第252話 空中・・・庭園・・・え?
空中・・・庭園・・・え?
-MkⅣ-
「ねえ、折角例の人物と思われる奴の所在が分かったのに、なんで行かないのさ。」
「MkⅣ、アンタさ、そんなに慌てないの。
私はマリイのお世話に忙しいのよ。」
「んじゃさ、アインとツヴァイ貸してよ。
連れてって私のサポートに回すから。」
「ダメ、あの子達は私が忙しい分この家を任せているんだから。」
「えー、一日だけだし良いじゃん。」
「連れて行くんならトライだけで良いじゃ無いの。」
「え~、トライじゃ何しでかすか判んないしヤだよ~。」
「ほんじゃ諦めるんだね~、あ、そうそう、MkⅣってさぁ、MkⅢと違って、この家拠点にしてお出かけしてるだけだからさ、あの子よりずっと甘ちゃんよね?」
「何でMkⅢが出て来る訳?
判ったよ~、自分でなんか作るし、もう良い!」
私は少し不貞腐れて、ドック内のラボに4日籠った。
「ふぅ、やっと完成、4体のAIアンドロイド、動力は魔素変換エンジン。
このエンジンの小型化に手古摺ったわよね、疲れたわ、寝る。」
そのまま丸一日寝た・・・
いや流石に限界だったね~。
いくら電脳のお陰で寝ながらでも動けるっつったって、体の疲れはとれないしなぁ。
全身義体じゃない以上は、そんなに何日も貫徹できるもんじゃ無いよね。
殆ど気絶w
何かね,ウトウトして次の瞬間翌日だったってな具合よ、びっくりしたよ~、マジで。
んで、起動した覚えのない睦月、如月、弥生の三機に起こされたわよ、これ絶対起動したの本体よね・・・
4体目の卯月は私の為にご飯の支度してくれてたし。
どうよ、私の作ったAIアンドロイドは、良く出来た子達でしょう?
「母上、お食事出来ました、どうぞ。」
「ありがとう、卯月。 頂きます。」
スッゴク盛り付けも奇麗、美味そう・・・
では・・・先ずはこのお味噌汁を。
・・・・・ん? 何じゃ?
ナゼコンナニオイシクナイノデショウカ・・・
何故か味が無い・・・
錯覚かと思って今度は卵焼きに手を付ける。
うぐ・・・不味い・・・クッソ不味い・・・
何でこんな異様な甘さなのだ。
むしろ砂糖より甘いぞ、どうやったらここまで甘くなる?
こんな出来る女ふうの容姿でこんな美味しそうな盛り付けが出来るのにまさかのメシマズだったぁっ!orz
こ、これならきっと! 既に開いて干して焼くだけになって居るアジの開き!
これなら焼くだけだし誰が焼いても同じになる・・・筈・・・
駄目でした(シクシク)
何でこんなに、生臭いのだ・・・
もう、嫌。
うう、AIなのに、アンドロイドなのに、人造人間なのにどうしてこんな酷い事に???
気を取り直して、ストレージに仕舞って置く事にした。
「う、卯月、ありがとうね・・・大事に頂きます・・・」
「はい、お母さま。」
満面の笑顔の卯月。
何でこんなアホの子に成ったんだろう・・・
まぁしゃあない、出かけるとしよう。
丸一日寝てたもんだからさ、今既に昼過ぎなんだよね・・・
これから名古屋だと、夕方なんだ。
向うに付いたらどっか居酒屋でも行って食べよう、お腹減った・・・。
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出発しようとして居る所に本体がやって来た。
「あら、こんな時間からお出かけ?」
「ああ、うん、って言うか、この子ら起動させたでしょう?」
「うん、折角MkⅣが自力で作った子達だから、どの程度の出来か確認しときたかったしね、あんた起きないしさ。」
まぁしゃぁねぇか、自分自身でも有るからこう言うの見るとほっとけないのも知ってる。
「ちなみに、何だけどね、卯月に変なプログラム追加して無いわよね?」
「そんな、折角あんたが自力で作り上げた子達の性格変えるような事しないわよ、4体作ると大概何かしらの変化があるもんだから、その一環でしょう?私の作った子達も色々あるからさ。」
そうなんだよ、そんなもんなんだよ、どうしてか、違いが出て来るんだよね、これだけはどうしてそうなるのか不思議なんだよね。
「ああ、そうそう、MkⅣさぁ、ちょっと良いかしら?」
んじゃ出発、と思ったら本体に呼び止められた。
「ん? どした?」
「あんたさ、完成したばっかりのAIアンドロイド連れて攻略しに行く気なんだろうけど、この子達だって戦闘経験積ませた方が有利の筈よ、このまま凸ったら負ける未来しか見えないんだけど?」
「ふむ、言われて見ればそうよね? どうしようかなぁ・・・」
「ノープランだったのか、そんじゃぁさ、この大陸の最西端から攻めたらどう?」
面白そうな申し出だと思う。でもそれって・・・
「ねぇ、それやっても良いけど、私にもこの大陸旅しても良いって言ってるのと同じなんだけど?」
「うん、良いわよ? あんたこそ旅させるんだったと今更ながらに思ってるのよ、私としてはね。」
「本当に良いの?」
「私の気が変わんない内に行きなさい、あ、ちなみに、あんたがアンドロイド作ってる間に、作っておいたから、乗って行きなさいな。 あれ。」
本体が指差した先には、何だか大きめの船が・・・
でもなんか少し変。
しかもね、今は屋敷の外に居る訳なんだけど、本体が指差したのは、海の方、つまりうちのお屋敷は海沿いの崖の上に立って居るんだから、崖の向こうにある。
それでこうやって見えてる・・・浮いてる???
