第231話 現地調査5

        現地調査5

 さて、と・・・

 果たして本当に魔眼があるかどうかは知らんけど、ある前提で戦わねば成らないよね。

 しかし、石化の魔眼と言えど、睨まれただけで石化するとは考えにくいのだ。

 何故なら私はありとあらゆる魔法を作った張本人だから解るのだが、石化を促す魔法は、作れなかったのだ。

 つまりは、マナによる魔素の操作には射程距離が有る為、魔素への指令を通せる射程が医療魔法を除いて最も短い土魔法で相手の周囲に漂って居る魔素を操る事は難しい訳だ。

 だが、魔眼を見てしまった場合、話は別だ。

 どう言う事かと言うと、魔眼を見る事でその魔眼の発する情報が視界を通じてインストールされてしまう、すると体内のマナを操作出来なくなり、本来自分の意思で操る事が出来るマナの、コントロールを奪われる。

 その時点で詰んで居る訳だが、マナを相手のコントロール下に取り込まれたところに相手の魔眼が石化を発動した場合、体内にあるマナは、放出される事無く大地属性の魔法を発現してしまう、通常であれば、体内で発現出来ない様に個人単位で安全装置の様な役割を無意識が行って居るが、コントロールが奪われている以上抵抗できない。

 当然、大気中にも岩を生み出す事が出来る程の高性能のマナが体内で大地魔法を発現してしまえば人間の肉体などひとたまりも無い訳である。

 これによって、石と化してしまう、とこう言う事だ。

 従って石化の魔眼は相手と目を合わせなければその力を発現出来ない。

 まぁ、見た物全てを石に変えてしまって居ては食事もままならないであろうから当然と言えば当然かもしれない縛りだろうが。

 結果、魔眼の発する情報は、直接視認しない以上はインストールされない。

 したがって、直に目を合わせなければ何とか対処出来るのだ。

 通常であれば完全に視界に入れないようにする事はなかなか出来ないが、ナノマシンを介して電脳経由で視認する事が出来る私なら対抗も出来なくは無い。

 って事で自分で相手をする事にしたわけなんだけど、全員ナノマシン経由で私の戦闘を観戦する積りのようです・・・

 こいつ等のナノマシン利用権限レベル高く設定しすぎたかな?

 まぁ良いか。

 んじゃ一丁やっちまいますかね~っと。

 目隠しをして、飛び込む。

 もしも私の見解が間違って居て一睨みでいきなり石化させられたらその時はその時、本体が新しく出し直した私がもう一度やって来て今度は鏡作戦で対処すれば良いだけの事。

 手始めにエアカッター連射して見るも、硬い鱗にさえぎられて大して効いて無いね。

 こっちも石化して居ないって事はやっぱ直接目を見なければ何とかなる証拠だ。

 一応奴の目からすごい勢いで魔力を感じるので間違いなく魔眼は存在して居るらしい。

 そんじゃあ、とっとと魔眼へのマナ供給を断ってしまうとしよう。

 邑雅で首を落としてしまうとしよう。

 右前に斜に構える、居合の構えだ。

 魔眼が攻略されて居ると気が付いたゴルゴ―ンは白兵戦を仕掛けて来るのは間違いないだろう。

 但しそのリーチは頭の蛇が伸びたりするからかなり長いけどね。

 ほら突っ込んで来た、これならナノマシンで周囲から監視して電脳に映像流すなんて面倒な事しなくてもこのダダ洩れの気配で何にも問題無し。

 折角だからなんかカッコイイ技名でも考えて一言付け加えて斬るかな~っと。

「秘剣、氷雪斬。」

 うん、一瞬で考えたら大してカッコ良く成らなかった。

 そしてゴルゴ―ンの首は胴体から既に切り離され、私が掴んでぶら下げている。

「終わったよー、皆~。」

「流石師匠にゃ、秒殺だったのにゃ!」

「最近のエリーって戦い方シンプルになったよね~。」

「流石エリーさんです、目隠しして倒しちゃうなんて。」

「気配ダダ洩れなんだもん、あんなの楽勝よ。」

 ゴルゴ―ンの魔眼は、魔力の供給が止まったせいか、既にその輝きを失っていた。

 さて、ここで最後なのかこの先があるのか・・・

 どうやらこの階が最後らしい、奥に続く扉が現れた。

 その戸を開けると、このダンジョンを作っる為の生贄と成ったと思われる魔族のご遺体と、ダンジョンコアが鎮座して居た。

 魔族のご遺体は、既に白骨化して居て、魔族の核は既にただの小石のように魔力が枯渇して居て、結晶の様に見えなくも無いが輝きも既に無かった。

 可哀そうに、魔王だか何だか知らんけど、ホムンクルスとは言え折角授かった命をこんな形で散らされるなんて、即身仏じゃねーっつーんだよ、マジでムカつく。

 この輝くを失った魔核も、ダンジョンコアも収納して、帰る事にした。

「さ、皆、帰ろうか。」

「ねえ、エリー、さっきの遺体は何? 人のようでもあるのに角があったけど。」

「ああ、さっきのは、サリ―シリーズと同じホムンクルスだ、魔族、とも言う。」

 私もまだ完全に真相へと至っては居ないので、あまり深く教える訳にも行かないだろう、そこまでで私は言葉を詰まらせた。

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