第284話 そして何故か宴会に
そして何故か宴会に
ンで、ギルドを大混乱に陥れている矢先に、真面目にクエストに出ていたボクスとタイカンが戻って来た。
「何の騒ぎ? あ、エリーさんだ。」
「よ、ボクス、タイカン、元気だった?」
「何とか頑張ってますけど、まだ小さいパメラは、寂しがってて。」
「そうか、やっぱそうよね、ねえあんた達、パメラも一緒に、私の元で修業して見ない?
ちなみに旅自体はアンタらの両親も、一緒とは言わないけど概ね行き先が一緒だからちょくちょく会えるわよ、パメラもそれなら良いんじゃない?」
「そうですね、パメラにも聞いて見ないとだけど、僕らとしては姉ちゃんみたいに強く成れるなら、お願いします。」
「ん、じゃあパメラに会いに行こう。」
カイエンの家にお邪魔すると、既に家に帰って居たカイエンとマカンヌにムッチャクチャ甘えまくってるパメラが居た。
そうだよな、未だ甘えたいよね。
でも、パパの改造手術にも立ち会ったりしてこの子のキャパはかなり広い、きっと私の修行を受けてくれる気になると思う。
今ならもれなく精霊魔導士としての未来が約束されるのです。
未だマナ量はそう多く無いけど、まだ若い今の内に鍛えたらエルフやハイエルフに負けない位の魔力量も期待出来るしな。
今日の所は、パパママに甘えたいだろうし、私はお邪魔ムシだよね。
「ねぇ、ボクス、タイカン、今日のところは私は帰るわ、今の状態じゃ無理そうだし。
街の門の外に停めてある飛空艇に居るから、何かあったら訪ねて来て良いわよ。 んじゃお休み。」
「「あ、はい、エリーさん。 じゃあまた明日。」」
さて、少し時間も浮いちゃったので、衛兵の詰所に寄ってみた。
「あ、大賢者様! その節は大変お世話に成りました!」
こんな衛兵は居なかった筈なので私が旅に出た後に入った新人君だと思うけど私の事を知って居る、らしい。
この街ではすっかり有名になっちゃったなぁ。
聞いたら、あの飲んだくれ冒険者の息子だって、おい、そんなデケェ息子居るのにギルドのホールで一日飲んだくれてるってどんなよ、もうアイツは。
「あ、それでさ、セシルさんは居る?」
「あ、はい、隊長は今休憩中です、呼んで参ります!」
隊長に成ったんだね、セシルさん。
あの頃は未だ副隊長だったけど。
「お待たせ、おう、エリーちゃん・・・ン?
少し成長したか?」
こら、胸の辺りを見て言うんじゃない。
本体は今ならもう少しあるんじゃ無いかな?とは思うけれど。
「セシルさんには、初めに色々お世話になってるからさぁ、私が打った剣とこの本をプレゼントしに来たのよ。」
「剣は嬉しいが、本は読まんからなぁ・・・」
「いやむしろ、読め! ただの本じゃ無いから。
こっちの剣は先ず、ミスリルをふんだんに使った剣。ミスリルは魔法との相性が非常に良いから、この本なんだけど?」
「魔法?確かにあの戦争で魔法とか初めて見たけど、俺が?」
「アンタはね、直接魔法を撃ち出す程の魔法回路は無いけれど、触媒を使ったら使えるの、だからこの剣、そんで、この剣に魔法を纏わせた魔法剣とか、剣の先から魔法を撃ち出す、魔剣士の才能がセシルさんにはあるのよ、だから読め。」
「わ、判ったよ、でも、魔剣士か、俺がそんな風になれるなら、読むよ。」
「その本はあげるから、使い慣れて行けば少しづつ新しい魔法を行使出来るようになると思うからいつも持ってなさいね、本。」
私が手渡したのは、ミスリルのスリムロングソードと、魔剣士用に特化して新しく書きあげたグリモワール。
勿論ナノマシン内包。
早速渡した剣を引き抜いて、その剣身をチェックしたセシルは、その洗練された美しい刃にため息をついた。
「すげえな、これ、もしも武器屋で売ってたら、そこいらの村を一つ丸々買収出来そうな額になるんじゃねぇか?」
そんなとんでもない事を口ずさむ。
「まぁ、いくらだかは知らんけど、世話になったお礼だし気にしないで使ってよね。」
「ああ、こんなすげぇ剣、使ってやらなきゃ可哀そうだ。 それに最近、又モンスターの出現率が増えて来ててな、こう言う役に立ちそうな装備は喉から手が出るほど欲しかった所だ。 有り難く使わせて貰うとしよう。」
「え、又スタンピードの兆しとかあるの?」
「あ、いや、そこまでのもんじゃ無いんだ、きっとどっかから強い魔物でも引っ越して来たんだろう、それで行き場を無くしたのが出て来るだけだろう、しばらくすれば落ち着くさ。」
「そうか、その程度なら大丈夫かな? あ、それじゃこれもあげとくよ、スマホって言うんだけど。」
「これは?」
「これはね、私に連絡が取れる魔道具で、ストレージボックス機能と、魔法を使えるアプリケーションを実装してる。
セシルさんは剣持ってれば魔法使えると思うけど、誰か使えそうな人に戦闘時は貸し出したら魔法使えるのが増えて良いんじゃ無いかな?」
「なんかとんでもない物貰っちまった気がするんだけど、良いのか?」
「気にしないで、あ、もしヤバそうなのが出たら連絡頂戴ね、飛空艇ですぐに駆け付けるから。」
そんなやり取りをしてると、キースとクリスがやって来た。
「あれ? エリー、何やってんの? 詰め所で。」
「おう、キース、どうした? 孤児院はもう良いのか?」
「ああ、ちゃんと新しい寄付もして来たが、やっぱあのベッドに慣れちゃうとな。」
成程な、晩飯もこっちで食べる気だな、じゃあ、たまには飛空艇の脇でオープンキッチンやったろう。
「そうか、ンじゃ久々にオープンキッチンで私がなんか作ろうか。」
「え、マジで?じゃあ私リクエストして良い?」
クリスがテンション高めに切り出す。
「ん?リクエスト有るのか? 言ってみ?」
「なんだか最近エリーのカレーラーメンがむしょうに食べたくて。 パイコウ付きのカレーラーメンって作って貰える?」
成程、それは面白いな、私自身はこっちに来てカレーラーメンを作った事は未だ無いけれど、きっとオートクッカーのメニューにあるからそれで味を占めたのだろう。
で、パイコウ麺も有るから、それで取り合わせたんだと思う。
ラーメン版のカツカレーみたいなもんだから難しいっ事は無いし良いだろう。
私もその組み合わせには気が付かなかったな。
「面白そうだね、やって見よう。」
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MkⅢのクッキングタイム~。
先ずは、コカトリスの鶏ガラを用意する。
血合いは丁寧に取って、奇麗にお掃除して置く、この血合いが残って居るとスープに臭味が出るので丁寧に取り除いてネ。
特攻隊カツオの鉛節を、一本丸々削って寸胴鍋へ。
それと、玉葱と、長ネギの葉の部分、青い所を一緒に寸胴に。
あ、玉葱は丸ごとで大丈夫です、出汁を取る為だけなので。
今回20ℓの寸胴鍋を使うので、玉葱は15個位、長ネギの葉っぱは臭み消しの為なので適当で良いです。
あ、もう一つ、ショウガを丸のまま500g位入れます。
ガラは、私の持ってるコカトリス素材が、雛の癖に大きいので一羽分で十分。
コカトリスの脚、モミジって言うんだけどこれも有ったら入れましょう。
で、出汁の材料を皆入れたら水魔法で寸胴に並々に成る程にお水を注ぎましょう。
強い火力のコンロに掛けて、強火で炊きます。
煮立ったら少し火を弱め、吹きこぼれない程度で維持しつつ、上がって来る灰汁は丁寧に取ります。
あ、ちなみにここ迄はガラスープの醤油や塩ラーメンと全く同じなので、もう既に出来上がってるわよ、こんなのじっくり煮込んだら5時間位掛かるからね。
基本の出汁が完成したら、中の鶏ガラやナマリブシなんかの形の残って居る物はすべて取り除き、保温程度に弱火で温めて置いて、次の工程に行きましょう。
御家庭で残ったカレーなんかを冷凍保存している人は、いつも食べてるカレーを使うのがお勧めなので解凍して使って下さいね、いつものカレー二人前でだいたい4人前位のカレーラーメンのスープに成ります。
冷凍して居なかったらいつも通りにカレーを作るのがお勧め、いつもの味が一番おいしいと思うし、ね?
んで、パイコウの作り方。
オーク肉、無いしジャイアントボアのロース肉を用意して下さいね、とんかつと同じくらいの厚みに切って、筋を丁寧に切って、良く叩いて伸ばしてから、スパイスを砕いて粉にした物を準備。
小麦粉を肉に塗した後、コカトリスの溶き卵の中に潜らせ、カレー粉を塗し、その後にパン粉を付けましょう。
あ、自分でスパイスをブレンドできない人は、赤い缶のカレー粉を使って下さいね、シーマや王都でも私が再現した物が雑貨屋さんで売ってたりするのでお勧めw
パン粉を塗したら、白絞め油か菜種油を温めて置いて、160℃の低めの油で揚げて行きます。
音が変わったら一旦上げて、油の温度を180℃まで上げて二度揚げしましょう。
綺麗にきつね色に成ったら油から上げて、余計な油を切りましょう、この油切りの間にも、実は余熱で調理されて居るので大事な時間です。
1~2分もあれば余計な油が落ちるので、切って乗せる感じですね。
忘れちゃいけない麺ですが、カレーラーメンの場合、中細ストレート麺がお勧め。
縮れ麺だとカレーが絡み過ぎて食べにくいし、刎ねやすいので服の胸元に毎回カレー染みを付ける事になってしまいます。
麺を少し硬めに茹でて、温めて置いたラーメン丼に入れ、お出汁を注ぎ、上から温めて置いたカレーを掛け、刻んだパイコー、刻んだ葱等を乗せて完成。
完成~、と思ったら、何故かカイエン一家と衛兵達が集まってた・・・
20ℓ寸胴で作ったから足りるけどさ、何時の間に皆来たのさ。
まあいっか。
「おし、人数増えたしビールもジュースも出すぞ。
クリスは妊娠中だからお酒はダメだぞ、ジュースにしとけ。」
クリスの「ええ~!?」と言う少し悲痛な叫びと裏腹に、歓声が上がった。
「っつーかクリスとマカンヌ、カレイラは麺茹でるの手伝え、手が足りん。」
「「「はーい。」」」
こうして、すっかりラーメンパーティーの様相を呈してしまったのだった。
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