第250話 マリイ、大地に立つ
マリイ、大地に立つ
-オリジナル-
秋も随分深まって来て居て、肌寒い日が増えた昨今だったけど、今日は比較的あったかくて小春日和みたいなポカポカの良い陽気だったので、間も無く冬になってしまえば、マリイをお外で遊ばせてあげる事が出来なくなっちゃうからって事で、今日はお外で日向ぼっこしてお外でご飯食べてって言う具合な企画でお庭に出て来た。
「あうー、きゃー、だだー。」
マリイもお外で遊ぶのが楽しいみたいでご機嫌だ。
高速ハイハイでいつの間にか視界から消えてしまうので、アインとツヴァイを念の為監視に付けて置く事にした。
ンで、私はっつーと、野外キッチンでご飯作り。
今日はどうしようかな。
サバの良いのが手に入ったしなぁ、流石秋だよね。
あ、サンマも美味しそうなんだよね。
でも今日はサバにしよう、味噌煮が良いよね、良い味噌も手に入ったし。
サバのサイズがかなり立派なので、三枚におろして、塩を振ってキッチンペーパーをかぶせて少し寝かせて置きます。
その合間に、他の物を作ろう。
お米を軽く研いで、圧力鍋に入れ、水を適量。
火に掛けたら、圧力ピンが二本線が出るまでほっといて、二本線が出たら弱火で15分。
15分弱火に掛けたら火から外して、圧力が下がるまで余熱調理で白ご飯が完成です。
あ、そうだ、ちなみにご飯を炊く時に、3㎝四方くらいの大きさに切った昆布を一切れ入れて置くとご飯が格段に美味しくなります。
米糠を取って置いたものを、水に入れて一度沸騰させ、冷めたら一旦糠をこして、10%位のお塩と、からし(黄色い奴ね)と、唐辛子(頭を切って種を取り出した鷹の爪)を混ぜ、練り込む。
手の雑菌が実はその家の味を作ると言われて居るので素手でまぜると良いですよ。
完成した糠床に、塩を振って転がしたキュウリ、明礬水で締めたナス、良く塩揉みしたキャベツ等を漬けて、一晩で糠漬けが出来ます、今回、未だ初めて作ったばっかりだったので、付けた後に一晩は待てないので時間加速に掛けて20時間程立った状態にしてから糠から取り出し、手頃なサイズに刻んで糠漬け完成。
この度関西圏へ入って白出汁と遭遇を果たしたMkⅢがストレージに入れておいてくれたので白出汁を使ってだし巻き卵を作る。
濃縮されている白出汁を、お水で薄めてちょっぴり濃い目かな、位にして、溶き卵に投入。
良く混ぜて置いて、四角い卵焼きパンに油を引いて馴染ませ、温めて置く。
弱火で、先程作った溶き卵を軽く一面に広がる程度の量を卵焼きパンに入れて焼く。固まり出したら、端っこにお箸を滑り込ませて持ち上げ、巻いて行く。
お箸でつまむ自信が無い人は、お箸で隙間を作った後にフライ返しでやると綺麗に行くかもしれません。
巻いたら、卵を自分の薪易い方向を考えて(手前に巻いて来る人と、手前から撒いて行く人が居ます、何方も正解です。 やり易い方でやってね。)巻いた卵をずらして、開いた部分にもう一度卵を投入。また固まって来たら・・・って感じで巻いて行けば完成します。
さて、サバを臭味取りで振った塩をさっと洗い流し、お鍋に入れて、千切りのショウガをお好みで入れ、お水、お酒、みりん、醤油、味噌で味付けをするんですけどね、私的にはこれだと少し、植物系のお出汁が足りないので、昆布出汁と干し椎茸のお出汁を追加。
動物系のお出汁は、秋の油の乗った鯖ならば問題無く容赦ないレベルで出ますので、動物系は足す必要は有りません。
って事で、私のやり方だと、植物系のお出汁に、醬油、みりん、お酒を入れて一煮立ちさせて、アルコールが蒸発した叶って頃にお味を確認して、みりんが足りなそうなら追加、お醤油は香り付け程度で良いので、無理に足してしょっからくする必要は無いです。
だって、まだこれから味噌追加するんですから。
塩をさっと流した後に、手頃な大きさに切った鯖と生姜を、完成したお出汁に入れて、味噌を溶いて落し蓋をして弱火でじっくり、煮立たせない様に煮て下さい。
煮立たせてしまうとお味噌が焦げたりして風味が変わっちゃいますから注意しましょう。
あ、ちなみにお味噌の種類ですけど、仙台味噌でも信州白味噌でも、お好みに合わせて使って下さいね。
私の好みは仙台味噌かなぁ?
