第219話 エリーとマリィ

         エリーとマリィ

 -MkⅢ-

 私が本体からの知らせを聞いたのは、探索者組合琵琶町支部が全ての素材の解体と買取価格の選定、買い取り額の為の金策を数日かかると言うので、暇潰しに琵琶湖のボートを出し、固有種の琵琶鱒と言うお魚を釣ろうとして居る時だった。

 何で釣りなんかしてたかって?そりゃ、決まってるじゃない、琵琶鱒って美味しいんだよ?え?知らない?何で?

 しかも、魔素を取り込んで魔物化した琵琶鱒も当然居るっつー話だったからさ、大概魔物化した奴の方が何故か美味しいんだよ。

 しかも魔物化する方が大概大きくなってるので食べるにもたくさん食べられると言う訳。

 一回だけ、大きさ変わって無くて区別が難しかったのは鮎だったね。

 この大陸ってさ、川多くてね、アユもそこかしこで採れるってんでもって、川魚の王様とか女王とか言われる美味しい魚だっつーから、移動の合間に釣って見たんだけどね、魔素量の多い魔物化した鮎と魔素量が少ない普通の鮎と出全く区別が付かない程大きさ変わって無かったんだよね。

 まぁ鑑定すれば一発で判るから特徴とか探す必要も無かったんだけど一応と思って探して見つけた特徴が又かなりストイックに探すようなもんでした。

 尾の先っちょと口の中が紫なだけ。

 尾の先っちょもほんの先っちょだから外見で区別するのが難しいレベル。

 一般人はどっちも普通に鮎と思って食ってただろうな、気付かずに。

 で、ね、どっちも普通に美味しかったから困るのよ、尚更どっちが魔物化してんのか判らん。

 まぁ、脱線したけどそんなこんなで釣りしてたら面白そうな話が展開して居たので一枚かむ事にしたって訳。

 急いでボート返却してさ、クリムゾンスパイダー出して、乗り込むやすぐさま空間転移で龍馬さんの集落へ。

 竜馬さん稼いでるお陰で集落の長みたいになっててさ、古参の人達に言わせるとそんな有力者が読め取って無い事にとっても不安を覚えてたので尚更都合も良かったしな。

 見合いの為に迎えに来たっつったら村を上げてどうぞどうぞと竜馬さんを差し出してくれたわよ。

 それで拉致った竜馬さんをテーラーズルームにぶっこんで、着替えさせつつスパイダーを走らせて来たって訳。

 で、今まさに、竜馬さんとリーゼロッテちゃん、MkⅣの言う所のロッテちゃんがお互いの容姿に腰抜かさんとばかりに見つめ合ったまま固まった瞬間はとぉ~っても面白かった。

「よぉ~っしMkⅢ良い仕事した、MkⅣも良い子を連れて来たわ。

 折角だから楽しもう、私は、三日以内にどちらからともなくプロポーズしてくっ付くに1両、あんた達は?」

「人の恋路で賭け事とは悪趣味に走ったわね、本体、私は、二日以内ね~。」

「悪趣味って言うな?マリイのお世話してる時以外は退屈なんだもん、籠ってるとさぁ。

 ところで、MkⅢは賭けないの?」

「う~ん、私はねぇ~、後3時間以内、かな?」

「「はぁ?」」

「何でよ、そんなに驚く事?」

「イヤあまりにも早すぎんだろそれよ?」

「そんな事ねぇって、見ろ、未だ見つめ合って固まってる。」

「「あ・・・マジだこれ。」」

「ふふ~んだ、伊達にあんた達よりも旅して周って無いわよ~。」

「クッソ~、負けかも知れん~。」

「2両頂きだわね、これは。」

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 そして、2時間半後。

「もうそろそろあんたの賭けの負けが確定するわよねぇ~、三時間は言い過ぎだったんじゃなぁい?」

「う、ま、まだ30分あるもんっ!」

「もうあと30分しか無いとも言うけどね~っ。」

 くそう、追い込まれた、とっととコクっちまえよ!どっちか!

