第153話 番外編6 新生タイタンズ、改めジ・アース始動
番外編6 新生タイタンズ、改めジ・アース始動
カイエン、マカンヌ、キース、クリス、カレイラの五人は、この大陸に上陸して、エリーと別れた後に、近くの街へと向かって移動して居た。
クリムゾンスパイダーはリョーマの商隊の馬車を搭載してる為に、ここから別行動になる彼らが使う事は出来ない。
なので最寄りの街へと足を運んだのだ。
上陸したのは霞ヶ浦と言う、読者の方々ならどっかで聞いた事ある様な地名ではあるが、ここは日本と言う訳では無いので別の場所だ。
最寄りの街は、そう離れては居なかったので、彼らの体力であればほんのちょっとそこまでな感覚である。
ちなみに、言葉は通じない、筈なのだが、エリーがここの言語を熟知して居た為に、電脳で言語サポートを受ける事が出来た為に、道を尋ねるなど朝飯前であった為に尚更楽な旅、と言うより散歩のような感覚で歩いて居る。
唯一人、マカンヌだけは元から知って居る為に無性に流暢な言葉を使って居たが・・・
このエリアではゴブリンは出ないが、そっくりだが別種族の
餓鬼は、
そして、伽梨帝は、鬼神に当たる災害級の魔物なのだそうだ。
鬼神位の強さの魔物となると、もはや土地神クラスになる。
要するに、普通の人間であれば討伐不能と言うレベルだ。
但し伽梨帝は、体を動かすのがあまり得意では無いようで外をうろついて居る事は滅多に無い。
もしも見つけたらその場に、術札を使って封印するしか無いと言われているが、実際に封印されたと言う記録は残って居ない。
但し伽梨帝と言う鬼神自体は人に危害を加えたと言う記録も無い。
出会ったら最後と言う事なのか、はたまたあちらから人に害を成す事は無いのか。
しかしこれは後者なのではと言われている。
何故ならば、村や街と言った集落に現れた事は無いからだ。
従って、触らぬ神に祟り無しとはこのことで、討伐依頼が出た事も無い、それが伽梨帝だ。
そんな滅多に出会うはずのない存在に、一行は知らないで遭遇してしまった。
「ヤバいランクの魔物だ、気を引き締めろ!」
カイエンが全員に檄を飛ばすと、マカンヌがそれをサポートするようにこう言い放つ。
「初めて出会う魔物だしぃ~、皆慎重にねぇ~。
私達5人ならばぁ~、ドラゴン位までなら倒せるから~。」
流石にそれは無理だろうと心の中で突っ込みを入れながらも、キースが答える。
「おう!慎重に行けば俺達なら大丈夫だな!
みんな気を引き締めて行こうぜ!」
「お母さんのはちょっと大げさだけどねぇ~。」
今回、エリーに餞別と言って新調して貰ったミスリルと日緋色金の合金で打たれたダマスカスの細身のロングソードを、ミスリル製の、それこそこれで殴っても良いような強固な鞘から引き抜きながら笑顔で突っ込みを入れるカレイラ。
「ほらー、ダメよ、カレイラ、ホントに気を引き締めないと多分ソウトウ苦戦するわよ。」
鑑定で伽梨帝を見極めて的確にアドバイスするクリス。
「よし!行くぞっ!」
カイエン、カレイラが最前列で飛び出す。
カレイラの斜め後ろからキースが追う。
術を駆使して伽梨帝を翻弄し始めるマカンヌ。
カイエン、カレイラ、キースに強化の補助を与えつつ伽梨帝の背後に自らも加速して詰め寄るクリス。
勇者覇気で挑発し、シールドバッシュを発動するカイエン、その横から、自慢の高周波振動ブレード二本を振りかざして切りかかるキース。
これ又エリーから貰った魔導書火の章でまだ小さいながらもファイアボールを放ちつつ自らもファイアエンチャントで炎の剣を揮いつつターゲットを取りに行くカレイラ。
マカンヌに関しては風塵の術で術札と一緒に投げた手裏剣を風に巻き込ませて纏めて数本伽梨帝に宛ててHPを削って行くマカンヌ、出鱈目に優秀である。
そしてついに背後を取ったクリスが、エリー譲りの超身体強化スキルで筋力を最大級に上げ、コブラツイストで締めあげる。
クリスの身体強化が如何に優れているかが判る。
いくら伽梨帝がそれ程大きな魔物では無いと言っても、一応鬼族はパワーも肉体の強さも人間の20倍以上と言われている。
それがクリスにしがみ付かれて居るだけで動けなくなって居るのだからそのすごさも判ろうと言う物だ。
