第283話 もう一度シーマへ2

      もう一度シーマへ2

 そしてあっと言う間にシーマ上空へ到着。

 この間立ち寄って教会式に参列した時はさ、忙しかったのも有るけど、タイカン君とボクス君はクエストに出て居て会えなかったし、今度はちゃんと会って話をしなければ。

 まず手始めに冒険者ギルドへ。

 ギルドの戸を開けると、相変わらずで一斉に視線を浴びる事に成る、でも初めての時と今の違いは、以前は好奇の目や少し粘り気のある嫌な視線が多かったけれど、今は私の姿を見るなりお帰りと一斉に声を掛けられる程だ。

「おーっす。」って気楽に答えながらギルマスの部屋に入る。

「お、又来たか、エリーさん。」

「この間来た時に渡し損ねてたんだけどね、ここの冒険者達は一緒に戦争で戦った戦友だしさ、皆に武器や防具、それに魔導書、それとこんな魔道具をと思って持って来たんだけど、配っても良いかな?」

 そう言ってスマホを出して手渡す。

「これはどう言う?」

「スーパーインテリジェンス・マジックストレージ・ホルダーユニット、略してスマホよ、うちのオーブちゃんの様に魔法回路が無い子は、魔法回路を構築する必要性が有るんだけど、魔法回路さえあれば魔法への親和性を持たない人にでも魔法が使えるようになるデバイス。」

「今の説明で細かい事は判らんがそれがとんでもないもんだっつー事は良く判った、で、その国宝級の魔道具をこのギルドに預けて行くって事かよ。」

「ま、そう言う事、例えば上位の魔物が出た場合、そのクエストを受けたパーティーに貸し出すとかしてあげたら生存確率上がって良いかなって思う訳。」

「うん、まぁ有り難いっちゃ有り難いが、ある意味すんっごくありがた迷惑な事だな・・・」

「ダメ?」

「いや、ダメでは無い、むしろ喉から手が出る程だが、逆に秘匿するのが非常に難しいかと思うんだ。

 どうしたら良いと思う?」

「秘匿しなきゃ良いんじゃない?」

「そんな簡単に言うんじゃネェよ、全くお前さんって奴ぁーよ。」

「難しい事は無いっしょ、義体化もせずに音速で走って5tもある岩を放り投げるギルマスが居るんだもん。」

「はぁ、やっぱ俺が管理しなきゃならんのか・・・」

「他に誰が管理するのさ、スマホはギルドの所有のリース魔道具にしろっつってるんだから。」

「判ったよ、判りましたともよ、俺が苦労したら良いんだろ?」

「何が苦労よ、普段暇だっつってウダウダ文句言いながらトレーニング室で暴れてんの知ってるわよ?」

「なっ!? ・・・はぁ、参った、参りましたよ、そんなのもバレてたんじゃ言い訳出来ねぇな。

 判ったよ、有り難く預かっておこう。

 で、武器や防具ってのは?」

「ああ、私が打って作った武器や、防具を皆にと思って持って来てるんだけど、配っちゃって良いかな?」

「まぁ、お前が金取らないっつーんなら勝手にしたら良いんじゃないか?そっちはよ。」

「そう? んじゃこういう武器とか配って良いよね。」

 テーブルの上に、高周波振動ブレード搭載のミスリルソード、アダマンタイト製のスーパーフェザーソード、それに、オリハルコンのナイフを置いて見る。

「これがお前さんの作った剣やナイフって事か?」

 スーパーフェザーを手に取ったギルマスが放心状態になる。

「な、何だこの異様に軽いの・・・本当に剣なのか?」

 スゥっと鞘から取り出してさらに驚く。

「向う側がハッキリ透けて見えるな、素材は何なんだ?」

「それはね、素材自体は実は柔らかい透明な紙のような物、それを剣の形に成型して、時間を止めた。

 時間が止まった物質の事を私はアダマンタイトと呼んで居るのだけど。」

「もう既にこの説明の意味が不明だ。

 時間が止まった物質だと?」

「そ、薄い材質を時間止めたから、壊れる事は無いのに良く切れるわよ?」

「試し切りしても?」

「どうぞ。」

 ミスリルのインゴットを取り出した。

「そのまま剣を持っててね、そこにコレをこう当てて、こう。」

 剣を振って思いっ切り叩き付ければ大概の物は切れるもんだけど、止まった剣に物体を押し当てても切れる事は、先ず本来は無い、筈。

 でも、このミスリルインゴットは、スゥっとアッサリ切れてしまう。

 それを見たギルマスは、冷汗が止まらない。

「なに、これ・・・」

「ね、良く切れるでしょ?」

「あ・・・アホかぁっ! 切れるとかそういう次元じゃねぇっ!」

「そう?でも時間が止まった物質だから魔法剣とか乗らないわよ?」

「必要ネェだろ、そんな小細工・・・」

「まぁ、良いわよね、配っちゃう。」

「こんな常識が壊れるような事をどうしてしちゃうの、エリーさんってば・・・」

 ガックリと肩を落として項垂れるギルマスを尻目に、ホールに戻った私は、早速皆に武器、防具を配りまくった。

 防具の大半は、シーサーペントの鱗を使った軽くて丈夫な竜鱗の鎧や胸当て、竜麟の盾と言ったものがメイン。

 シーサーペントのお陰で沢山有るからね、素材使って行かねぇと使い切れるもんじゃない。

 だからこいつ等に大盤振る舞いしてもまだ余裕があるこんな素材を惜しげも無くあしらって居るのだ。

 防具と武器配って、ネクロノミコンやグリモワール並べてたら、いちいち全員鑑定して無かったから意外と読める人も居て面白いと思った。

 そしたらね、意外な性能の人物が居たりするんだよ。

 一番毎日飲んだくれてた、飲んだくれのリーダーみたいなオッサンがさぁ、魔法としての適性属性は無いのに、精霊との親和性は全属性持ってやがった。

 マナ量は多く無いから下級精霊が精々と思うけど、全属性使える精霊魔導士になってた、少しびっくり。

 私がランク付けした魔法の階位が12階位まで有るんだけど、下級の精霊だから精々4階位まで使えるかどうかだけど、それでも十分に強くなるだろう。

 覚えた精霊魔法で早速火魔法の無駄遣いして煙草に火を付けてたけど、お前その魔法はそう言う風に使うんじゃねぇよ、料理の為の火を起こす時に必要な魔法でしょうが、全くいい加減な人にビックリな適性があったもんだ。

 ンで、ギルドを大混乱に陥れている矢先に、真面目にクエストに出ていたボクスとタイカンが戻って来た。

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