第275話 フォード王国の新事業

       フォード王国の新事業

「済まないのだが、一つ頼まれてくれぬだろうか、めが・・・もとい、大賢者殿。」

 国王が復帰した事で貴族達から女神様言われて違うって訂正したんだけど、国王迄が女神呼ばわり始めたので止めろっつって小一時間説教した結果、大賢者とさんざ呼んでた癖して女神と言い掛けてから大賢者と言い直すと言う始末。

「ちょっとぉ、女神言わないで頂戴!私は只のハイエルフだっつーの!

 もう一時間くらいお説教聴きたい?」

「いや、すまぬすまぬ、一度こうと思い込んでしまうとなかなか・・・

 所で、願いを聞いては貰えるのだろうか?」

「はぁ、まぁ折角乗り掛かった舟だし嫌とは言えないわ、で?何?」

「我が国はようやく国として旗揚げ出来たばかりの新興国、他国との交流を深めて行く為にも何か貿易等出来うる特産物が欲しい所なのだが、いかんせん未だにこのカフィーの実を筆頭に他所の地には見られない果実と、国内消費が精々の農産物位しか無いのだ。

 果実は輸送に耐えうるとも思えぬし、まして他の農産物に関しては国内で消費する程度の収穫高しか無い。何か良い手は無いものかと思ってその知恵をお貸し願えない物かと・・・」

「成程、そうねぇ・・・昨日一日滞在して、食事を頂いて思った事は、この地で作って居る農産物は小麦とジャガイモだけよね?

 でもこの二つが作れるのならば、南半球とは言え、気候は温帯から少し寒い方の気候と言う事、だよね。

 幸い、国の周囲の土地は未開と言うだけで、この広大な森と小高い山々を開拓するだけで十分に収穫量を増やす事は可能だ。

 少し温暖な気候になる南側の平原では唐辛子とかスイカや柑橘類を・・・ん?

 まて? さっきカフィーっつった?

 南側の暖かい気候の高原でカフィー作らせて実を醗酵させて取り出した種を乾燥させて炒ったらコーヒーだろ、それ。

 良い特産物になるじゃ無いのよ!

 高原側で輪作しちゃうか。

 手始めに、ジャガイモ→小麦→クローバー→トウモロコシの順でやっちまって、クローバー畑は牛を放して牛乳と肉と、うん、なんか完璧な作付けだな。

 果実は、ブドウと白桃とリンゴ位作らせてみるか。

 あ、勿論コーヒーは作らせるし、

 北側の平原の方ではサトウキビや、マンゴーなんかもハウス作ったら作れそうだ。

 更に、この国の食べ物って、国の位置は南米位の場所なのに、食べ物の好みがなんか粉物なんだ、ピザっぽい物とさ、ジャガイモと小麦粉混ぜたニョッキみたいな食べ物が概ね主食になってた。

 南側の方の広大な平原は、今立派な雪原と化してるので、ジャガイモと玉ねぎ、大豆、トマト、ナス、カブとか作らせて、

 この国ってさ、国自体はこの城塞都市一つしか居住できる場所が無いだけで、土地は何も無かった所に一代で開拓したこの王のオッサンが作ったばかりの国って事なので、開拓さえしたら新たにこの国の土地になる筈なんだよ、ただ問題なのは労働力が足らんのが原因で貴族に領地を宛がっても開拓できる程の人が揃わないって言う変なジレンマが生じてるだけ。

 新しい農法を広めてやって生産量が増えれば10年ちょいもしたら人も増えるんじゃね?

 良し、先ずはこの輪作とかやらせる、決定。

 次、特産物か・・・

 小麦を小麦のままで保存する位しかして無いんだな、粉ダニとかの温床に成りかねないからせめてパスタにして乾燥させて補完とかやるように仕向けるか、南側は割と寒いって事はだ、フリーズドライが天然で出来るっつー事だよな?

 良いじゃん。

 乾燥麺、作らせましょう、そのまま勢いで出来そうだったら即席ラーメンとか流行らせよう。

 あ、そんな事思い付いたらさ、天然フリーズドライに頼らんと、工場作らすか。

 製麺工場とフリーズドライの加工場を隣接させて作って大規模の工場にしたら輸出も可能になるしな。

 仕方ねぇ、そこまで手を貸してやるとしよう。

 そう言えばさぁ、ここの土地って、東に少し行くと、私が南米っぽいと迄言った程の立派な南北に延びる大山脈が有るんだ。

 その大山脈をねナノマシンで調査した結果、殆どの地域で鉱山になってたりする事が判った。

 これを利用しない手も無いよね。

 あ、ちなみに、グローリーの北のアルファード皇国にも巨大鉱山が有ってそこにドワーフの集落が有るって聞いてるけど、こっちの鉱山には、ドワーフの集落とか村ってレベルじゃ無く、ドワーフの王国が有ると言う事を確認出来ている。

 そこの王族をエルダードワーフと言うらしい。

 何でも進化したドワーフで、通常のドワーフの40倍位の寿命と怪力を持ち合わせて居る、らしい。

 確かさ、ドワーフ自体が金属加工に向いてる怪力で、使う鉄槌は重量800㎏にもなるとも聞くんですが、その40倍の筋力ってあのね・・・まぁ兎に角ドワーフの国の主張して居る領地はその東の山脈の南の方らしいのでここから最短距離で行ける付近は誰も領地として主張しては居ない筈。

 平均、標高2500mの高い山の連山なので、ある意味掘り放題だろう。

 埋蔵量もさることながら、裾野から真横に掘って行くだけで鉱石の層に辿り着くと言うのは大変掘り易くて良いのでは無いだろうか。

 この鉱山で機材の材料は確保できるし、機材製作者の私が居なくても整備出来たり、工場増やすのに技師が必要よね、良し、作ろう。

 普段から定期点検とか衛生管理させる名目で工場警備も兼用させちゃえ。

 よっしゃ、AIの方向性は決まった、性格は暗い人じゃ周囲に受け入れられないだろうから明るい子が良いかなっと。

 工場の社員食堂の賄いさんも兼任で、エーテルコンプレッサーで吸収圧縮してマナを構築し、マナ・リアクターで動力を得ると言う永久機関を動力にし、人の全身義体と同じ構造を持つ義体を稼働するAIアンドロイド。

 アイン、ツヴァイ、トライ(ドライ)、フィアー(フィーア)、まで作ったから次は、フンフか・・・今一つ可愛く無いから・・・どうしよう。

 フンフ・・・うーん、どうにか可愛い名前に成らない物か・・・ファム、これで良いかな、割と可愛い感じになったとは思う。

 ファムを早々に作り上げると、私は、この国の貴族達の集まったこの会議場で、悪だくみ(?)を相談するのであった。

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