第265話 式に出席する為に

       式に出席する為に

 -MkⅢ-

 全員を連れて、こんな事もあろうかと飛空艇内に作って置いたテーラーズルームへとやって来た。

 こいつ等皆、すっかり電脳を使い熟して居るらしい。

「この端末で自分の顔の写真を撮ってサンプルの服の写真と組み合わせて行けば良いんだな?成程。」

 流石は全身義体を使い熟して居るだけはある、カイエンが楽々と端末を使い熟してスーツ選びを始めている。

 その横でキースも無言でヴァーチャルフィッティングしてる。

 マカンヌ、クリス、カレイラもドレス選びで楽しそうにキャッキャウフフしている。

 そこに私が飛び込んで行ってクリスにツッコミを入れる。

「クリス、お前は聖女枠だからドレスじゃ無くてローブだろ?」

「えぇ~、折角可愛いのに、このドレス~。」

「でもなぁ、ローブだってバカに出来ないぞ、どうだ?これ。」

 私がクリスに似合うと思って用意しておいた画像を出してクリスに見せる。

「エリー・・・これって・・・」

「ん?何だ?気に入らなかったか?」

「すっご~い! マジマジ?これ私の顔写真よね?」

「ああ、そうだとも、メイクは私がやってやるぞ。」

「良いっ!これ良いっ!!!」

「気に入ったらしいな、この豪奢なローブ。」

 クリスの異様なテンションを見たキースが覗き込みに来るも、私とクリスで阻止。

「男子はダメ、特にキースにはまだ見せない。

 現物見て惚れ直せ?」

 ニヤニヤしながらも追い返す事に。

「ちぇッ、悔しいから俺も逆にクリスに惚れ直させる位の選んでやるぜ。」

「お、良いね、その意気だぞ?キース。」

「わたしもぉ~、旦那に惚れ直させちゃおうかしらぁ~?」

「お、ノって来たね?マカンヌ。」

「お母さんは折角全身義体で若返ったんだからもう少し露出の多いのが良いと思う。」

 カレイラもノリノリだ。

 ふっふっふっふ、そんなカレイラに、男どもがほっとかないような可愛くて豪奢なドレスを実は私が用意してあったりするのだ。

「そんなカレイラには、これとかどうかな?」

「・・・・・・。」

 無言でそのフィッティング合成写真を見たカレイラが無言、そして、そのまま無言で首を縦に振りまくる。

 何処のパンクロッカーだよお前、すっげーヘッドバンキングだぞ?

 首の骨折れるからその辺にしとけw

「所でエリーはどうするの?流石に白衣はダメだよ?」

 クリスに良いツッコミを貰ったので、私は私で、聖女だ天女だと言われてちょっぴり調子に乗って以前に作って見た画像をそのまま端末に表示させて見る。

「うわ、これ、すっごい、女神?」

「おい、それは言い過ぎだろ、流石に。」

「いやいや~、エリーさん流石ですよ~、元がむっちゃ良いから本当に女神様みたいですよ~?」

 カレイラもノリノリだ。

 全員決まったらしいので、一人一室づつ採寸室に入って、一斉にテーラーズメイド作成開始。

 ちなみに、今回使う生地は、ジャイアントクロウラーの糸を縦糸に、横糸はそこいらで良く出て来る割に良い糸を出してくれる、硬い体を持つ蜘蛛の魔物、シェルスパイダーの糸を使ってとんでもない強度の布を完成させたのでそれを使って見る事にした。

 とんでもない強度の割に、すっげー肌触り良いんだよ、これ。

 男性陣のスーツの裏地はサテンで、シャツとの摩擦係数を低減させる事で動きやすさも実現しておく事にした。

 完成した物を全員で着て一斉にお披露目し合う事にした。

『全員準備できたか?』

『『『『『準備完了~。』』』』』

『んじゃ出るよー、一斉のーせっ。』

 カイエンとキース、まさかの蝶ネクタイかぶりだったw

 カレイラは私の提案したのを着ている。

 ちなみにフィッティングルームに入る直前に先にお化粧してあげたから完璧だ。

 クリスもとっても清楚で凄く美しい感じ。

 マカンヌは何着ても似合うだろうとは思っては居たけど、凄くゴージャスでどこの深窓の令嬢かと言う程だ。

 うん、キースもカイエンもダンディーで男前だ。

「うん、皆良いじゃ無いか、ちなみにセドリックさんご夫妻もジャイアントクルーザーで衣裳作ったらしいから、スッゴク豪奢な衣装でとっても素敵な式になりそうよ?」

「さ、明日の朝にはシーマ領に到着するから、今着てる奴は皆一旦脱いで元の服でご飯食べてそろそろ寝ちゃいなさい、私も食って寝る。」

「そうだね、楽しみ~。

 キース、着替えてご飯食べに行こう、これにも食堂あるし、新しいメニューも有るみたいだし。」

「おう、そうしよう。」

「お父さんお母さん、私達もそうしよ。」

「そうねぇ~。」

「そうだな。」

「じゃあみんなで飯食って風呂でゆっくりして寝るか。」

「あ、やっぱお風呂も有るんだよね。」

「当たり前だろ? 誰が作ったと思ってるんだよ、この飛空艇。

 さ、先ずは晩御飯だろ、既にほっといても明日の朝にはシーマ領だ、着る物は出来たし後は自分たちのケアだから、とっとと行くよ、食堂はこっちよ、ついてらっしゃい。」

 飛空艇内部の食堂へと、全員で移動。

 最新鋭の飛空艇食堂には、本体があの家で色々と作ったりひろし君に作らせたお陰で確立した超旨い海鮮料理や和食系の物がぐっと他の機体と比べて増えていて、レパートリーメニューは600を超えて居る。

 特に私のお勧めは、ひろし君が来た時にうちに持ち込んだ上質な天然物のショウガを見た本体が私にショウガを掘る事をもう一つの使命としてくれたおかげで大量に確保してある訳だが、これを使った生姜焼きと、時雨煮。

 他にも、私が見つけては勝手に収穫して居た蕎麦とワサビを使った十割蕎麦もお勧めだったりする。

 蕎麦だけじゃ無くてその汁にも自信ありな一品だもん、私は今日はこれです。

 関東式でも信州式でも無いお出汁の取り方、出雲蕎麦のお出汁の取り方を私が私の持てる料理スキルをフル活用してより最適に、オートクッカーでは無く私の作ったお汁をオートクッカーのストレージに保管してあり、それを使う事で最高の蕎麦にありつけると言う訳。

 読者諸君、食べて見たいでしょう?

 ダメ~、提供出来ません。

 だって私にしか作れないもぉ~ん。

 さて、天ざる天ざる、これこれっと。

「いただきまぁ~っす。」

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