第213話 新たな街へ(MkⅣ)
新たな街へ(MkⅣ)
流石に、あそこまで有名になっちゃうとあの街にはもう行けないよね・・・
割と気に入ってたんだけどな、大都会と言う程じゃ無くてソコソコ田舎でさぁ。
今度は海岸線沿いに南下して見ようかな。
屋敷の地下にしれっと格納してあるスカーレットグリフォンを一機拝借して、新しい街を見つけに行くんだ。
離水して間もなく、眼下に海岸線が広がる。
ちなみに、最大戦速でも私なら耐えられるんだけどさ、そこまで飛ばす必要も無いだろう。
先ず、木更津の街が見えて来た。
だけど街と言う程の反映では無いように見えるのでスルー、次に江戸上空に差し掛かったけど、ここまで大きい都市はちょっと。
でもすぐに、横浜の街が見えて来た、おお、この辺りなら良いかなぁ?
でも、それでも少し開発が進み過ぎてる気もするのよね。
あ、そうだ、こっちはどう?横須賀・・・は、港街過ぎてなんか色々偏りが、う~ん・・・
あ、ここなら良いかな、富士一宮、製紙の街よね。
あ~、でも、そう言えばMkⅢが鰻食ったってテンションアゲアゲで話してたっけ、私も、ここまで来たら行くしかねぇか!
って事で到着しました、浜松!
うなぎパイの街~!(認識が少し間違ってる)
ストレージにスカーレットグリフォン仕舞って、上陸だ。
さて、早速うなぎ屋さんでも探そうかな~。
早速散策を始めたんだけど、突然背後から悲鳴。
振り返ると・・・
ひったくりよ~!誰か捕まえて~!
刃物を持って、風呂敷を抱えた男がこっちに走って来て居るので、多分私を女だからと思って逃げやすい方向と認識してるんだろうけどそうは問屋が卸してたまるか。
足元に落ちていた小さな石コロを拾って指ではじいて男の額にぶつけると、一瞬怯んだ隙を突いて、間合いを詰めて踵落としで意識を刈り取ってやる。
そんで、そのまま男の髪を掴んで持ち上げようとしたら、ズラだった・・・
思わず吹き出しちゃった。
だってね、髪の毛がさ、天辺だけじゃ無くて、前から後ろまですっかり禿散らかしてほとんど無くなってるのに、両サイドだけ残っててさ、垂れ耳ワンコの耳の様になっちゃってるんだもん。
でも鑑定では亜人じゃ無いんだw
思わず爆笑しちゃったし。
んで、そのままマカンヌ直伝観音縛りに菱縛りで完全拘束して、番屋にお届けする事に。
風呂敷を引っ手繰られた女性は、大店の呉服屋さんの女将さんだった。
「大丈夫?取られる時にお怪我とかしてませんか?」
そう聞くと、
「ありがとうございます、怪我は有りません、本当に助かりました。
私は今から、仕立てたお召し物を袷にお客様の所へ行く所だったのです。
まだお代を頂いて居る物でも無かったのでこれが取られると旦那様に叱られる処か離縁されてしまう所でした。」
・・・ん?
まさかと思うんだけどさ、この人の旦那様である呉服屋の御主人ってどっかのうら若きお金持ちのお嬢さんと出来てて、離婚したくて嗾けたって事無いよね?
なんかきな臭くなって来たな。
もしかするとこの奥様がお袷に向かっているその娘さんがその相手だったりしちゃうんじゃ無いかなぁ??
うん、とっても胡散臭い、ってか私の勘は割と当たるんだよな。
ここは乗り掛かった舟、一緒に行ってあげちゃおうかな。
け、決して面白そうだからって言う冷やかし根性じゃ無いんだからねっ!?
ホントにそんなんじゃ無いからっ!
