第187話 白神高地1
白神高地1
浅虫温泉でもう一泊した私達だったが、一寸思う所あって、このまま十和田経由で戻るのではなく、白神山を目指した。
何でってね、あの豊穣神に恵まれたような山には、良い酵母が育ってる筈なんだよ。
豊穣神と言えばさぁ、宇迦御魂じゃない?
って事はさ、この玉藻とも非常に縁が有る気もするしね。
なんたって、玉藻が全員本体と合体すれば妲己でしょう?
妲己で正しいとすれば宇迦御魂と一緒に祭られて同一化したお稲荷様でしょう?
もう一柱宇迦御魂の兄神が祭られてると言う話もあるけどな。
なのであんなに豊かな高地を湛えた山なら何か関連がある気がする。
なので、敢えてそっちから回って見ようと言う事に成った訳。
私自身も折角だから色んな所回りたかったのも有るしな。
そっちが本音な訳じゃ無いぞ、絶対違うんだからな?
って言うかね、この大陸? がね、だんだん判って来たぞ。
形は大幅に日本列島と違うし、規模も圧倒的に大きいんだけどな、先ず、北海道が存在して無い事と、規模や形が違うだけで、概ね方角と地名が日本列島とほぼ一致するんだ。
で、たま~に、全然違う位置関係の所にある地名とかも有るんだよ。
ホントにたまに、ね?
その突飛な地名がどう言う法則なのかは知らんけど、でもそう言う所には、日本列島のその地名と同じ特色が有ると言う事。
例えば気象条件が非常に似通って居たりとか、同じ泉質の温泉が有るとか。
これはこの大陸全土に張り巡らせたナノマシンで調査した結果判った事なんだけど、判ったと言うだけでどうという事は無いんだけどね、でも、地理に疎いより聡い方が都合良いだろ?
まぁ、そんなこんなで今向かって居るのは白神高地って奴。
とっても肥沃な山岳地で、まさに神の地と言う感じに様々な山菜やキノコ、そしてそれらを食べに来る兎や鹿などの野生動物も豊富。
と、まぁ、兎に角肥沃な大地なのだ。
そしてね、この世界のパンは、何だかんだ言っても黒パンやカチカチパンなのだ。
小麦自体はかなり香りも味も良いので食べれば美味しいは美味しいんだけどね・・・兎に角かてぇんだわ。
白神酵母と言う大変優秀な天然酵母が有ると言う話は知って居たので、これを絶対に見つけるのだ。
そしてふんわりもちもちの天然酵母のパンをこの世に誕生させたいのだ。
山越えで白神へ行こうと思って居たんだけど、ナノマシン調べで、途中に絶望レベルのゴルジ帯になって居る河川が通って居る事が判明。
迂回するとなると、クリムゾンスパイダーで走る事を考えると昨日も行った弘前の方角にぐるっと迂回して行く方が早いと言う事に成ってしまった。
少し道程的には長くなってしまったけど、白神を外す事は出来ないからね、仕方無いよね~。
暫く走って行くと、海岸線へと出た。
更に暫く走って行くと、海水の混じる湖に行き当った、これは若しかすると、十三湖って奴かしら?
すると、以前に見つけたあの湖よりも質の良いシジミが獲れるんじゃね?
一寸やってみるかな?
そう言えばあの湖のシジミって、ポイズンサーペントのお陰で絶滅し掛けてたよな、ここのシジミ持って行って、交配させたらかなりの手助けが出来そうだよな。
良し、これは獲っておかない手は無いね。
早速シジミ漁を始めると、まぁ、予想を超えてかなりの量が獲れる事獲れる事。もしかしてこの辺の人ってこの美味しい貝の存在をまだあまり知らないんじゃ?
ってか、良く周囲を見回して見たけど殆ど民家らしきものが見当たらない。
ああ、そう言う事ね、この辺は人の居住エリアでは無くて魔獣とかのエリアの真っただ中って事か。
シジミ漁してたら狼さんやら熊さんやらいっぱい集まって来たくせぇ。
周囲に集まって来たそいつらを鑑定してみると、こちの大陸にしかいない固有種のようだ。
狼型の魔獣は、帝狼と言う名だった、強さはこれまでの狼型の魔獣でも群を抜いて強いし、体の大きさもこれまでの比じゃ無かった。
熊の方は、日輪熊・・・月の輪熊じゃ無くて日輪なんだね・・・
こっちも今まで倒して来た熊のどれよりも一番強かった。
まぁ私の敵じゃ無いのは間違い無いんだけど。
流石にこの位の強さのレベルになると、強者の気配ってのを敏感に察して居るようで、遠巻きに見ているだけで寄って来ようとはしない。
なので、ほっとく事にした。
だけどね、何だか私の行動をじっと見守ってる節が有ったので、この辺の守護者なのかなーって思って、この湖に海水と一緒に流れ込んで来たと思われる魚を数匹釣り上げて、迷惑料だとばかりに熊さんと狼さんに投げてやると、それを咥えて満足そうに山の方へと戻って行くのが見えた。
成程、これは良い前例を作れた気がするぞ?
その内この湖のすぐ脇に村でも作って、シジミ漁で生計を立てさせてみたら面白いかもね。
シジミ漁をする為に狼と熊に魚とって先にくれてやったら漁に夢中になってても大丈夫なんだろ、きっと、このパターンは。
実際にあの熊と狼以上に強い魔獣の存在はこの付近には確認出来ない。
あいつら知能もかなり高い気がするので、多分餌貰ったら他の魔獣も寄って来ないようにしてくれる可能性もあるな。
実験とばかりに、溢れていると思われる気配をぐっと抑えて見たけど、本当に何も現れる事は無かった。
やっぱあいつらが二大巨頭みたいで、アイツらが手を引くと他の魔獣も手出しが出来ないのだろう。
この様子なら湖畔村とまでは行かずとも付近に村を作れるだろう。
その内やってみるか。(と言うか本体がやるでしょ。)
この世界、決して魔獣は全面的に敵とか害獣指定な訳では無く、共存が可能、それを証明出来る可能性もここに発見する事が出来た。
私の旅の意味もここに更に広がったかな?
まぁ、本体のエリーの考えていた旅をする意味はもっとこの世界の可能性を考える為の検証だからね。
シジミを十分な量収穫した私は、その半分をスパイダーの生命維持装置を改造したプラントで育成、半分は私の食用としてスパイダーのストレージに突っ込んで深川飯とシジミ汁をメニューに加えた。
そのままお昼ご飯と洒落込んで深川飯とシジミ汁を玉藻ちゃんと楽しんで居ると、目的地に間もなく到着と言うお知らせをAIから受けた。
よっしゃ~!
新しく作った、微生物を探査するナノマシンを放つぞ~!
ンで、ナノマシンを放って一時間、お昼ご飯をゆっくり堪能しただけでなく、買い付けた高品質のリンゴを使って作ったコンポートをデザートで堪能しまくって待って居たが、もう発見したらしい。
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