第229話 現地調査3
現地調査3
私が料理している間にも、オーブの修行の為にクリスとカレイラがサポートに入った状態で、ヒュドラ戦は続いている。
ヒュドラが毒液を吐いて直撃しても、今のオーブには通用しない。
便利だよな、毒無効。
でも毒が無効になってしまうとお酒は楽しめなくなりそうだけども。
オーブが崩拳でヒュドラの腹に一撃かます間にカレイラが魔法剣ブリザードをチャージし、ブリザードフラワーの魔法を放つ。
凍えて動きが鈍ったヒュドラにクリスが掴み掛り、締め上げて行く。
絞め殺すのもヒュドラの得意な攻撃だと言うのにクリスはそのお株を奪う程に絞めている、あれは完全に呼吸できないよね・・・
ある意味、ヒュドラの方に同情してしまう程だ。
しかもその後が又酷かった。
オーブがスキルを発動して、毒手拳を手刀で撃ち込んで居る、こっちも毒牙で攻撃するヒュドラのお株を奪う攻撃、色んな意味で嫌がらせのような攻撃、いやむしろ嫌がらせでしか無い攻撃に益々ヒュドラに同情してしまう、御愁傷様・・・
と、まぁ、そんな具合にヒュドラすら圧倒して見せた、この女子部は何処まで強く成る事だろうか。
あ、女子と言えばそう言えば玉藻はどうして居るんだろう、姉妹の居場所を探って来ると言って居たけど、そもそもどんな方法でそれが可能となるんだろう、妖術は私の領分では無いから解らない、その内妖術についても研究して見ようかな?
「師匠~、終ったにゃぁ~。」
食いしん坊が集まって来た。
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「師匠の料理は最高にゃ~。」
「褒めても何にも出ないし特訓も甘く成んないからね~。」
「オーブはすっかりエリーのお弟子さんね。」
「そんな事言うけど今のヒュドラを私抜きで倒せるんだからお前ら十分強いんだからな?
しかもカイエンとキース抜きで、だからな?
クリスは過小評価しすぎなんじゃ無いか?」
「エリーさんだったら余裕で一人で倒しちゃうじゃ無いですか、私達ももっと強く成らないと。」
「カレイラ、お前らがあんまり強くなると今代の勇者が泣くぞ?」
「ところで師匠、今日の唐揚げ、いつものより食感がしっかりしてるしお肉の味がいつもよか濃い感じで美味いにゃ、アタイこれ好きにゃ。」
「あ、そう?今日のは鶏肉じゃ無いんだよ。」
「ん?にゃんのお肉にゃ?」
「これよ、これ、さっきまであんた達が倒してた奴!」
「にゃぁ~! 蛇にゃぁぁぁ~!」
「美味しかったでしょう?」
「う・・・うん、美味しかったにゃ・・・」
「じゃあこれからはお肉と思って討伐できるね~、良かったね~、蛇が苦手だったオーブちゃん、苦手克服じゃん!」
「そうですねぇ~、良かったじゃ無いですか、オーブさん。」
「おめでとう~。」
「う・・・うん・・・が、頑張るにゃ・・・」
「さ、これで心置きなく調査任務に戻れるね、皆行くよ。」
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16階層から19階層までは、ベビーナーガと言う小さめなナーガが大半を占めていた。
極稀にヒュドラが混じるものの、15階層のボスのヒュドラほどの高レベルの個体では無かった。
なので私も割と暇だった。
何でかって、オーブの修行を兼ねている為にオーブに花を持たせてやる気で前衛に出したオーブがほぼ倒してしまうからだった。
流石だな、ユニークスキルと毒無効・・・
格段に強く成って居る気がする。
これならば剣王にも匹敵するのでは無いだろうか。
この行に到達したのは、オーブ自身の頑張りによる物である事は間違い無い、これだけ頑張れる子になったのであれば、電脳化で更なる強さを与えても驕ったりはしないだろう。
20階層へと降りる通路の途中で、オーブに声を掛けてやる事にした。
「なあ、オーブ、ちょっと良いかい?」
「師匠、何にゃ?」
「頑張ったオーブちゃんに電脳化をしてあげようかと思ったんだけど、どうする?」
「し、師匠、とうとうアタイの事を認めてくれたのにゃ?」
「いや、まだまだ強くなると思うんだけどな、万が一オーブちゃんが電脳化で強くなった事でおサボり癖が出るのならやめようかと思って。
つまり、私に誓えるかって事。
研鑽を積む事を怠けないと約束出来るなら、アンタは兄弟子のルイさんより強くなる。」
「怠け癖かぁ・・・ン~・・・アタイは確かに怠け癖があるにゃ、でも、今回のMkⅢ師匠との旅で、にゃんか少しだけ変われた気がしてるにゃ。
だから、師匠、今は未だ大丈夫とは言い切れにゃいけど、努力は最大限にする積りにゃ。」
いつになく真剣な趣で、オーブはそう約束したのだった。
「ん、その気概を忘れないようにね、電脳化、しましょう。」
そう言って私は、オーブに電脳化ナノマシンを寄生させた。
自己進化を繰り返した電脳化ナノマシンは、恐らく30分程で電脳化を終わらせて戻って来るだろう。
20階層へ到着すると、そこには休憩に丁度良さそうなスペースと、巨大な扉があった。
・・・これが普通に最後だとするとボスはナーガって事になって、ここから外に出て来るとは到底思えないんだけどなぁ・・・
そんな考えを巡らせながら、ラスボスたり得るナーガに備えて休憩を取る事にした。
オーブの電脳化を終わらせる必要もあったしな。
「よし、皆でお茶にしようか。」
ストレージから、テーブルセットと、紅茶を入れる一式、そして、ついに材料が揃った事で試作出来たモンブランを並べる。
この大陸には上質な栗の木がいっぱいあるのよ。
秋だし、秘かに回収して無い訳が無いわよね、私目ざといしw
流石全員女の子だけあるわ、初めて見るケーキに釘付けw
「エリー・・・これは何、この可愛らしい見た目の物は。」
「クリス、良くぞ聞いてくれました、これはモンブランと言う名前のケーキです!」
「ケ、ケーキって何です?エリーさん・・・」
「まぁそうなるよね、ケーキ自体初めてよね~、カレイラも一口食べたらもう虜になるわよ?」
「師匠、これ、甘そうな匂いがしるにゃ、食べても良いの?」
「さぁそれじゃ、皆紅茶を入れたら頂きましょう。」
と言いつつ紅茶を入れ始める。
ベルガモットも大分前に見つけて居るのでアールグレイにした、栗の甘い香りが強いモンブランにはこれが一番相性が良いと思う。
「「「「いただきまーす。」」」」
「ん~!? 何ですかこれぇぇ~~! こんな美味しい物食べた事無い~!」
カレイラのテンションが爆上がりだ。
「エリーに出会えてよかった・・・」
何だかあらぬ空中を見つめて拝みだしそうな勢いのクリス。
「師匠ズルい、今にゃうみゃいもの隠してたにゃんて!」
うみゃいと何故か名古屋弁みたいになりながらどう言う訳か文句言ってるオーブ。
そしてティータイムを満喫中に、オーブの電脳化が終わり、バックドアで私の電脳から侵入した。
少し保有スキルを増やしたり、弄っておく。
ナノマシン利用権限は2で良いかなっと、とか考えつつね。
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さて、美味しいケーキで心身ともに充実したので、ナーガの待つボス部屋に突撃だぁ。
戸を開けると、そこには、ナーガと、ベビーナーガの群れが居た。
しかも、そのナーガは、街を襲ったものよりも圧倒的に巨大だった。
「師匠、アタイにやらせて欲しいにゃ、もしもヤバそうだったらお願いするかもしれにゃいけど、アタイ一人でやってみたいにゃ、今にゃら勝てる気がするにゃ。」
「良く言った、ンじゃやってみ?
ヤバそうだったらカレイラに魔法剣で参戦して貰うからな?」
「判ったにゃ、それで良いにゃ。」
おお、オーブが自分から助けは要らんと言ったな。
成長したもんだ、旅に連れ出した初め頃はビビりまくってたのにな。
もうすぐこいつは私の弟子も卒業なんじゃ無いかな、もしかすると。
まぁ、卒業する時には、私の自信作のベアークロウナックルでも贈ってやるとしよう。
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