第276話 グローリー冒険者ギルド

       グローリー冒険者ギルド

 -MkⅢ-

 シーマ領での結婚式が終わった所で、ギルドの方に顔出したりしたけど、実は式の合間に王様にせがまれてさ、飛空艇に乗せてあげる事にしたので、披露宴の為に王都へ向かうセドリック夫妻のジャイアントクルーザーに乗らずに待ってた王様を乗せて飛空艇でとっとと王都に到着。

 この王様ももしかすると元々転生者なんじゃねぇのかな・・・。

 すげえ興味津々でさ、「街の外に停泊する船のような物はエリー殿の所有物ですかな?」なんて聞いて来たもんでつい答えちゃったら乗せる羽目になった訳でね。

 で、仕方無くとっとと先行してお届けって訳だ。

 面倒だから王城の庭に降りてやったわ。

 ってかこの巨大な飛空艇がギリギリながら収まるんだから知れ程に広いのよ、この庭。

 いきなり降りたらアホの衛兵が飛んで来たけどなw

 うん、セドリックさんところの衛兵よりこっちの衛兵のが脳筋でおバカって事だろう。

 私が作ってやった槍でつついてたけど、飛空艇の外郭はアダマンタイトだから刺さらないよーだ。

 で、王様が降りたら皆驚きのあまりに平伏してたけど、あの頃王様寝込んでたお陰で国王の代官やってた王子は流石に転生者だけあって、大急ぎで飛び出して来て、「飛空艇だ! エリー殿、これ飛空艇ですよね?? 乗せて貰っても良いですか? 良いなぁ父上、これでお帰りに成ったのですよね?」

 とか捲し立ててた。」

 そんな王太子には、MkⅣが作ってたフェンリルギアとネクロノミコン【最新改定版複製品】をプレゼント。

 さり気無く電脳化もして置く事にした。

 この子さ、どうもジュドーさんよか少し前の時代の日本から転生して来たらしい、飛空艇の中見せてやって案内しながら聞いて見たら素直に答えてくれた。

 そのまま城の庭に停泊しとく訳にも行かないので街壁の外に出してから、王都のギルドに顔を出す事にした。

 イプシロンにも流石に情報行ってるしな、どうも集団意識みたいなのが構築されてて思考回路の接続回廊みたいなのが繋がってるらしいからね。

 デルタだけが外出られるんじゃ可哀そうだからな。

「お待ちしてました、エリー様。」

 戸を開けた瞬間に食い気味に挨拶して来るイプシロンの様子は流石に、よっぽどお外に置出たかったんだろうなと伺わせる。

「はいはい、出る方ら情報は言ってる訳ね、イプシロンも改良してあげるからそんなに騒がないでね~・・・

 ほい終了!」

「え? もう終わったんですか?」

 そりゃそうでしょ、戸を開けるのと同時にホムンクルス調整改造用のナノマシン飛ばしといたんだから。

「おおー、大賢者様御一行じゃ無いか、ちょいと私の部屋に来ておくれ。」突然奥の部屋から顔を出したミレーヌさんがギルマスの部屋へと私にお誘いを・・・うん、嫌な予感しかしねぇ。

 部屋に入ると、早速のように聞いて来た。

「率直に聞くよ、ローデストのギルドからの情報なんだが、アンタ等遭難した船の船員を救助してその後シーサーペントも倒してってぇけど、本当なのかい?」

 私、カイエンキース、クリス、マカンヌ、カレイラと、5人とも目が泳ぐ。

「はぁ、本当なのかい、で、そのシーサーペントはどうなったんだい?あるんだろ?皮とか牙とか鱗とかさ。

 なんたってどっかのギルドに卸されたって記録は無いからね!」

 そう来たか、あれがお目当てでしたか・・・

「その・・・実はね?

 ザインが「その話は聞いてる、ハイエルフに成ったんだってね。」」

 話を遮られてしまった。

「そ、その時ね、私、流石にキレちゃってね?