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「何だかすっかり和んじゃったものねぇ、あの子達、もう今日中の告白は無いんじゃな~い?」

「大丈夫だもんっ! あと25分あるもんっ!」

「だんだん苦しく成って来るわね~、MkⅢ~。」

「エリー様方、マリイ様が泣いて居ります。」

 このタイミングでアインが報告に来た。

「う~、良い所だったんだけどな~、ま、マリイのお世話の方が楽しいからあとはよろしくね~、私の負けは確定みたいだしね~。」

 本体がとっとと席を外した。

 負けが確定と言うけどもし私の残り時間内に告白が無ければ本体にも可能性は出て来る筈なのに何でそんな事を言うのだろう。

「んじゃ、後23分位、楽しんでね~。」

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 -オリジナル-

「マリイ~、お待たせぇ~、ママがきまちたよ~。

 お腹空いたねぇ~。

 オッパイでちゅよ~。

 あ?何見てんだよ、あっち行っとけよ、殺すぞコラ。」

 全く、何でカメラが入り込んでんのよ、ツヴァイが排除に失敗したのか?

 ったく、授乳シーンなんか披露しませんからね!

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 -MkⅢ-

 MkⅣに煽られる、ムカつく~。

「さぁさぁ、もう後10分しか無いわよ~、負けを認めなさいMkⅢ~。」

「もう10分しか無いんじゃ無いもん!未だ後10分もあるんだもん!」

「あれぇ? MkⅣ様とMkⅣ様だぁ~、何やってるんですか~?」

 ややっこしいのが入って来やがった。

「「ウッセーよ、黙ってなさい!トライ!」」

「はい・・・ごめんなさい・・・ひえ~、パワハラですぅ~、やっぱブラック企業ですぅ~。」

「貴方は要らない事に首を突っ込みから叱られるのです、トライ。」

 ナイス突込みだアイン。

 って、トライ達に気を取られている隙に・・・

「リーゼ殿、俺と、結婚を前提にお付き合いをして頂けないだろうか?」

「ひゃ、ひゃい! よよよ、よりょこんれ!」

「っしゃっ!、私の勝ちっ!」

「くっそぉ~! あと5分くれぇだったのに~。」

「ほぉ~らね、私の負けだったでしょう?」

「んじゃぁ、みんなで、せぇの!」

「「「おめでとう~!!!」」」

「っつーか本体、マリイを私に抱かせなさい!

 したら掛け金チャラにしてやる!」

「な!まじ?良いよ~、ほぉ~らまりい、MkⅢママでちゅよ~。」

「マァマ、だっこ。」

「ん~~、超可愛い、マリイ~、大ちゅきよぉ~。」

 あ、本体から私にうつって来たマリイが、うんちした・・・

「ねぇ、本体・・・マリイ、うんちみたい。」

「ほい、おむつ。」

 アッサリとオムツ渡される私。

 知識として知ってるけどちゃんと交換できるかしら・・・

 あったかいお湯で湿らせた手ぬぐいも渡された。

「MkⅢ、頑張りまーす。」

「うんちに耐えられるかな?」

「あのね、あんたと同じ人格で耐えられないとでも?

 ってか、愛おしくてたまらないからそれは無い、問題は初めてのオムツをちゃんと交換できるかどうかの方です!」

「冗談よ~w

 MkⅣも普通に平気だから大丈夫なのは知ってる~w」

「まさかMkⅢだけ無理だったりする事は無いと思うよ、私も。」

 揶揄われただけだったようで・・・

「「私達は、どうしよう・・・」」

「リョウマさんの実家に御挨拶にでも行ってきたら?

 スパイダー貸してあげるから。」

 マリイが最優先である、後はどうでも良い。

 マリイ尊い!

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