第281話 短話:トライ、初めての・・・ :エリーの悲劇
短話:トライ、初めての・・・
お昼ご飯を一緒に食べようって言えた!
とってもドキドキします。
顔の装甲が熱くなるのを感じます。
ひろし君が、自分の分の料理を運んで来ました・・・あ、そうだ、お茶!お茶を入れよう!
お茶を入れたら、もう後は向き合ってエネルギー補給するしか無くなってしまった。
人間ならお食事と言う所でしょうけれど。
あたしが自分で一緒にって誘ったのに、は、恥ずかしいっ!
どうしよう~。
つい、無言で食べちゃってる自分が居ました・・・
「あ、あの、トライちゃん。」
「は、はい?」
「す、すみません、僕、あんまり料理の腕が上達して無くて・・・アインさんやエリーさんには到底敵わないし、美味しく無いっすよね。」
「そ、そんな事、ありません。
と、特に今日は、とっても美味しいです。」
「はは、お世辞でも、嬉しいです。」
「お世辞なんかじゃ無いです! 今日の、ひろしさんのご飯は、今までで一番、美味しい・・・です。」
顔の装甲が熱くなるのが判ります。
動悸がします、ひろし君の顔が真っすぐ見れません。
これはどう言う感情なのでしょう・・・
私って、何かの故障でもあるのでしょうか・・・
一応、調整器には定期的にかかって居ますが、直らないんです。
直らないと言う事は故障では無いのでしょうが、それが逆に不安を煽る感じで、少し怖いです。
あたしはどうなっちゃうんでしょう。
結局、お食事中に他愛の無い話も大して出来なかった気がします、自己嫌悪です。
もっといっぱい話したい事があったのに、あたしは何をしてるのでしょうか。
もう、こうなったら、かなり恥ずかしいけど、MkⅢ様のプランを試すしかありません!
だけど、だけど想像するだけで・・・すっごくドキドキして来ます。
エリー様による定期重要メンテナンスの時には裸になるのに、どうして衣服を付けずにひろし君の前に立つ事を想像しただけでこんな事に成るのでしょう。
やっぱり私の未来予測演算機能のどこかに問題が有るのでは無いでしょうか。
そこまで考えていたら、あたしの思考がエリー様にモニターされていたようで、「そんな事無いわよ、あんたは何処も壊れていないからそのまま思う通りに動いて見なさい。」ってメッセージが届きました。
むしろ楽しんでる気がします、でもエリー様の言う事には概ね間違いは無いと思うので、思い切ってやって見ようと思います。
早速ひろし君がお風呂に行きました。
脱衣所の引き戸を開けて中に入って行きました。聴覚スキルをフル稼働して、お風呂の戸が開くのを確認してダッシュで脱衣所に飛び込みました。
衣服を脱ぐに従って、顔の装甲がどんどん熱くなって行きます、人工心肺もどんどん加速して、破裂するんじゃ無いかと思う程に・・・
恥ずかしいので、一応バスタオルを巻いて、いざ、浴室に・・・
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短話:エリーの悲劇
-エリー-
なんか楽しい事に成ってるんじゃない?
それにしても、MkⅢグッジョブだわw
良いアドバイスよね~。
おもわずトライのバイタルと思考をモニターしちゃったじゃない。
忙しいんだけどね、これでも私。
とは言え、こんな面白そうになってるのなら電脳をフル活用してでも見逃す訳には行かないわよねw
さっき王様もすっかり良くなって貴族会館に姿を見せる事も叶えたし。
後はお祝いのパーティーだっつーから、これから厨房へ凸る所です。
自分に問題が有るんじゃ無いかと不安がって居るトライに、たった今メッセージ送っといた。
さてと、これから私は面倒な料理長とかの説得なんだけど、裏に楽しみが増えたからまぁ良いわ。
心の拠り所が出来たし頑張るとしましょう。
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お、ついにお風呂に凸るのね、ワクワク・・・
ってこのタイミングで突如話しかけられた。
どうやらセレナのお姉ちゃんらしい、メンドクセエから適当にあしらっとくか。
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ああ、色々やって今日は疲れたわ、王が一番良いお部屋用意してくれたみたいだし、今日は雰囲気を味わいながら寝て、昨日のトライの録画は明日じっくり確認しよう。
あ、でも明日も少しイベントが発生するはずなんだよね。
だって、明日、私の今書いてる奴の締め切りなんだもん。
担当のシャーリーが凸って来る筈なのよ。
今私は居ねぇし、居座られたりして楽しい事に成るんじゃないかしらw
ちゃんと電脳でモニタリングは続けてるし、各部屋に隠された映像監視ナノマシンで、まぁ一応監視して居るのでどうなるかは全部丸見えなんだけど、ここはトライの視覚情報に特化して録画する事にした。
さぁ、(精神的に)疲れたし、おやすみなさい。
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-翌朝—
うん、やっぱね、たまにはこう言うコッチの世界の寝床でも、こういう普通あり得ない豪華なお部屋だと雰囲気で良く眠れるのよ、良い朝だ。
さて、王都の朝市でもお散歩しながら録画のチェックでもしようかなーっと。
お城の門を出て、録画をチェックしつつ歩いて居ると、何だか正面から見慣れた顔が・・・
「リエナ・ラーカム先生! こんな所で何してるんです??」
何で居んのこの子・・・
私の担当者のシャーリーちゃんだ。
「あんた、何故ここに?」
「決まってるでしょう? 今日は締め切り日ですからね、原稿受け取りに来たんです!」
「いやそう言うんじゃ無くって、どうやって私がこの国に居る事を知ってる訳?」
「そんな事知る訳無いじゃ無いですか!先生の臭いを辿ったらここに辿り着いたんですから。」
ンな訳有るかいっ!
ここ迄の移動空中庭園やぞ?
しかもあっちの大陸に一度行かなければ臭いなんか辿れて堪るかっ!
マジでそうやってここまで?
っつーかこんな所に原稿持って来てねぇからここに来られても無理でしょうが。
出来てるけどね?
出来れば家に来てくれた方が都合良かった気がするんだけど?
でも今原稿が無いのは事実なのよ。
これってもしかして初めて原稿落す事に成るのかしら・・・
「全く、何でいつもいつも先生は色々違う場所に居るんですか?」
「いや、あのね、私も色々忙しいのよ、ここにも取材に来てるのよ。」
「あのですね、先生? 良いですか? 今日は取材でこんな違う国でブラブラ散歩してる場合じゃ無いでしょう?
今日は締め切りの日なんですから、私が原稿を取りに来る事位分かっててくれないと駄目じゃ無いですか。
なのにこんな私も始めて来るような国でお散歩してるってどうかしてると思いますけどね?」
「う、あうあう・・・そうですよね~・・・」
愚の音も出ないわ、何も言えない。
「そもそも先生は・・・(クドクド)」
そのまま小一時間説教されてしまった、録画見るどころじゃ無く成っちゃったわ・・・ 誰か、助けて。
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