第266話 シーマの結婚式

       シーマの結婚式

 私の所に蕎麦と天婦羅が運ばれてくると、それを見ていたクリスとカレイラがこぞって同じ物を注文する。

「なんだお前ら、相変わらず私のと同じ物にするのか?」

「だってぇ~、エリーと同じ物なら間違い無いんだもん、ね、カレイラ。」

「ですよね~、エリーさんが食べてる物に不味い物は有りませんから。」

「おまえらな、この食堂で不味い物なんか出さねってば。

 私が厳選した食材をふんだんに使って、私のレシピで作らせてるんだから。」

「それでもねぇ~、エリーの食べてる物っていつもその時一番おいしい物って言うイメージが強くて~。」

「そうなのか?カレイラ。」

「そうなんですよ~、エリーさんの食べてる物っていつも一番旬の物って言う印象です。」

「まぁ確かに、この時期だとお蕎麦も新蕎麦の時期だし? 天婦羅もマイタケに紋甲イカに三つ葉、ナス、薩摩芋に南瓜、どれも旬の食材の物だし、美味しいけどね~。」

 と、言いつつ、私は南瓜天を抹茶塩で一口。

「ん、美味しい。」

「ほら! 絶対美味しそう!」

「ですよね~、私のも早く来ないかな~。」

 ハコンダーZ2号機AYAKAが、何だか軽快なステップを踏んで二人の天ぷら蕎麦を運んで来た。

 そんな軽快なステップは良いとして溢すなよ?

 とか一瞬思ってしまいつつ、蕎麦をお箸で一掴みして蕎麦猪口へと運ぶ。

 麺を半分位汁に浸して、口へと運び一気にすする。

 ん~、やっぱ新蕎麦の十割は香りが違うわ~。

 って、ストレージに仕舞ってしまえば時間が止まるのでいつでも新蕎麦でいけるんだけどねw

 そしてクリスとカレイラの二人が、蕎麦と天婦羅に感激し、そのままテンションMax状態でお風呂へとそのまま雪崩れ込んだ。

 お風呂でもテンション高いままの二人だったが、そんなさ中、1人冷静にクリスのお腹は未だ目立っては居ない様だなと一応確認して置いたりする私。

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 風呂を上がって、やらかして作って見たコーヒー牛乳を飲みながら、明日は早いから早く寝なさいとクリスとカレイラに諭している間、マカンヌが私の髪をドライヤーで乾かしてくれている。

 一寸したプチ女子会のような光景だ。

 たまにはこうやって楽しむのも悪く無いね。

 さぁ、髪も乾いたし、朝から皆のメイクとかで忙しいからそろそろ寝よう。

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 快適な船旅、最上級のベッドによる最高の眠り、そして爽快な目覚め。

 ん~、良い朝だぁ~、心成しか懐かしい匂いがする、気のせいだろうけど。

 気のせいでも何でも懐かしい匂いがする気分なのは、既にこの飛空艇がシーマ領上空に居るから。

 艦内転送ゲートに乗り、ブリッジへ向かう。

 すると、今まさに、シーマブルクの街壁がまさに正面に見えていて、どんどん迫っていた。

『シーマブルクへ到着しました。』

 丁度アナウンスも流れたようだし、支度するか。

 カレイラとクリスを呼び出して先ずは朝ごはん、その後ドレッサールームでお化粧だね。

 今朝の朝ごはんは、多分結婚式の後に食べる事に成ると思われるシーマ領の食事が洋食だから、和食で。

 鮭定食にして置いた。

 カレイラも、私が渡しといた基礎化粧品でお肌のケアを欠かさなかったクリスも、二人ともお化粧のノリが良いからナチュラルメイクで十分だ。

 ホッペに薄ぅ~くチークを入れて、アイラインで目をぱっちりと、口紅は、ブルーベースのカレイラは少し暗めのピンク、イエローベースのクリスには、オレンジ色に近い明るいピンク。

 あ、勿論チークもこの二人で使う色は少し違うわよ?

 で、最後に私も。

 私はイエローベースだからそっち系のメイクです。

 メイクが終わったら、早速お着換え。

 そんで美女軍団の完成でーっすw

 キースとカイエンもダンディーになって隣のドレッサールームから出て来たし、それじゃ行こうか。

 街門の脇に停泊した飛空艇は、まぁこの街の衛兵ならば、私の仕業だとは思って居るだろうから大して驚かないだろう、と思って居たら、空から巨大な船が降りて来たってんで神船か?とかって一寸した騒ぎになってた、学習しろよお前らw

 出て来たのが私達だったもんでドッと脱力してやがったけど、私の仕業だって気づけよな。

 でも、その私自身も急激に成長したように見えたらしくて驚いて居たけど、胸だろ?胸で判断したろ、お前ら。

 これがMkⅣだったらあんまり変わって居ない筈なので、私ってもっと判り易かったかもしれないけどさ、いっぺん思いっ切り殴ったろかな、こいつ等。

 特にオスカル、お前一番失礼な事言ったぞ?

