第253話 空中庭園の・・・先住民?

      空中庭園の・・・先住民?

 で、さぁ、未だなんかありそうだな―って思って、色々調べてたら、ブリッジと言うか、もう城って呼ぼう、城の裏庭みたいな所に一本巨大な樹が生えてるんだ、まさかな~って思って、樹を鑑定したら、世界樹ってなってる。

 まさかどっかから移植して来たのか?って思って本体に電脳通信してみると。

「トリーシアにお願いして育てたわよ?」

 アンタなぁ、世界に4本しか無いと言われてる世界樹を増やすんじゃネェよ!

 しかもこんな空中庭園なんかにさ。

「増やすなよ・・・ったく。」

「ちなみに木の所有精霊がトリーシアになってるからよろしく。」

「何じゃそりゃ~!」

「だからそう言う事だってば。」

「あんたね、まさかとは思うけど、どっかからエルフ連れて来て無いでしょうね?」

「連れて来ては居ないわよ、連れて来ては・・・ね。」

 はぁ・・・何なのこの人、自分自身なのに予測の斜め上行くんだよね。

 まぁ良いわ、気を取り直して、この移動中にこの庭園内部を探索して置きたい、所なんだけど、そろそろ名古屋上空か・・・速いな、思ったより。

 よっし、お腹空いてるし、名古屋コウチン送って来いって言われたし、ちょっと寄って行こう。

 どうやって降りようかなーっとか考えていると、私の三輪バイク(例の変形可能なアレね)と一緒に、いつの間にか地上に居た。

 成程、何処でも呼べば来るし降りたければ何処でも降ろしてくれるし、乗って居れば行きたい所まで運んでくれると言う訳ですか、私は操作した覚えが無いのに自動で名古屋上空に飛んで来て居た事も手伝って、考えた通りに動いてくれるのだと納得した、むしろ納得するしか無かったんだけどな・・

 何処までも出鱈目なぶっ壊れ性能のAIが搭載されて居るようで、驚くのを通り越して呆れるしか無いと、この時本気で呆れたのだった。

 さ、何食べよっかな~。

 そうね~、今日は寒いし、味噌煮込みうどんでも食べられたら嬉しいわね。

 暫く徘徊して居ると、名古屋コウチンを売る商人を発見した。

 裏で絞めてから売っている様なので、仕入れ先を教えてほしいと告げると、快く飼育している畜産農家を紹介してくれた。

 ってかお腹空いてるんだってば、教わった畜産農家さんに行く前に食事食事。

 又しばらく散策して居ると、やっと見つけた!お目当てのうどん屋さん!

 きしめんもやってるみたいだけど、今日の気分はやっぱ味噌煮込みうどんよね。

 そうそう、味噌煮込みうどん用の土鍋って普通のと少し違うって知ってる?

 何処が違うってね、蓋が違うのよ。

 普通の土鍋はさ、蓋に湯気を逃がす為の穴が開いてるんだけど、味噌煮込みうどん用のには穴が開いて居ないの。

 調理中は、少し蓋をずらして蒸気を逃がして使って、食べる時に、取り皿にして冷まし乍ら食べる為なんだって。

 あっつあつだからね~、納得の理由。

 出て来た味噌煮込みうどんを、蓋を逆さにした取り皿に、うどんを少しづつ取っては、フウフウしながら頂く、うん、これは美味しい、いいお店に当たったわ。

 しっかりと強めに取った昆布出汁に、サバ節だよね、このお味は。

 割とガッツリ系のお出汁になって居て、そこに八丁味噌を惜しげもなくたっぷり使って少し濃い目のお味になって居て、極太と言っても良い太さの饂飩麺、大きめにざく切りにした長ネギが惜しげも無くふんだんに入っていて、厚めに切った蒲鉾が素敵なアクセントに。

 名古屋コウチンと思われる歯ごたえのしっかりしたプリップリの鶏肉もとても美味しい。

 これは私の料理バリエーションに加えたい料理だわ。

 どっかで土鍋売ってたらまとめ買いして置こうかな。

 大満足した私は、早速味噌煮込みうどん用の土鍋を探し、見つけて購入する事にした。

 もうすっかり日も落ちかけてしまったので、浮遊要塞に帰って温泉で温まって寝よう、庭園探索は明日再開だね。

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 天蓋付きのフカフカなベッドで快適な朝を迎えた私は、如月が作った朝食に舌鼓を打ちながら、どの辺りを探索するか検討して居た。

 やっぱり、育てちゃったと言う世界樹が気になる、トリーシアもそこで寛いで居そうなのでその付近を探索して見る事にしよう。

 何故か妙な予感がしているのも事実だし。

 そもそも本体ってば私達の電脳よりも電脳自体が上位に成るとか言って私達並列シリーズからは閲覧できない情報持ってるから侮れないのよ。

 じゃあ、お腹も膨れた事だし、探索の方針も決まったし行きますか。

 弥生と卯月を連れて探索に向かった。

 そこで私は、衝撃の事実を突きつけられる事に成ったのだった・・・

 何故?

「これはこれは、お帰りなさいませ、エリー様。」

 誰?このエルフ・・・

 急いで電脳通信で本体にクレームを入れる事にした。

「ちょっと本体!? どう言う事よ!何でエルフ達が居る訳??」

「ああ、おはよう、MkⅣ。」

「おはようじゃねぇっつーの! 説明しなさいよ!」

「ああ、あんたがMkⅣシリーズの戦闘型AIアンドロイド作ってる間に、私はその空中庭園作ってたっつったでしょう?

 そんな時にさ、樹海のエルフの里で私の存在を聞き入れたって言う、ジプシーみたいな生活してたエルフの一団がね、訪ねて来たって訳。

 で、良い子達だったから、住む所作ってあげようと思って世界樹を育てたんだもの。」

「あのさ、エルフは世界樹にじゃ無いと住めない訳じゃ無いでしょうに。」

「うん、そうだけど、せめてドライアドが居た方が住みやすそうにしてたからと思ってね、トリーシアの樹を作らせたんだよ。」

 ああ、そうか、そう言う事か、あの樹は、エルフ在りきでは無くて、トリーシア在りきだったのか。

 そこにエルフが住めるように、と言うより、エルフを住まわせる場所にもなったら良いなと思って、トリーシアに樹を作る事を許したと言う感じか。

 ちなみにこの電脳通信のやり取りはわずか3秒です。

「ああ、うん、只今。」

 本体が、ネクロノミコンの写し渡してないって言うから、渡して置く事にした。

「貴方達に、魔法を伝授します、これを皆で読みなさい、読めない魔法は使えないけれど、読める者は使えるようになるので、皆で回し読みをするようにね。」


 いやぁ、まさかエルフの里が空中庭園に有ると思って居なかったから、驚いたわ、マジで。

 ちゃんと家も建ってやがったしね。

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