甘いのがお好きな方だと西京味噌なんて選択肢もアリと思います。
鯖に良く火が通ったら、一度冷ますと味が染みて美味しくなったりします。冷ます時間がある方は冷めたサバ味噌を温め直して召し上がって見て下さい、格段に美味しくなるはずです。
次、もう一品、鯖を煮ている間にもう一品。
畑で立派なナスが沢山育ったので、漬物だけでは勿体無いので、ナスのバター炒めなんて物を作って見ようかなぁと。
蔕を落としたナスを輪切り、若しくは斜めにスライスしましょう。
切ったナスは塩水に少し晒します。
んで、フライパンにバターを落として加熱、溶けたら万遍無く行き渡らせて下さい。
良く水を切ったナスをフライパンに並べて、弱火で焼いて行きます、焼き音が変化したら裏返して見ましょう、焦げる前に返せると思います。
火が通って来たら、香り付け程度にお醤油で味付けたら完成です。
超簡単でしょ?
お昼ご飯完成です!
マリイの離乳食も用意しなきゃね。
ご飯にもう少しお湯を足してふやかして、白出汁で少しだけ味を付けて一品、もう一品行こう。
リンゴをすりおろしてこれで一品、こんなもんかな?
「お昼ご飯できたよ~、アインとツヴァイもエネルギー補給しましょう。」
アイン、ツヴァイの二体は新型全身義体をAIのみで完全稼働させる為の実験機でも有るので、普通にご飯食べてエネルギー補給をする事が出来る、なので、食卓を一緒に囲む事にして居るのだ。
マリイを抱っこしたツヴァイと、抱っこし損ねて少し不満げなアインがテーブルへと集まって来た。
「マリイ~、今日は誰からご飯食べさせて貰いましゅか~?」
マリイに聞くと、大概は私と答えるのだけど、この子は賢い。
「アイン~。」
抱っこ出来なくて少し不服な表情をして居たアインを気遣っているとしか思えない答えだった。
少し不満げだったアインの表情が明るくなった。
このAI、成長が著しいなぁ、やっぱこの世界特有な要素、魔素の存在が色々作用しているのかも知れない。
以前の世界で実験した時にはここまで人に近い反応が見られることはほぼ皆無だったのだから。
「そっか~、今日はアインちゃんに食べさせて貰うのね?
んじゃママはアインちゃんがちゃんと出来るか見てるからね~。」
「あい~。」
「それじゃ、頂きます。」
「まち。」
ここに来て、少しづつおしゃべりが出来るようになったマリイ、益々可愛い。
しかも、最近は下の前歯が薄っすらと姿を見せ始めている。
問題はいつ、ザインの記憶を再インストールしてあげるかなんだけど、2歳位になってからが良いかなぁ?
多分、あまり早い時期にインストールしても、多分、脳の負担も辛いだろうし、今の記憶も薄れていない内にだと、おむつの記憶とか残っちゃうから精神的にもダメージ食らいそうだしねぇ。
それにしても流石私、超ウメェな、この鯖味噌。
素材の鯖も良いんだけどな。
あ、ちなみに今、トライはメンテナンス中でドックのトライ用ポッドで自己診断機能展開してる頃です。
フィアは充電式なので充電中です。
もう一つ序でに、あれ?って思た人も居ると思うのでここで発表。
ひろし君は今日、休暇を取って、多分小湊に出ています。
え?逃げちゃったんじゃ無いかって?
