第147話 再生医療3
再生医療3
早速、全身麻痺のザインを、研究室へ作業ロボに運ばせる。
とは言っても樹脂製のストレッチャーで運ばせてるだけだから変な想像はしないでね。
ちなみに今は深夜、何でこんな時間にそんな事してるかっつーと、クリスとキースに見つかんないようにだ。
ここで見つかってしまっては、ザインと考え抜いた計画が台無しになる。
ザインの脳細胞が、私のテロメアを融合させて作ったハイエルフ細胞ザインボディーにビルトインされて、脳細胞自らハイエルフに進化する事が必要なのだ。
一応親和性は高かったので大丈夫だとは思う。
ザインの脳細胞がテロメアを受け入れて電脳手術が出来るようになってしまわなければ計画はおジャンなのだ。
但し、もしかするとザイン脳自体はその際に多大な苦痛を伴う可能性は、有る。
だが、今はザインに電脳が使えないのでそれも不便である。
ニューロリンク技術の粋をフルに使って遠隔電脳と言う手も無くは無いけど、あまりにも安定性に欠けるので、それをするとしたら、手術前にザインの脳内の記憶やザインの人格の基礎となった物全てをバックアップするだけに使うだけだ。
何故バックアップが必要かと言うと、さっきも言ったように脳がかなりの負荷が掛かる為に苦痛を伴う可能性がある、そうなると、ザインの脳は超回復の魔石で死滅はしないだろうが、記憶はもしかすると喪失するかもしれない。
その為のバックアップな訳だ。
それにしてもエルフって種族は何だってこんなに虚ろな種族なんだろう。
ハイエルフになった私の脳内には電脳は排除されずにまだ存在して居るんだから金属アレルギーのような症状は出ないと言う事なのだが、何故エルフだけ?
それと、エルフって、何故か極端に病原体に対する抵抗力が低い。
だからザインも、流感に掛からないように気を付けて生きて来たらしい。
相変わらずあの糞元神が何をしたかったのかが判らん。
まぁしかし、エルフの研究には成ったので、良く記憶しておくとしよう。
その内、ザインの里にもお邪魔しようと思って居るし、ザイン自体もハイエルフに進化したとエルフ達に認知させれば、もっとエルフと言う種族自体が社交的になってくれるかも知れないしな。
そしてその時は、エルフ族は魔法が使えると言うのが常識になる日なのだろう。
現にザインが何故冒険者になってまで外に出て来たのかと言うと、ハイエルフは病気に対しての抵抗力も強く、金属も普通に扱う事が出来るのに、エルフだけが何でと言う思いから、自らレベルを上げてハイエルフへと至り、克服する為だったようだ。
ザインのハイエルフへの憧れは、この辺りから来ていたようだ。
あ、ちなみにナノマシンはエルフとの親和性は悪く無いんですよ、金属製では無いから。
あれはケイ素系生物と言うジャンルになる。
つまり私は、疑似生命体を作って居た訳なのだよ、どうだ凄いだろ?
研究室に着いた、体が動かせないザインは、目をクルクルと動かし、当たりを確認して。
「ママ、あれが僕の体?」
「そうだよ、あれのどっちかだね、二つあるでしょう。」
「ん、どっちも良さそうだけど、ママの判断に任せる。」
「そうね、折角だから、しっかり鑑定して強そうな方にしようね。」
「うん、ちなみに、両方女の子だけど、男の子にした方が良い?」
「ん? 出来るの?」
「出来るよ、今ならまだね。」
「ん~・・・でも僕、女の子で良かったと思ってるし、そのままで。」
「判った、じゃあ、しっかり鑑定してから始めるから、寝てても良いよ。」
「ん、大丈夫、僕にもこう言う知らない知識、貰う事出来る?」
「ザインは科学者になりたい?」
「まだ、判んない、でも、ママの知ってる事、知りたい。」
「判ったよ、ザインの種族が完全にハイエルフに進化出来たら、私と同じように電脳化出来る筈なんだ、そしたらその時に、ママの知ってること全部、教えてあげるね。」
「ん、ありがと、ママ。」
「っと、こっちが強そうだね、肉体的な強さよりも、病気とかに強い方が良い、筋力とかは後からいくらでも鍛えられるからね、ハイエルフは長命だし、ね。」
「ん、判った。」
「折角長生きしたって、病気がちでいつもお布団に包まってたら退屈だしね。」
「ふふふ。」