マカンヌの手裏剣が全部刺さった所で、クリスが伽梨帝を放し、ドロップキックで体勢を崩させると、カイエンが盾でいなしてさらに体勢を崩させる。
カレイラ、キース、マカンヌが一斉に切りかかり、討ち取ってしまった。
「さて・・・と、このメンツなら思ったよりも強い魔物にも太刀打ちできることが判った訳だが・・・こんな魔物は見た事無いからなぁ、恐らくはオーガの亜種か何かとは思うのだけど。
兎に角見た事の無い魔物だからな、討伐証明の部位が何処だか解らない、取り合えず、エリーに貰ったストレージとか言うスキルで仕舞えるか試して見よう。」
キースがストレージを発動して見る事にした。
すると、そのまま丸ごと収納する事が出来た。
「おお、これマジ便利だな。」
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そして遂に、街へと辿り着いた。
早速一行は、この街の探索者組合を目指す。
今回、タイタンズ改め、ジ・アース(カイエン命名、しっかりと地に足を付けて行こうと言う思いを乗せた命名だそうだ。)は、実は冒険者ギルドとこちらの探索者組合の連携を提案するべくして冒険者ギルドのマスター達から依頼を受けて来て居たりする。
受けて居たのは、元勇者の名声が役立ちそうだと言う事でカイエンだが・・・
流石に漁村に毛が生えたような規模の港街でそのような話をするのは気が引けた為に、大きな街へと移動して居たのだった。
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探索者組合の戸を開けたカイエンとその一行、その、余りにも変わった格好を繁々と眺める探索者の荒くれ達。
「失礼、邪魔するぞ。」
電脳で覚えた俄か言語をたどたどしくも使い、カイエンが第一声を上げる。
「ようこそ、探索者組合へ。
私は受け付けのサチと申します。
ご用件を承ります。」
「ああ、済まない、元勇者のカイエンが冒険者ギルドの使者としてやって来たとここの組合長に伝えて欲しいのだが。」
そう言ってカイエンは、一通の書状と冒険者ギルドのマスターより与った紋章を手渡す。
「あ、畏まりました、少々お待ち下さい。」
待って居ると、お約束のように、絡まれるカイエン・・・
「よぉ~! 兄ちゃん達!どっから来たよ、あぁ~?」
「何だお前は、寄るな。」
「釣れねぇ事言うんじゃね~よ! キレーなねぇちゃん3人も連れてよぉ~! 男二人に女三人じゃ一人あまんだろうがよ~! 一人っくれーまわして貰っても良いんじゃね~?」
「貴様、死にたいのなら他所でやってくれないか?
俺は元勇者、こいつが俺の妻でこの子は俺の娘だ。
それとあの二人は夫婦だからお前らの入る余地はない。」
何と糞真面目に答えた事か、カイエン・・・
「へっへっへ、ウソはいけねぇよな~、どう見たってお前とそっちの娘とか言ってたのは歳殆ど一緒じゃねぇか。」
確かにそう見えても可笑しくは無いのだ、カイエンとマカンヌは全身義体の夫婦であるし、新型義体に移った時に姿年齢を若くして居るのだから。
「なぁ彼女、俺らと遊ぼうぜ?」
カレイラに絡む奴が出て来るが、カレイラもそんじょ其処らの冒険者とは既に訳が違う、軽くいなすカレイラ。
「ちょっと退いて、私に絡むと命幾つ有っても足りないですよ?」
「へぇぇ?そんなにつええの?彼女ぉ~。」
室内なのでロングソードを抜く訳には行かないカレイラが、男の持っていたナイフを素早く抜き取り、その刃にエンチャントを乗せて炎を纏わせてみせる。
「ひっ!? な、ななななんだよ!
この女、化物だ!?」
ナイフを取り返そうともせずに逃げ出したその光景を見て、周囲が皆黙り込む。
エリーの影響をこよなく受けているカレイラが、こう締めくくった。
「怖かったぁ~。」
エリー譲りに、ムッチャクチャ可愛く言ったが、その声は組合内部に響くだけで、誰も何も返さずシーンと静まり返っている。
「やっぱ師匠みたいに笑い取るのは難しいですね。」
少し凹んだカレイラだった。
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