第224話 贈り物2

        贈り物2

 —エリー本体—

 さぁ、そろそろ竜馬さんとロッテちゃんが話題に困って書庫にでも凸ってる頃なんじゃ無いかな?

 あの書庫に入ると電脳化ナノマシンでゆっくり時間を掛けて電脳化が行われるんだ。

 その上で魔導書にでも手を付ければ、ロッテちゃんは火と炎の才能が有るし、竜馬さんは風と土の才能が有るから、其々属性魔法が使えるようになる、筈。

 ちなみに、水属性でもあまり強い魔法では無いけど回復魔法が発生しました。

 傷を癒してHPを回復、SPも少し回復と言う感じの魔法です。


 まぁ兎に角、竜馬さん達は御実家には今夜遅くか翌朝位には竜馬さんの実家に到着するんじゃ無いかと思う訳で、その到着時には、プレゼントのドラグランダ―は完成して居ない。

 もう一日くらい掛かる事でしょう。

 アレ見たらどんな顔するか、楽しみなのでしっかりスパイダーには録画しといて貰おうと思って居る。

 どんな顔するかなぁ~、楽しみぃ~。

 -----------------------

 -竜馬—

 この書庫は、こじんまりとしては居るがなかなか面白い本が揃ってるな。

 エリー殿が著者の本が多いが・・・

 興味深い。

 薬学、工学、理術、物理、地学、こっちのは何だろう、絵が掛かれていて、そのセリフのようなものが書き足されたこの本は・・・

 成程、この枠で割り振ってある、これは物語を綴って居るのか。

 これは面白そうだな。

 こっちは?

 何と、魔導書?

 不思議な事に、俺には、風の章と言うのと、土の章と言うのは読めるが、他の魔導書の文字は読む事が出来なかった。

 リゼさんは、火の章は読めるが他は一切読めなかったと言う、もしかして、エリー殿の話して居た適正とかそう言うのに関係しているのだろうか。

 何度か見て知って居る程度だったが、エリー殿が使って居るのを見て、凄いとは思って居たので、俺にも使えるのだろうか?

 もしかするとこの本を読むと、使えるようになるのかも知れない。

 巻末まで読んでみるとしよう。

 --------------

 読み終える頃には、俺の故郷へと戻って来ていた。

 間も無く、生家のある村へとたどり着くだろう。

 しかし、読みふけってしまった為に気付かなかったが、夜が明けて居たようだ。

「ロッテさん、もうすぐ到着します。」

「は、はい、支度をします。」

 風呂に入って居る余裕は無いので、二人ともクリーンルームに入って見る事にした。

 何だろう、これは、不思議だ。

 ものの数秒で、湯浴みをした後のようにすっきりした。

 村の入り口となって居る門の前でスパイダーは停まった。

 スパイダーを降りると、薙刀を構えたおとめ姉さんが鬼の形相で出迎えてくれた・・・

「おとめ姉さん、ただいま、結局嫁には行かなかったんだね。」

「竜馬! なんだい!このデカい化け物は!」

「ああ、済まない、これは知り合いの錬金術師を名乗る者に借りた魔道具だ、馬車なんかよりずっと速く走る。」

「わたしゃてっきり魔物が来たんかっち思ったちゃ無かか!

 こげなもんで帰って来るなら前もって言っとぉかせ!」

 どうやって連絡しろと言うのか・・・

「そんな事より、今日は紹介したい人が居て連れて来ちゅうがじゃ。」

「何だい? まさか嫁でも連れて来よったと?」

「ああ、実は、そのまさかじゃ。

 未だ結婚を前提にお付き合いを始めたばかりやっとが。」

「何だい!そんなら先に連絡せえっち言うちょるやろが!?

 急に連れて来られても何のもてなしも出来んじゃろうがっ!」

 だからどうやって連絡しろと・・・

 相変わらずだな、姉さん・・・

「あ、あのっ! 私! りょ、竜馬さんと、お付き合いさせて頂いてましゅっ! りりり、リーゼロッテと、申しましゅ!

 ・・・かんじゃった。」

 リゼさんは緊張すると噛み癖が有るらしい。

 赤面するリゼさんが可愛い。

「竜馬っ!」

「な、何だよ姉さん。」

「随分別嬪な良い子や無いかっ!」

 ビックリするから一々怒鳴るような大声で話すのを止めてくれ、姉さん。

「りっちゃんで良いかい!? あんた!良くこんな木偶の坊と付き合うてくれちょうな、ありがとよ!

 ほんっとに良い子だね、鍛えてるようだし強そうじゃ!

 これならあたしの肩の荷も降りるってもんじゃ!

 あたしの若い頃みたいでこれなら安心じゃわ!」

 何か無茶苦茶な事を言ってるな・・・

「これからこの馬鹿の事を頼んだよっ!」

 一人で喋ってるしな・・・

「さぁさぁ! 何のもてなしも出来んけど、こっちきんしゃい! 長旅疲れとろう!?」

 やっと終わったか?

 良く喋る姉だ。

 リゼさんも圧倒されて目を丸くして言葉を失ってる様子だ。

 --------------------

 家の中でも、姉さんは喋り通しだった、余程嬉しかったのかも知れないと言う事にしておこう、それにしても気が付いたらリゼさんが姉とすっかり意気投合して居るんだがどうなってるんだ?

 俺の両親は、昨年亡くなってしまって居るので、この家は姉さんが一人で済んで居る事に成る。

「姉さん、今日はもう遅いし、俺達はあの魔道具の寝室で寝るからそろそろリゼさんを言開放してやってくれんちゃね?」

「あんた!もうヤッとるんとちゃうやろね!?」

「まだだ! デリカシーが無いんか、姉ちゃん!」

「何じゃ、まだやったんか、少しでもはように子の顔を見せに戻って来るかと思っちょったのに残念じゃの。」

 こう言う人だった、そう言えば・・・ガックリ。

「また朝、こっちに来るから。」

「それはそうと竜馬! あたしはその魔道具とか何とかには入れないのかい!? 中を見せちょくれ。」

 まぁ、その位なら良いだろう。

 姉さんの物好きが始まったなぁ。

 疲れたろうから家にお入りと言ってずっと喋ってるんだからむしろ今の方が疲れているリゼさんを早めに休ませたいんだけどな・・・

 昨日の晩も本を読み明かしてしまってあまり寝て居ないしなぁ。

 ---------------------

 何とか姉さんを家に帰して翌朝・・・

『ドラグランダ―が完成しました。』

 こんな、AIの音声で起こされた・・・

 リゼさんと一緒に、スパイダーのカーゴスペースへ移動すると、そこには、地龍を模った、馬車より三回りほど大きい位の、多分乗り物と思われる物があった。

 見ていると、何故か俺の記憶の中にこいつの知識が存在して居る。

 エリーと関わって居たので半ばあきらめていたが、いつの間には電脳化と言うのをされて居るらしい。

 まぁ、知識が増えるのは悪い気はしないので良いけどな。

 カーゴベイが開き、ドラグランダ―が自動的にスパイダーから降りる。

 そして、スパイダーのアナウンスにこう告げられた。

『これより、当機は所有者のMkⅢ様の元へ帰投します。

 リース契約が終了しますので、速やかに降機願います。』

 このスパイダーの書庫の知識には少し後ろ髪を引かれるものがあったが、電脳にはこの書庫の物は全て入っている、らしい・・・

 ので、スパイダーを降りると、『それでは失礼致します、又のご利用をお待ちしております。』

 そんなアナウンスを残して走り去って行った・・・

 又の利用? そんな事に成るのかねぇ?

 ドラグランダ―の方が速く走るし、十分な装備が搭載されている気がするのだが・・・

 ってか、もしかしてこのドラグランダ―がエリー殿からの贈り物・・・なんだろうね・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る