宇宙戦争時代の科学者、異世界へ転生する【創世の大賢者】

第260話 Gの恐怖(黒い悪魔)

　 　　　　　　Gの恐怖(黒い悪魔)

「のあぁっ！！！！！！！

　ひっ！！！！！

　ンぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！」

「エリー様、どういたしました？」

　私の悲鳴を聞いて一目散に飛んで来たのは、アインだ。

「あ、アイン・・・で・・・出た！出たのよぉっ！！！」

「エリー様、落ち着いて下さい、何が出たのでしょう？」

「ききききききまってるでしょ！

　Gよ！G！

　あれだけは苦手なのよぉぉぉ～～～～～～！！！」

「成程、アレですね？」

「は、早くそこに居るアレを何とかしてぇ～～～～！！」

「畏まりました、撃退いたします。」

　ガシュ・・・的な音がしたと思えば、アインは腕に仕込まれた308マグナムカービンライフルを構えて居るでは無いか。

「ちょぉ～っと待ったぁっ！」

「如何なさいましたか？エリー様。」

「あんたね、いくらなんでもそんなもんぶっ放したら屋敷に風穴開くじゃないのっ！

　戦車の装甲もぶち抜くライフル使わないで！

　これから冬なんだから隙間風の吹く家にしないで！」

「では、いかが致しましょう。」

「こ・・・これで何とか。」

　私が取り出したのはブラスターガン、これを威力を絞って撃てば精々壁に焦げ跡が付く程度であんな黒い悪魔位なら殺害できるだろう。

「畏まりました、では、お借りいたします。」

　私からブラスターガンを受け取ったアインは、威力を最大値にしようとしたので、もう一度止める。

「待って待って、最大値にしないでよね！

　最小値にして頂戴、精々外しても壁に焦げ目が出来る程度の筈だから・・・ひっ！動いた！」

「了解しました、最小値で頑張ります。」

　アインが構えて撃つ

　Ｇがそれを躱すようにランダム軌道に走り始める。

「ギャぁぁぁぁぁ！！！来ないで！お願い来ないでぇぇぇぇ～～～～！！！！！」

　逃げ回って飛び跳ねる私をあざ笑うかのように、黒い悪魔はアインの攻撃を躱しつつ私にそのプレッシャーを与えて来る。

　くそうっ！ＮＴかっ！

「こいつ！速い、やりますね。」

「そんなどっかで聞いたような聞かなかったような微妙なセリフ言って無いでとっとと殺してぇぇぇ～～～～！！！」

　私の足元へと一気に加速をして走るそれを必死で飛び退いて避ける。

「ひィっ！！」

　尚もしつこく食い下がろうとするＧ。

「イヤっ！」

　頑張って避け、アインの背後へと走ってアインにしがみ付く私。

「エリー様、放して下さい、奴をとらえきれません。」

　その時だった、Ｇはその漆黒の羽を広げ、飛び上がったのだった。

　奴の必殺技、”フライング・G”だ。

「ひいぃぃぃぃっ！！！」

　咄嗟にアインを盾にするようにしゃがみ込んだ私。

　すると、私に引っ張られて狙いが定まらずブラスターが撃てなかったアインの顔面に、それは張り付いたのであった。

『ピー！　損傷無しにして多大なダメージを確認、殲滅モードに移行します。』

「あ・・・やべっ。」

　取り急ぎ、ツヴァイに電脳で指示を飛ばし、マリイを抱きかかえて猛ダッシュで家の外へと避難をする。

　暴走モード、と言うか、むしろバーサーカーモードになってしまった以上、避難しないとコッチが危ない。

　地下の研究施設までは被害は出ないとは思うけどな、一応シェルターになってるし。

　そして、私とツヴァイ、トライ、長期休暇から戻って来たばかりのひろし君は屋根が傾き、倒壊するまでの一部始終を、呆然と見守るのだった・・・

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　-MKⅢ-

　ったく！

　あんなもん秘匿しておくわ、真っ先にMKⅣなんてポンコツにそんな重要なもんを預けるわでえらい目に遭ったわよ、ったく。

　ようやくドックに戻し終えた３号区画のドックに飛空艇を収めた私は、一言本体に文句言ってやりたくて目標を拠点に設定して移動、間もなく到着予定だった。

　間も無く拠点が眼下に見えて来る筈・・・だったのだが。

　ナニコレ、廃墟になってるじゃないのよ、ってか、未だ潰れてる真っ最中？？

　何があったのよ全く、本体、実験に失敗でもして家吹き飛ばしたんじゃ無いでしょうね。

　兎に角三号区画は放って置いても上空で停止するのだから、私は三輪バイクに飛び乗って地上へと降り、走り出した。

　暫くして、拠点への一本道を見つけ、それを拠点へ向けて走り抜ける。

　すると、拠点の家の前に、整列してアホ面並べて呆然とする、本体、ツヴァイ、トライ、ひろし君を発見。

「ちょっと何してんのよあんたら、何があった訳？」

「ああ、MKⅢ、良い所に戻って来てくれたわね。

　三号区画も持って来てくれたんでしょう？」

　やっぱそこまでお見通しかよ、このロリババアめ。

「ねぇ、どんな状況なの？アインはどうしたの？」

「アインはあそこよ。」

　本体が指差したのは、倒壊した家。

「へ？意味が判んない。」

「出たのよ・・・あれが・・・」

「出たって何よ、アレって？」

「Gに決まってるでしょ！Gにっ！」

「ああ、そう、で、Gとこの状況にどんな関係が？」

　ひとしきり、軽いパニック状態の本体の話を何とか整理した私は、頭を抱えるしか無かった。

「つ・・・つまり、Gが出てあんたがパニックして、アインが対処しに来たけどなかなか倒せず、”フライングG”を許してしまってあんたがアインをしがみ付いて動きを制限したおかげでアインの顔面への着地を許してしまった・・・と。」

「・・・・・・あ・・・あい。」

　若干幼児退行気味の本体の拙い言語で何とか返事が返ってくる。

「それで、アインが何故かバーサーカーモードになっちゃった・・・と。」

「しょうれしゅ・・・」

　もはや半べそ状態の本体、よっぽど怖かったのね、Gが。

「だから電脳通信で言っといたじゃないのさ、対G結界を編み出したから早めに使っとけって。」

「だってぇ、忙しくて・・・」

「忙しくてもなんでもあんなもんちゃんと詠唱してもせいぜい３分で結界張れるでしょうに！」

「しゅみましぇんれちた。」

　しょんぼりする本体からマリイを奪い取って、愛でる私。

「仕方ないママでしゅね～、MKⅢママが快適なお部屋用意ちてあげましゅからね～。」

　もうすぐ、三号区画は上空へたどり着く筈だ。