 思いっ切り胸に視線を、あからさまに向けて、「成長したなぁ、良かったなぁ。」だと・・・

 いっぺん死んで見たら良いと思うわ、マジで。

 まぁ、兎に角思いっ切りドレスアップした私達は衛兵達にも大好評だったのだけは確かなのでまぁ今回は許してやろう。

 衛兵が連絡したらしく、セドリックさんがローレルさんの警護付きで出迎えてくれた。

「よく来てくれた、エリー殿、カイエンご夫妻、タイタンズ・・・?

 氷結の魔女ザイデリュウス殿の姿が見えない様だが・・・」

「ああ、彼女は、シーサーペントとの戦闘で・・・。」

「そうか、惜しい人物を無くしたな・・・」

「イヤぁ、死んだんじゃ無くって、今はこう。」

 と、タブレット端末を取り出して写真を見せる。

「は? いや、え? どういう、えぇ??」

 混乱するセドリックとローレル。

「ああ、大怪我をしてね、私が新しい体を用意したのでそっちに移って貰ったんだ、今では私の娘で、マリィちゃんって名前よ。

 種族はハイエルフに昇華しました。」

「意味が解らないのだが?」

「うん、私もどう説明したら簡単に判って貰えるか判んない、一晩位かけて語らないと理解不能と思うわよ?」

「はぁ、なら良い、判った、その内本でも出してくれ、リエナ・ラーカム先生。」

「な、何故あんたがそれを知って居る?」

「実はセレナがファンでな、何気に置いて在った物を読んでしまったんだ、そしたら、男性同士の同性愛がメインの話だったようだが、どう見てもモデルがカイエン殿とキース殿だったので気付いてしまったのだ。」セドリックが声を潜めて耳元でコッソリと告げた。

「うう・・・バレてたのか、判ったよ、その内な。」

 って言うかセドリックよ、BL小説読んでハマってんじゃねぇよ!

 何なんだコイツの守備範囲の広さ、あ、そっか、奥さんの趣味なら何でも許せるってぇアレか。

 まぁ良いわ、ばらさないで居てくれるみたいだから、ホントその内って事で本体に電脳通信で伝えておこう。

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 手始めにセドリックさんの居城の応接で待機になった。

 そして、二人の用意が出来たらしく、ジュドーさんの駆る馬車に乗って教会へ移動する事に成った。

 ジュドーさんにもコッソリ電脳化ナノマシンを・・・っと。

 これでジュドーさんが強化装甲に乗って戦う時には、どっかのチリ毛やどっかの赤い人じゃ無いけど機体との親和性が上がって反応速度が飛躍的に高くなるだろう。

 こっそりやるから楽しかったりするんだよな、これがw

 さっきの応接室にはネクロノミコン【最新改定版複製品、魔法特性開花ナノマシン及び電脳化ナノマシン付属】を置いて来たし。

 教会に着いて、驚いた。

 貧民街の端っこにひっそり建ってる小汚いちっぽけな教会って印象だったのが、改修されて綺麗になってる、こんなに儲かったんだなってつくづく思う。

 チャペルに入ってさらに大きな変化に、困惑する。

 アスモデウス像が・・・・・なんで私の聖女像になっとんねんっ!

 しかも、仮面被って無いのに神父走って来て私に深々と一礼・・・

 私って何でバレてんのよ。

 後から時間を見つけて話聞いたら、「ローデストの神様没落事件~聖女に蹴飛ばされる元神。」の一連の話が既に伝わって来て居るらしい・・・くそう、何でこうなった?

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 兎に角、式が始まった。

 セドリックさん嬉しそうで良かったのだけど、いつから居たのか知らない王様がセレナの手を取りエスコートして出て来た時には私もクリスも驚いた。

 良かったわ、ちゃんと元気になって。

 ンで、王様ってば聖女枠でローブ着てる私とクリスの二人に一礼づつして私の隣に座ったんだよねぇ、もっと良い場所あったろうに。

 王妃様ってそう言えば、お亡くなりになっちゃったらしくて、居なかったんだ、はじめて知ったわ、その事実。

 式の間、私に小声で話しかけてくる王様。

「貴女がエリー殿ですかな?

 息子から伺って居ります、何から何まで貴女のお陰のようで、大変感謝し切れぬ程に恩義を感じておるよ。

 本当に、我が国を、国民を救って下さってありがとう。」

 私にもう一度お辞儀をする王様に、隣で困りまくる私。

「頭をお上げ下さいませ、一国の王都も在ろうお方がこんな一介の平民に頭を下げてはいけませんよ。」

 私がそう言うと、何をおっしゃるのか、大賢者ともあれば王であろうと頭が下がると言うものだと笑っていなされてしまった・・・とにかく、セドリックのモーニングもダンディーだが、ウエディングドレスのセレナがもう、マジ女神じゃねぇかっつー位神々しい感じで超絶美女だったよ。

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