第230話 現地調査4

        現地調査4

「ナーガVSオーブ!」

「こんにちは! 実況のエリーです。」

「解説のカレイラです!」

「ゲストのクリスです・・・ってこんなのマジでやるのぉ?」

「ゲストのクリスさんが少々不満げではありますが、さぁ、いよいよ始まりました、本日のメインイベント、”ナーガVSオーブ”、解説のカレイラさん、この対戦はどう見ますか?」

「そうですね~、やはりナーガの方が有利では無いでしょうか、周囲にベビーナーガのセコンドも大量についてますからねぇ、ヒールのナーガとしてはこのベビーナーガを支援に使わない訳は無いと思いますね。」

「成程、反則負けが無いこのノーレフリーマッチでは反則してなんぼと言う事ですね。」

「そう言う事ですね~、ですが、オーブも相当に修行を積んで強くなって帰って来てますからねぇ、リベンジを達成して欲しい所ではあります。」

「おっと此処で動きが有りました! ナーガの唾液攻撃! この唾液は瞬間接着剤のように、掛かると固まってしまいます! しかしオーブ、これを素早く躱した~! そしてそのまま毒手拳で反撃だ~!」

「ナーガの唾液は掛かってはヤバいですからね~、躱すしか有りません。 石化と言うのはこの唾液で固められてしまう事を言います。 何故かナーガ自身はこの唾液を分泌するに当たって固まらないような対策がされて居るようで、固まる事は有りません。」

「オーブの毒手拳、決まった~!地獄突きだ~!

 往年のアブドーラ・サ・〇ッチャーを彷彿させる見事な地獄突き!」

「これは痛いですよ~、毒手拳ですからねぇ、ナーガのお株を奪うような反則技です、しかしこれはスキルで発動して居るので反則としてカウントされないと言う最も卑怯な攻撃です。」

「いい加減やめようよ~、フザケ過ぎ、二人とも。」

「何だ?クリス、お前プロレス技好きな癖にプロレス実況中継ごっこ嫌い?」

「オーブが真剣に戦ってる時にする事じゃ無いでしょう!?」

 怒られた。

 おフザケはしてたけどちゃんとオーブの戦いを見てたしいざと言う時はすぐに助けられるように身構えてたんだけどなぁ・・・

「クリスは、あれだな、真面目だよね。」

「クリスさん、あんまりエリーさんを怒らないで下さい、ちゃんと私もエリーさんもオーブさんがピンチになったら飛び出せるように見てたんですよ、でも危なげも無いし暇だからついふざけただけなんです。」

「・・・カレイラがそう言うのなら、そうだったのだろうけど。

 で、でもやっぱフザケ過ぎです!」

「御免ね、そんなつもりじゃ無かったんだ、つい私の前世の記憶のプロレス中継の真似をしただけなんだよ、ほら、ちゃんと私もおフザケしつつ帯刀してるだろ?」

 そんな風にクリスに弁解をしている内に、オーブが単独ナーガ討伐を終えて戻って来た、シマッタ、オーブの戦闘を最後まで見届けられなかった・・・

 まぁナノマシンに録画させてあるから後で見れるけど。

 兎に角単独討伐に成功したオーブは褒めてやる事にしよう。

「良くやったな、オーブ。

 ちゃんと電脳化の強みも出せたじゃん、身体強化使い熟してたね、おめでとう。」

「えへへ~、師匠に褒められたにゃぁ~。」

 さて、これでここのラスボスがナーガなら、ダンジョンコアとかダンジョンマスターのもとに辿り着ける訳なんだが・・・

 出て来たのは下る通路、未だこの下の階層が有るって事かな?

 すると、もしかして、新しい階層が増える前に新たな強者が先に発生してしまって上に逃げたナーガが地上まで出て来たと言う事かな?

 兎に角行って見るしかあるまい。

「まだ先が有るみたいだし、行くよ、皆。」

「エリーさん、ここまでで十分じゃ無いです?

 目的のナーガ倒せたんだし。」

 カレイラは疲れて来たみたいだ。

 SPポーションでも出してやるか。

「カレイラ、疲れて来たんだろ、これ飲みなさい、私特製オ〇ナミンCよ。」

「変な色の瓶ですね、これ。」

「それな、中身が太陽光に弱い成分が多く含まれてるから光が入らない様にしてるんだ。」

 一口飲んだカレイラが、

「!? 何かシュワシュワする! 何ですか、これ!?」

「ああ、清涼感が出るように炭酸入れたからね~。」

「エリー、私にも頂戴。」

「何だ、クリスも疲れて来たか?

 SPポーションのレシピ位お前の電脳に入れて有るじゃん。」

「だってエリーが作った奴の方が美味しいんだもん。」

 ああ、そう言う事ですか。

 だけど君は一応メシマズさんでは無いんだから自分で作って研鑽を積んだ方が自分の為だと思うんだけどね。

 ちなみにオーブだけは私に褒められた事で一気に疲れが吹き飛んだような顔して燥いでる。

「こら、オーブ、お前が今一番疲労してる筈なんだから飲んどけよ。」

 そう言って一本手渡した。

 21階層・・・

 ここから、魔物がガラッと変化した。

 これ迄は、ジャイアントボワやヒュドラが出て来て居たのに、ベビーナーガ、ナーガ、そしてユニークのクワトロナーガと言う四ツ首のナーガと言う何だかややこしいのが出て来る、多分この階層のナーガがダンジョンを飛び出して来たのでは無いかと予想されるんだけどさ、大きさ的に。

 それにしてもおかしいよな・・・

 そして・・・

 25階層のボスは、リリスだった・・・

 サイズ感はナーガよりずっとコンパクトになって上半身はほぼ人と同じサイズには成るけど圧倒的にこっちが強い。

「ねぇ、エリー・・・何だかこのボスむかつくんですけど、私にやらせてくれない?」

「クリスよ、その感情はカレイラも同じだし私もなんだが?」

 何故かってさ・・・上半身が人型で女性型してるんだけどさぁ、胸デケェの。

 一応鑑定したらな、アレって別段オッパイと言う訳では無くて、毒袋みたいな物であって、しかもあの姿で人間の特に男性を魅了して喰らい尽くすと言うのがこの魔物の捕食方なようだ。

「ダメですクリスさん、私にもやらせて下さい、ちょっとイラっとしてるので。」

 珍しくカレイラが怒っている、やっぱまだ成長期とは言え爆乳にはコンプレックスを感じて居るようだ。

「まぁ良いさ、二人でやると良いよ、私は我慢しておくわ。

 それにしても男性陣いなくて正解だったな~・・・

 あんな胸見せられたらどうなっちゃうか分かったもんじゃ無いよね。」

「ほんとソレよね、キースが鼻の下伸ばしてたりしたら殴ってるわよ、思いっきり。」

 クリスが怖い事言ってる、以前にえらい事に成ったと言うのにダメでしょ、それは・・・

「クリス、キースのドッキリの時に殺しかけたの忘れて無いだろうね、あれ以上やってたらマジで死んでるからね?」

「あそこまではしないわよ、半殺し位で止めるわよ。」

 益々怖い事を言う・・・カオスだなぁ。

「エリーさん、そう言うけどクリスさんの気持ち私も判る気がする、もしもお父さんがそうなったら私、切り刻みます。」

 もっと怖かったぁっ!orz

「まぁ良いわ、二人で行ってきなさいな。」

 クリス、カレイラの二人が同時に身体強化を発動すると、一瞬で加速し、リリスに同時に攻撃を仕掛ける。

 何故かカレイラは、今回トンファーを構えている。

 そして二人で、タコ殴りにし始めた・・・

 それでか、何で剣使わないかと思ったら、ボッコボコにする積りだったのか、恐るべし・・・

 そして、ものの2分程で、リリスは魔石を残して光となって消えた。

 あのクラスの魔物相手に何もさせない猛攻か、うん、怖いな、普通に怖い。

 ここで終わりかと思ったら、さらに下へ向かう通路が現れてしまった、何階層迄あるんだ、ここ・・・

 26階層から29階層は、兎に角リリスだらけなトンデモナイ階層だった。ひでぇ時はリリスが5体も同時に出てくる始末。

 でも4人でタコ殴りにして撲殺・・・

 私ら何しに来たんだっけ?

 何だかストレスが解消される気分なのだけど?

 ンで、30階層。

 現れたボスモンスターは、リリスのような姿に、髪の毛が全て蛇だった、そう、ゴルゴ―ン・・・

 万が一を考えて、ここは私が行く事にした。

「なぁ、皆、これ、私にくれない?手出し無用で、後、奴の目を見ない様にして。」

 そう、私の危惧して居るのは、魔眼。

 有ると言う話だったし、こいつクラスなら持ってても可笑しくねぇし、石化で有名な魔物だからな。

 私ならば、直接見ないでも行けるから何とでもなるだろう。

「目を見るなって、何で?」

「石化の魔眼を持ってる可能性がある。

 石にされたら生きて帰れないだろ?」

「エリーはどうするの?」

「私は目隠ししても戦えるから気にするな。

 行って来る、目隠ししてじっとしてろよ。」

 私も目隠しをし、周囲に視界を展開する為にナノマシンを撒くと、身体強化をしてゴルゴ―ンの懐へ飛び込んで行った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る