「まさかとは思うんだけどさ・・・これ・・・」
「うん、そのまさか、飛空艇、と言うより、空中要塞な?」
は????
空中要塞?
バビロンでも作ったと・・・でも???
何時の間に??
どゆ事???
「く、空中要塞???」
「そ、空中要塞。
ちなみに自己防衛システムも搭載されてる優れもの。
あと、ドラグライダー20機とMkⅢの系譜の少し大きめバージョンのクリムゾンスパイダー10機、カメリアガルーダが30機、それと、新造の大陸間超音速大型爆撃機、ルビーワイバーンが5機搭載されてるからね♡」
「待てぇぃいっ!!!
お前は何処と戦争する気ぃじゃっ!
これだけあったらこの世界の人類滅ぼせるだろうが!!!」
「てへっ♡」
「てへっとか言うとる場合かいっ!
もしかして本体アホになった?」
「いんや?私がこれ作った経緯はね、この間MkⅢが討伐した盗賊団の経緯からね、やるなら徹底的にやろうかと思って。」
「や・り・す・ぎ!」
「そうかなぁ・・・まぁいいわ、ほら、女の子一人旅だし?念には念を入れて、ね?
あ、それと、途中に名古屋寄ってご飯とか考えてたみたいだけどさ、行くんなら探して来て、名古屋コウチン。」
「はぁ、もう無茶苦茶するなぁ、まぁ、敵認定した相手に容赦ないのは自分自身だから判ってたけどね・・・
名古屋コウチンね、了解、探して見る。
あったらストレージで良いよね?」
「むしろ生きまたままのが欲しいからさ、見つけたら輸送機で丁寧にお送って欲しいかな。
んじゃ気を付けて行ってらっしゃい。」
「何処をどう気を付けないといけないのかむしろ教えてくれ・・・」
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実際に空中要塞と言うか、空中庭園に乗って見ると、途轍もない広さだった。
本体曰く、庭園内だけで自然循環が確立して居る・・・らしい。
実際にブリッジたる城以外は広大な庭園となって居り、そこには、様々な動植物が生息、兎やリスなどの小動物から、熊等の大型の動物、草花や木々がちゃんと生態系を築いて居る。
そんで、これがこのまま浮遊している。
結界で落ちないように保護されて居るみたいだ。
私達が搭乗するには、マスター承認があればオッケー。
電脳通信を使って搭乗しようと意識するだけで、何処に居ても、内部の転移陣の上に飛ばされる。
私達エリー以外の人を招待する場合、トラクタービームで引き上げる事が出来る。
ブリッジ(城)内部は、勿論衣食住は当たり前で、娯楽施設や、温水プールにトレーニングルームなど、何でも御座れ。
トイレも温泉も完備。
トイレは循環型になって居り、温泉はとある源泉から転移陣で引っ張ったかけ流しに、温度調節用の水を足した物。
露天風呂もある。
そして、搭乗する事で、電脳にこの空中庭園のコントロールをリモートで可能なアプリがインストールされる。
3ブロックから構成されて居て、例えば私が使用中に本体がこの空中庭園を自分の所に来いって具合に呼ぶと、ブロックが切り離されて迎えに行く感じかな?
3ブロック共に同じ施設が利用出来るようになって居り、分離してもその空間的には繋がっている。
転送ゲートの応用である。
切り離した断面が全てどこでもドアになってると言えば解りやすいだろうか?
そんな感じ。
兵器は全て一括でコントロール可能になって居る。
勿論全機AIリンクとデータリンクで全てオートパイロットだ。
庭園自体の武器もちゃんとある。
高出力エネルギー弾、それと、ドローンボム。
流石本体とでも言おうか、悪意の塊のような武器だった。
高出力エネルギー弾は、一発で山を吹き飛ばせる程の威力だった・・・何考えとんねん、本体。
でもまぁ、快適な空の旅が出来るし良いわ。
内部の移動に3輪バイク使う程の規模の大きさ。
だってこの庭園、横浜市と同じくらいの大きさなんだもん、デカいよねぇ~。
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