第218話 お見合い

        お見合い

 -MkⅢ-

「ちょ、エリー殿?

 何を・・・。」

「何をじゃ無いわよ、竜馬さん未だ結婚して無いでしょう?

 ンで彼女も居ねぇってんだから紹介してあげようっての、だからとっととテーラーズルームで着替えなさいなっての。

 ってか勝手に着替えさせて貰えるから機械に身を任せなさい。」

「待ってくれ~!心の準備も出来て無いって~!」

 テーラーズルームに押し込めて、着付けも出来るマニピュレータ―で強引に着替えさせてるのだ。

 それにしても、本体も面白い事考えたわね~。

 リーゼロッテ・アームストロングの経緯は私もナノマシンデータリンクの情報共有で見ちゃったからさ、年齢的にもうギリギリって所は同意だしさ、竜馬さんも独身なら良い塩梅で行けるんじゃねぇかとは確かに思うけどな。

 いきなりこの二人をくっつけちゃえと一瞬で発想出来る所が凄い、流石本体だわ。

 で、だ、いつもの羽織袴も悪くは無いんだけどね、少し年季入って裾とか解れてボロボロだしな、今回、どうせなのでモーニング着せてみようと思ってるんだよね。

 そうこうしている内に、着替え終わったらしい。

 どれどれ、どんな具合かな~?

「うぉぁっ!? これはこれは、恐れ入ったわ~・・・タッパも有るし似合うだろうとは思ったけどさぁ、ここまでとは恐れ入った。

 いや福眼福眼。

 良いもん見せさて貰ったわ。」

 見合いうまく行かなかったら私貰って良いかなぁとか思う程だったよ。

 さぁ、竜馬さんの支度も出来たし、後1分位かな、到着だよ~。

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 -リーゼロッテ・アームストロング-

 ちょ! 手合わせ! え?? 何で?何がどうなって???

 えぇ~~~~???

 何でエリー殿二人になってんの??? 

 双子じゃ無いの? え?違うの?同一人物???何で???

 え?何してんの? 

 え?お化粧?? 止めて、私お化粧苦手なんだから!

 え?うっそぉ!? これが私?私こんなに奇麗になったの??????

 え?ド・・・ドドドドレスぅ???

 えぇぇ~~???大混乱の内に着替えさせられて全身を移す姿見の前に立たされた。

「こ、これが、私???」

「そうよ~、奇麗じゃ無いの、素敵よ~。」

 凄く持ち上げられて居るけど、いつもなら馬鹿にされてる気になって怒る所なのに、この人に言われると悪い気がしないだけじゃなくて、何だか嬉しくなるし、変な自信みたいのが溢れて来る、不思議だ。

「イヤぁ~、連れて来て良かったわ~、やっぱね~、美人なのに勿体ネーなーって思ってたのよ、完璧だわ、こりゃ。」

「これならすぐにでもお相手見つかるわよ?」

「うんうん、早速お見合いを!」

「え?え?えぇぇ~~???」

「何言ってんの、もう急がないと年齢的にアウトでしょ?」

「そうそう、急がないと~。」

 ななな何何何何????お見合い??????って何?どう言う事???えぇぇぇぇぇ~~~~????

 そのお見合い相手と言う人が乗って来たらしい変な乗り物が到着して、私のお見合い相手らしい人が降りて来る・・・

 私は、不覚にも一目その人を見てこう思ってしまった・・・

 か、カッコイイ! 素敵な人! あぁっ!こんな人とお付き合いしてみたい!

 あれ? 私・・・ウソ、ずっと男になったつもりで生きて来たのに。

 きゃ~! 何だか、何でこんなに嬉しいの??

 ドキドキする、顔が熱い、口角が自然と上がる・・・

 これが私の本当??

 ああっ!もうどうにでも成っちゃいそう、むしろなっちゃえ!

「あ、あの・・・は、初めまして、リーゼロッテと申します・・・」

 緊張してドモってしまった、益々顔が熱い。

「あ、その、初めまして、竜馬と申します。」

 こうしてお見合いが始まったのであった。

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 -竜馬-

 エリー殿が突然現れたかと思ったら拉致され、強引に着替えさせられた上に、突然見合いをしろとスパイダーから放り出されたのだが、困惑していたこの事態も、お相手を見て一目で消え失せた。

 美しい人だ。

 少し筋骨隆々な気はするが、この世は魔物が跋扈する、自分の身を護る為には、エリー殿の様に何故か出鱈目に強かったり、クリス殿のような怪力であったり、女性だって鍛えている人は少なく無いので、違和感を覚える事は無いのだが、それにしても凄い肉体美だと言えるだろう。

 一目で惚れてしまった。

 切れ長の眉に、鋭い眼光を放っては居るが二重で大きな瞳、スラっと透った鼻筋、サラサラの長い髪、そしてその筋肉質の大胸筋に支えられて垂れて居ない、大きさを無視するかの程に形の良い胸。

 引き締まった腰、 カモシカのように、筋肉質だが太すぎるとは思わないスラっと美しい脚、どれを取っても俺の理想と言える。

 こんな夢の女性が本当に居たのかと驚かされる。

 暫く、茶を嗜みつつ会話をすると、とても直向きで、実直な、信頼に値する人格者である事も判って来た、益々これは私の妻になって貰えぬものだろうかと思う。

 お相手のリーゼロッテ殿も、満更でも無さそうなので、この人とお付き合いをしたいと、心の底から思った。

「リーゼ殿、俺と、結婚を前提にお付き合いをして頂けないだろうか?」

「ひゃ、ひゃい! よよよ、よりょこんれ!」

 噛んだな、良かった、そんなに喜んでくれたのであれば、最高の結果だ。

「「「おめでとう~~~!!!」」」

 何だかエリー殿が三人に見えるのは気のせいか???

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