第191話 鬼伝説の里
鬼伝説の里
鬼無里村・・・それはね、鬼女紅葉と言う鬼が治めて居たと言われる伝説のある土地。
住民は、鬼を崇め、定期的に貢物をする事で守って貰って居たのだと言われている。
の、だけど・・・
伝承とは少し違うくさいね。
何かね、皆鬼っぽいんだ、鑑定するとね、鬼人って出るんだよね、村ごと見事なまでに皆、ね。
襲われたら大変なので警戒レベルを更に上げる私。
これだけ鬼人ばかりが村を牛耳ってるとなると、私は良い鴨?
ってか、鬼人とは言ってもステータスはそんなにトンデモナイ事も無かったので、その辺はもし襲われても返り討ちだけどね。
ただ人数が少し多すぎて面倒なんだよな。
取り合えず、村に入ったけど襲ってくる気配はない。
ならば、普通の旅人の振りをして旅館へ。
旅館の入り口を入ると、土間になって居り、そこに番頭と思しき鬼人が一人。
「いらっしゃいませ、お泊りでしょうか?」
「ここは温泉は有るのかしら?
それと、景観の良いお部屋は空いてる?」
「はい、温泉も勿論御座いますし、丁度この度新築したばかりで、その時に作らせて頂いた良いお部屋が御座います。」
確かに新しいんだ、建物が。
って言うか、この旅館だけで無くてこの村の建物が殆ど全部新築なんだよね。
何か災害にでも見舞われたかのように。
この付近に居るナノマシンに何かあったのかと情報開示を指示して見ても、禁則事項と出るだけで、教えてくれない、私から質問を受ける事を予測して本体がわざとやってるとしか思えないんだよなぁ。
気に成るね。
そうなったら聞いて見るしかないよね。
「そう言えばこの付近の建物は皆新築のように見えますけど、何かあったんでしょうか?」
「ええ、少々大火事が起こってしまいまして、周囲の建物も軒並み燃えてしまったのですよ、丁度偶然に居合わせた探索者の方々が手伝って下さって短期間で改修する事が出来たのです。」
「そんな事があったのね、ありがとう、では、一泊させて頂こうかしら?
おいくらですか?」
「一番良い部屋で宜しいですか?」
「ええ、それでお願いします。」
「では、一泊二食付き、温泉には入り放題で八十文で宜しいでしょうか?」
おお、一両と言われるかと思ったけど何とか抑えた感じの価格、悪く無いんじゃない?
「じゃあ、これで、お釣りはサービス料として取っといてくださいな。」
そう言って小判を一枚出す。
「有難うございます、お預かりします。」
うん、普通なんだよな、応対も。
では何でこの村は鬼だらけなのだろう。
玉藻ちゃんは、何かを探している様子。
「あ、あの! この旅館に私ソックリな人、居てはりませんか?」
尻尾も耳も隠した玉藻ちゃんが番頭さんに問う。
「ん~・・・女将さんなら少し似てるかもしれんね~、呼びましょうか?」
「お、お願いします。」
「なら、呼びますね。」
番頭さんは奥へ行き女将さんを呼ぶ声がする・
「女将さ~ん! ちょっとよろしいでしょうか~?」
「なに~、どないしたん~?」
奥から女将さんらしき声が聞こえた、うん、玉藻ちゃんに似てるかもね、声。
出て来たのは、角が生えた玉藻ちゃんだった。
「あらぁ?何や、わっちより早う見つけたんかいな、ほんならここで女将するんも今日で最後かいな。」
と言うと、角を取った、と言うか、カチューシャになってたw
鑑定するまでも無く玉藻ちゃんの分身の一体だったようだ。
「此方の恵里衣さんが多分最強の御人どす、英雄覇気だけで失神させられましたから。」
「ほんなら間違い無いんやろうねぇ、へぇ~、もう三本になっとるんや、わっちが合わさって後半分ほどやね。」
と、言って融合した。
すると、まるで熱に浮かされていたかのように番頭の態度があからさまに変わった。
「な、何者ですか? も、もうそっとして置いて下さい、私達鬼人は貴方達の思い通りには成りません!」
「何? 急にどしたの? 泊めてくれって言ってんだけど?」
「はい? 何の事です? 何で家に貴女を泊めないといけないんですか?」
は?どうなってんの?
すると玉藻が・・・
「あのぉ、恵里衣様、どうやら魅了スキルで操ってたらしいんですけど、融合した事で術が解けたみたいです・・・」
なんだとぉっ!じゃあここは温泉のある旅館なのに泊まる事が出来なくなっちゃったって事?
「で、この事態どうすんのよ・・・」
「ほんならわっちが・・・」
すると、又なんかスイッチが入ったように元に戻って、宿泊台帳やら出して来て泊まる手続きしてくれた、ある意味便利だけどこれ後でどうにかしないとダメよ、マジで。
しかし、鬼人を操ってたって、実は相当な強さなんじゃない?玉藻ちゃん尻尾4本になってどこまで強くなってるんだ?
「そうそう、恵里衣様、どの位の強さになったか手合わせ頂いてもよろしゅおす?」
「ああ、私も気に成ってたから良いよ、チェックインは終わった事だし、村の外でやろう。」
村の外へと出てきた。
玉藻ちゃんは構えを取って、私は普通に立って居る。
「構えないで、大丈夫どすか?」
「うん、私の構えは大概こんな感じだから。
さ、どっからでも掛かって来なさい。」
「では、行きますよ。」
次の瞬間、真横から冗談蹴りが飛んで来た。
当然私は見もせず、一歩も動かずに避けて見せる。
しかし、あれか?亜人ってのは武器を使うよりも体術とかの方が得意なのかね?
うちの猫も拳聖にまでなってる程だろ?
やっぱ身体能力が高いからだろうか。
とは言っても、私の身体強化とナノマシンデータリンクで360°どこも見えない箇所が無いこの状況では負けようも無いんだけど。
蹴りの後一連の動作で鉄扇も飛んで来たけどこれもさらっと避けた。
そのまま返す動きでデコピン一発食らわしてやった。
と、そこへ本体からメールが入った。
『あんたさ、やっぱ明後日じゃ無くて明日帰って来てくれない?』
なんかあったのかな?これは。
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