 260,000発程ぶん殴って殴り殺しちゃった、のよね・・・

 んでぇ、超回復のスキル持ったユニーク個体だったんだけど、それでも回復が間に合わなかったみたいでさ、鱗もボロボロ、皮もズタズタ、牙なんか粉々に粉砕しちゃって・・・ねぇ。」

 と、口に出した私の周りで全員項垂れて首振るばっかり。

 誰か私に代弁してくれようって気はねぇのかよ!

 ミレーヌさんまで頭抱えちゃったじゃんかっ!

「えっと、あのね、一応お肉と血は、あるのよ?

 殴りまくったお陰でお肉柔らかくなってて美味しいし、ほら、血はそのまま保管してあるし?・・・だめ?」

「色んな意味でダメだろうね・・・」

 そんなにガッカリしないでほしいんですけど。

 えっとね、でもほら、この血なんだけどさ、鑑定するとね?

 そうなのだ、鑑定すると、こんなカスな世界だったにも拘らず、この血は何故か、ファンタジーにありがちな、何でも治る、所謂万能薬の材料って事に成ってるんだよな。

 っつーかよ、こういうの細かく設定すんの途中でめんど臭く成ったんだろ、アスモデウスの奴・・・帰る前に寄ってもう一回蹴っ飛ばしても良いかなぁ、思い出したらますます腹が立つ。

 腹が立つと言えば、オーブって何処に居るんだ?姿見ねぇな。

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 -その頃-

「にゃ? あっれぇ~?? 師匠?

 可笑しいにゃぁ~、この空中庭園広すぎるにゃ、師匠とはぐれて迷子になったにゃ、おにゃか空いたにゃ・・・

 せめて食堂は何処にゃぁ~!!!・・・シクシク。」

 基本猫なオーブにはこの空中庭園は広すぎたらしい。

 すっかり迷子だった。

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 以外にも、ギルマスの目の前に血の入った瓶を出しても、「こんなもん何に使うんだ?」

 なんていう始末。

 おい、待て待て。

 まさかこの血で作る血清剤が何か知らねぇの??

 確か、この血と私のローポーションを混ぜると万能薬だし、未だ素材見つけて無いけど、アンブロジャって言う花の根を煎じて加えると、アクアヴィータ(エリクサー)ってなってたんだけどな、ナノマシン調べで。

 この大陸中にある本じゃ無かったけど。

 もしかしてそれ程に薬の知識って広まって無かったの?

 それにも関わらず薬師ってジョブがあったの?何それ。

 やっぱアスモデウスもっかい蹴飛ばしに行こう。

 そんな神薬作って置いて、こっちの大陸には神託下さなかったって事でしょう?馬鹿だよね。

 ムーにも無かったよ、そんなレシピ書き記した書物。

 これからカイエン達が旅するあの大陸でしょう、多分。

 私の認識が間違って居なければユーラシア大陸に当たるものだと思うけどね。

 にしてもホント、一部にしかレシピ公開しないって駄目駄目も良い所だよね。

 私が無償でネクロノミコンやグリモワールばら撒いてる位の普及しないとさぁ。

「ねぇ、血はさ、凄い素材みたいなんだけど?」

「それはどんな素材です?」

「万能薬の原料、だね。」

「ば・・・万能薬??」

「そうそう、状態異常の全てを除去出来る薬、みたいよ?」

「そんなの初めて聞くわよっ!?

 レシピとか知ってたら教えてっ!」

 むっちゃ食い気味に入れ食いして来た。

「ああ・・・んじゃぁねぇ、ハイこれ、私の著の、総合魔導書、ネクロノミコン【最新改定版複製品】ね。

 この巻末に、調薬について色々書いてあるから。

 あ、魔法に関しては使える人が使える属性の部分は読めるけど、使えない属性は読めないからね~。」

 私からネクロノミコンを受け取りつつも引きつった愛想笑いを浮かべるミレーヌさんがそこに居た。

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