それは無いと思うよ、あの子ってば割と根性だけは有るからな。
最近少しづつアインの料理に近付いて来たしな。
それに、あの子がコソコソ集めてた春画もいつもの場所に隠して置いたままになってるからあれは放って逃げたりはしないでしょう?
いやぁ、流石男の子だよねぇ~、可愛い(クスクス)
ん? そう言う所がってどういう意味よ?失礼な。
私はツヴァイと違って勝手にお掃除して見える場所に出して置いたりなんかしませんよ?
遠巻きに楽しんでるだけだもん。
さて、お昼を頂いてる間に、離乳食でお腹が満たされたマリイがおねむの様子。
ベビーベッドをストレージから取り出し、昼食一時中断。
「はいはい、ママでちゅよ~、マリイたんはおねむでしゅね~。
ママが抱っこちてあげるからネンネちようね~。」
あやしながら愚図るマリイを抱き上げて、なだめて寝かしつける。
これぞママの一番のお仕事。
もっとも重要なお仕事なだけでなく、まさに至高のお仕事です。
可愛い娘を愛でる事が出来るんだからそりゃ至高です。
抱っこしてあげるとね、赤ちゃんは、ママの心臓の音を聞いて、安心して落ち着いてゆっくりと眠るんですよ。
だから、赤ちゃんは抱っこしてあげて育てるのよ。
現役のお母さんは忘れないであげてね。
これからお母さんになる人も、忘れずに抱っこしてあげて欲しい。
寝息を立て始めたマリイを、ベビーベッドへ移し、寒く無いようにお布団を掛けて、私はお昼ご飯の続き。
冷めちゃったとかケチな事は言っちゃダメよ?
赤ちゃんを育てるって言うのはこれが当たり前な事なんだから。
サッと食事を終わらせて、型付けをしようとしたら、アインに食器を下げられた、うん、出来たアンドロイドメイドが居て有り難いよ、私が作ったんだけどな。
マリイを寝かしつけたベビーベッドが置いて在る横の芝の上で、寝転がって、源氏物語を読む事にした、原本が手に入るとは思わなかったからね、丁寧に開いて読ませて貰って居る。
暫くすると、マリイが起き出して来たので、抱きあげて、私の膝に座らせて日向ぼっこ。
すると、最近のマリイは、私の顔を見上げて何ぞお話して居るのだろう。
「マァマ、あきゃぁ、たったったった、ぎゅ、なんなんなんなん。」
何を言って居るのかは未だ判んないけど、ご機嫌なのできっとママ大好きよー、位の事を言って居るんだろう。
「ん、そっかそっか、マリイ~、だいしゅきよ~。」
って返してあげると両手を上げて喜んでくれる。
「あい~。」
少しすると、運動したくなったマリイが、私の膝から自力で降りてハイハイを始めたので、家事をして居るアインとツヴァイには頼らず此処は私が自分で見てあげないとね。
暫く、秋のでっかくなって茶色見掛かったバッタを追いかけているマリイを可愛いと思いつつ見つめていると、マリイが突然動きを止め、足の裏を地面に付けて何やら立ち上がるような素振りを見せ始めた。
バッタを追いかけるのにハイハイでは追いつけないのでママ達のように二足で走ろうとでも考えたのだろうか。
何度も尻もちをつきながら、立とうとしている、やっぱり立とうとしているんだと思える所作だし、何度も尻もちをついて居るのがその証拠だろう。
頑張れ!がんばれ!マリイ!
つい、電脳通信オンのままで応援している自分が居た、但し、電脳通信オンなのは気付かなかったんだけどね。
そうそう、そこで踏ん張って! そうよ、そこでグッと上体をっ!
た・・・立った!マリイが立った!
次の瞬間、電脳に一斉におめでとうの言葉が雪崩れ込んで来て、はじめて電脳通信オンだった事に気が付く私・・・
あ・・・やっちまった。
後から、私の前世の知識が特に多くインストールされているクリスから、余計な突っ込み頂きました。
「マリイが立った!ってあのセリフ、アニメのあのセリフのパクリでしょう?」だって。
「何であんたがあのアニメを知ってるのよ。」
って返したら、「電脳にインストールされてたけど?」って軽く返されて何も言えんかった・・・
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