「私が護衛に付いて行ってあげるよ、何だかあなた、又狙われる気がするし。」
「助かります、御礼はさせて頂きますのでよろしくお願いします。」
移動を始めると、やっぱり尾行して来る奴が居る。
そしてこの先の路地に一人、さらに先に二人隠れてる。
一人の方はまだ良いとして、二人同時に掛かって来られたら手加減出来る自信が無いな。
案の定、隠れて居る奴は刺客だった。飛び掛かって来たので、その手首を掴んでぐるっと捻って肩甲骨をトンと押してやると、肩が脱臼する。
その痛みで悶絶する男を、同じく緊縛して転がしておきつつ、その先の路地へ。
十字路の両サイド方飛び掛かって来た男の片方の胸座を掴みに行くと同時にハートブレイクショットと呼ばれるテクニックで心臓の場所に遠当のような衝撃を加えてやると、一瞬心臓が止まってそのショックで意識を刈り取る事が出来る。
そのまま胸座を掴んだままもう一人の方へとその完全に意識を失って脱力した男を投げつけてやる。
そして、その頭同士をぶち当ててやる事で、もう一人の意識も脳震盪と言う形で刈り取った。
ロープの在庫が無くなってしまったので、本体がお遊びで作って居た結束バンドで、二人の男の両手の指を全て結束バンドで一本づつ締め上げて結束し、首にも結束バンドで拘束具を拵えて二人を完全にくっつけて結束。向き合わせてかなり近くなるようにしたので驚いて慌てて動いたりすると男同士でキスする事に成るかも知れないと言うお楽しみ付きである。
その気がある人なら良いけどそうじゃ無ければかなり嫌だろうと思うのでそうなった時が楽しみだ。
そして、とうとうお屋敷へとたどり着いた。
結果なんだけど、この着物を注文して居たのはこのお屋敷に住んでる後家さんで、旦那は少し前に夜盗と戦って殉職した旗本さんだったらしい。
お子様が居るのでこの屋敷にそのまま住まう事を許されて居て子供に家督を譲ると言う事で悠々自適な生活をして居るようだ。
若い娘じゃ無かったよね、少し外れた、残念。
でも、多分それで間違いなく不倫関係になって居るのだろうとは簡単に予測できる状況には成った。
と、すると、尾行して来てるのは恐らくこの人の旦那だろうと安易に予測出来てしまう。
なんつー稚拙な犯行なんだろう。
それにしてもこの呉服屋の旦那さんってさ、もしかしてブス専?
この女将さんより、不倫相手の方が圧倒的に不細工なんですけど?
玄関でこの女将さんの顔を見た瞬間のこの奥さんの驚いたような顔が又見ものだったよ。
鳩が豆鉄砲食らったとは良く使う表現だけどさぁ、
オークが豆鉄砲食らったんじゃねぇかっつー位醜い顔だった。
笑い堪えるのに必死でした。
今日は笑わされる事が多いわね。
着物をお袷せしつつも、何だかずっと微妙な表情だったので、この奥さんお金なんか用意してねぇなーって感じだ。
やっぱりと言うか、ちょっとココがきついのコッチが苦しいのって難癖付けて居たけど、そんな風には着付けを見ている限り見えなかったし、むしろ結構ゆったりめだったと言う印象だったけどなぁ。
んで、いざ納品完了となってお支払いを頂く段階になって、突然奥さんがお茶を出して来たので警戒して鑑定して見たら、やっぱりトリカブトが煎じてあったので、さりげなく飲んじゃダメよって伝えておく。
ンで、この毒入り茶は証拠品になるって事で、ここで捨てられる前に旗本の奥さんを捕縛。
すると、庭に回り込んで木の陰でこっちを見ていた呉服屋の御主人が最後の手段とばかりに何処で調達したかも判らない刀を振りかざして飛び出して来たけど、素人に刀が扱えるとも思わないので邑雅を出してその刀を両断してやった。
で、その場でこのブス専親父も捕縛。
色々事情を聴くと、この女将さんとは、親同士の決めた許嫁として昔から知り合った人物同士で、結婚したらしいのだが、おかみさんの方は悪い気はして居なかったようだ。
で、兎に角旦那の方はこの女将さんの容姿が気に入らなかったのだが親の決めた結婚と言う事で渋々従って居たらしい。
そしてこの旦那のご両親が他界したのをきっかけで、たまたま顧客だったこの旗本の奥さんと良い仲になってしまったらしい。
全てが方付いたのは良いが、今一つな結果になってしまった。
呉服屋はおかみさんが経営して行く事に成った。
息子は未だ子供って事で、旦那のようには成らないようにしっかり育てると言うので、後はお任せしよう、これ以上首突っ込む所は無いからね。
で、御礼と言って、とても可愛らしい柄の振袖と小袖を一着づつ頂いてしまった、当然帯と帯紐、襦袢とかも全部セットで。
ストレージに仕舞いつつ、お腹減ったな~ってうなぎ屋を再度探す事に成ってしまった、マジ腹減ったよ。
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