ。」
「あんたもゲート通れるから倒した魔物の肉とか食べさせて上げに行ってお世話し無いと駄目よ。」
「ああ、そうだな、判った。
だけど、俺が行っても良いのか?」
「何で?別に私しか入れない聖域みたいなもんって訳でも無いんだから良いわよ、踏み込まれて困る所でも無いし。
さ、もうスパイダーも揃ったし、行きましょう。
さっさと倒しちゃいますよ、サハギンやリザードマンなんか。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます