第214話 新米
新米
-エリー本体-
今日も、一緒に寝ているマリイにホッペペチペチされて目が覚める。
幸せだ・・・
先ず、朝の御勤めで最寄りの神社まで出向く為に、アインにマリイを預けて巫女服に着替えた私は、急ぎ家を出ると、イオンクラフトで飛び上がると、そのまま方向を変えて神社へとあっと言う間に到着してしまう。
そして本殿へと向かうと、神主さんがようやく起きたらしく、寝間着の浴衣のままでやって来た。
「おお、恵里衣ちゃんおはよう。」
お前は私がやってくれると思って寝坊しすぎだよ。
まぁ仕方ねぇので、取り敢えずは、祝詞を唱えてですな。
その後に御神楽を舞う、これだけは神主居なくてもやるっきゃねぇのでやりますよ。
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祝詞を終えて、御神楽を始めると、誰も入れて居なかった筈の神楽殿に人が居た。
何者だ?
御神楽を舞い終わるとほぼ同時に、その人物は、拍手をしてくれる、あんまりそう言う踊りじゃ無いんだけどなァ・・・
「これは見事な舞でした、恵里衣殿とお見受けいたします。」
「貴方は?」
「これは失礼、私は、鎌倉より参りました、源九朗判官義経と申します。」
うわ、何かとんでもねぇ奴来た。
「へぇ、随分と立派な名前の人が来たものね。」
「おや、拙者の事をご存じか?」
「ご存じも何も、時系列がこんがらがってるみたいだし何とも言えないけどさ、あんたは少なくとも有名人だ。
兄ちゃんの旗揚げに逸早くはせ参じて自ら捨て駒になってまでお兄ちゃんを支えた猛将だよね。
此処に居るのならお手合わせ願いたい所だわね。」
「ははは、腕に覚えがあるようで。
ですが今日はそのような用件で参った訳では御座りませぬので。」
「そう、残念。
で、その要件と言うのは?」
「恵里衣殿は様々な料理に精通して居られると伺って参った次第です。」
へぇ、意外だ、義経公がお料理に興味が有るとはね。
「私がお料理を貴方に教えたら良いのかしら?」
「いや、流石に拙者にお教え頂いても無理が御座います、鎌倉より3名の料理人を連れて参ったので、この者達を半年間で構いませんので弟子として住み込みで料理を教えて頂きたいのです。」
「ん~、私としては構わないのだけど、三人も住み込めるほどの屋敷も無いし、私と娘位しか住んで居ないので料理人に作らせる程の量は作る必要性も無いんだよね。」
「では、一名だけでも如何でしょうか。」
「まぁ一人位ならねぇ、なんとか。」
「誠で御座るか!?
それでは、此方からは、今年の収穫が終わったばかりの新米を200俵、贈らせます。」
200俵ってあんた・・・桁が、違い過ぎねぇか?新米は有り難いけどさ。
私にどっかと戦でもしろってか?
っつーか私を敵に回したら数時間で落城だと思うけどな。
そんな兵糧要らねぇw
まぁでも、貰えるなら貰っといて孤児院にでも寄付するべ?
ストレージに仕舞っといたら何年経っても新米だしなw
そんでもって、ガチで連れて来ていた料理人を一人選んで連れてってくれってんで、選ぶ事にした。
見た目とかそう言うのはどうでも良いからさ、腕の良い奴が良いって事で鑑定しとく。
そしたら皆どっこいだったんだけど、1人だけ、絶対味覚のスキルが有ったので、こいつにした。
これがね、驚くなかれ、将来有望な若者だったので尚更良し!
「ぼ、僕で宜しいのですか?」
「うん、決して容姿とかで選んだ訳じゃ無いからね?」
「はい、鑑定スキルを持って居ると伺って居ますので、判ってます。」
そんな事まで調べてたんかい、源家侮るなかれ、だな。
「あ、それとね、うちで修行中はちゃんとお給料出すし、うちのメイド達が運転出来るから最寄りの宿場町に遊びに行けるくらいは出来るからね。
ちなみに私やメイドに手を出そうとすると多分死ぬわよ。
皆桁違いに強いから。」
「強いって、どの位です?」
「そうね、一番弱い・・・と言うか一番おっちょこちょいなトライでさえもイセエビと戦って左手のアクチュエーター以外故障が無い程には・・・」
「えっと、何の事か判らないんですけど。」
「ようは巨大イセエビと戦って左手骨折程度で済んじゃうって事よ。」
「それで一番弱いんです?」
「まぁ、多分ね?」
「一番強い方だと?」
「そうねぇ、5分でお城を粉々に粉砕出来る。
かな?」
「・・・・・・」
青くなってる、うん、こいつ割と可愛いぞ?
母性本能擽られるタイプ、虐め甲斐は有りそうだ。
良い拾い物かもしれん。
その晩。
「ただいまー。」
MkⅣが帰って来た。
「え?え?ええ??」
「ああ、紹介するよ、もう一人の私。」
「よっ! よろしくねっ♡」
「もう一人って・・・」
「こう見えて双子じゃ無くて同じ一人の人間だからね~。
ハイエルフだけど。」
大混乱の料理人君、あ、この子、名前がひろし君て言うのよ。
で、この子連れ帰って来て今日で二日目。
深夜の内に運び込まれたらしき米俵200俵が玄関前に鎮座してたのでそのままストレージに吸い込むように仕舞って、キッチンの脇に作られた食品庫に1俵だけ置かれる事に成った。
「あの、恵里衣師匠、一俵だけ?」
「ああ、後は劣化しちゃう前に時間の止まったストレージに保管したから。」
「意味が解らない・・・」
兎に角混乱の毎日らしい。
そのうち、「ひろしです・・・」とかネタ始めるんじゃ無いかと少し心配・・・
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