「ザインの笑うとこ、初めて見たぞ?」
「そんな事、無い。」
「ああ、そうか、精霊を紹介した時?」
「ん、そう。」
「さて、じゃあそろそろ始めるよ、これを飲んでね、これがザインを守ってくれるから。」
「はい、ママ。」
仮死状態を維持するナノマシンをザインの口へ持って行く。
そしてザインは仮死状態に至った。
急ぎ、オリハルコンのメスを作ると、ザインを俯せに寝かして、手術が始まった。
普通の金属が使えないザインを手術するに当たって、医療ロボ任せでは出来ないからね、私自らが執刀する。
ちなみに、私が選んだザインのハイエルフボディーは、毒と病気に対する耐性が強い物だったが、髪の色はザインのそれ、薄黄緑とは違って居るようだ、産毛の色は、私の髪と同じ、深紅のようだ。
あ、ちなみに、ヒューマンの時は染めてたんだけど、今はこの髪色らしい、いちいち染めないで私の色なのは有り難い。
それと同じ色、丁度良いかもね、私の娘になるんだから。
ザインの脳を取り出し、私の錬金術スキルの権能の一つの保護膜(と呼んでいる)に包んだまま宙に浮かせて置き、ハイエルフボディーを手元に持って来た。
今度は、こっちを切開し頭蓋の内側に入れていたスペーサーを取り除くと、そっとその中に、ザインの脳が入る。
そして、そのザイン・ハイエルフボディーに抱かせるように魔石を配置してある。
脳が頭蓋に収まった事を確認し、座標のズレが無いかチェック、そして、そっと切開部を手で閉じた私は、そのまま医療魔法で接合を始めた。
ザインのハイエルフボディーを、シーツと毛布でくるみ、フカフカのベビーベッドに寝かせると、少しづつ覚醒するように、コールドスリープ・ナノマシンにコマンドを読ませる。
暫くすると、ザインは、赤ちゃん泣きで泣き出したのだが、更に少しすると、突然目を見開いて、悲鳴を上げ始めた。
ザイン頑張って、ハイエルフ細胞のテロメアがザインのエルフ細胞脳を支配しようとして居るのだ。
見て居られないと思える程の光景だったが、これは私の罪であり、ザインの選んだ道、見届ける義務がある。
ザインの体が光り出す。
その光が治まると、ザインはすっかり落ち着き、スースーと寝息を立て始めた。
・・・・ふう、終わったみたいね、鑑定。
----------------------
----------(ハイ・エルフ)age0 JOB:精霊召喚魔導士・魔導士・回復術師
LV:10 HP:260/18670vi MP:190/112560mas SP:45%
防御力 126(NM補正100)
体力 128(NM補正100)
腕力 116(NM補正80)
精神力 350(NM補正120)
速力 20(NM補正30)
命中力 200(NM補正100)
固有スキル
・身体能力強化
・視覚補正
・聴覚強化
・自動変身
・精霊自動召喚
保有スキル
・身体強化(LV.36)・アクセルブースト(LV.40)・思考加速(lv.90)・マナチャージ(lv.54)・精霊召喚魔法(lv.80)・属性魔法(lv.1)・治療魔法(lv.0)
称号
・精霊の友・精霊女王の友・英雄魔女・高みへと至りし者・克服者
〚状態異常〛
弱体化中・幼児退行中・詠唱不能・睡眠
--------------
おお~、ハイエルフへと至ったみたいだね、ナノマシン補正付いちゃったね、きっと私がナノマシンの使用権限をlv.9に引き上げさせた為だろうけど、これで電脳が実装されたら世界の理とかのユニークスキル手に入れるんだろうな。
それにしても、アーチャー系スキル消えたねぇ。
ふむふむ、治療魔法もスキル生えたね、まぁ医療知識が未だ無いからレベルゼロみたいだが。
それにしても、すげぇな、レベル10でこの最大HP最大MPかよ。
ってか、0歳でレベル10って何?
というか、一個困っちゃった問題がある。
折角深紅の綺麗な髪色だったのに、ハイエルフへと昇華する時の苦痛のせいか、髪が真っ白、と言うか、シルバーブロンズになっちゃったんだよね。
まぁ、この色でもザインは可愛いと思うしいっか。
これはこれで綺麗だしな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます