第126話 港町散策2
港町散策2
浜焼き専門店を見つけて、干した甘鯛の浜焼きを齧りながら更に市場の散策をしていると、今度は貝の専門店を見つけた。
おおっ!素晴らしい!
アワビにサザエ、ツブガイにミルガイ、赤貝にこれはホタテだぁっ!
アサリと大アサリやハマグリにホンビノス迄あるじゃないか!
カキ! カキまである!! 生食出来るかなぁ?鑑定っと!
何故かこの世界では、と言うかこの港では、かも知れないけど、ハマグリよりホンビノス貝の方が高かった。
取り合えず片っ端から鑑定して、変な海藻食って有毒化して居ない物を選んで片っ端から買い取る事にした。
「おっちゃん、このムール貝からこっちの二枚貝全部と、巻貝全部頂戴!」
「お、そんなに食えるのか?」
「ん、大丈夫、生きてたって私のこのマジックバッグは規格外みたいでそのままの状態で保存が利くのよ。」
「へぇ、便利だな、それ、俺も欲しいな、何処で売ってる?」
「私が作ったんだけど、偶然出来ちゃった奴だからもしも出来たらおっちゃんに教えてあげても良いけど、多分無茶苦茶高いよ?」
「はぁ~、自分で作れるのか、だからそんな買い物の仕方が出来るのか、うらやましいねぇ~、儲かってるね~。」
「ん~・・・意外と売れない物も多くて困っては居るけどね、でもお金には困ってはいない、かな? 冒険者だしね。」
「そうか、お嬢ちゃんは冒険者か、ならば一つ良い情報を教えてやるよ、アイツのお陰で最近貝の価格が値上がりしちまってて困ってるんだ。」
「ほう、それはどんな?」
「ああ、巨大に成長しちまった海ガルーダが居てなぁ、奴が根こそぎ取っちまって貝が取れなくなってるんだ。」
「海ガルーダねぇ、カササギとかの魔物版ってところかな?」
「カササギ程度の可愛らしいもんじゃねぇよ、ウミネコってぇ鳥は知ってるか? アレが魔物化したでけぇのが海ガルーダ、その海ガルーダがデカくなりすぎて通常の数倍のサイズになっちまってるんだ。
心成しか姿も少し変化してる気がするけどな。」
「成程、もしかすると海ガルーダでは無いかも知れないな、そこまで馬鹿でかいと言うのなら、巨鳥ズゥかも知れないな。」
「いや、そこまでの巨鳥じゃ無いんだが、獰猛でなぁ、追い払おうとして自分が食われちまったって言うのが1件あってなぁ。
肉食なのは間違い無いし、干潟に現れては根こそぎ貝をかっさらって行く、手出ししようもんならこっちも命が危ういって訳で、泣き寝入りになってるんだよ。
食われるってんで、お伽噺の怪鳥の名前つけちまった奴が居てな、今じゃすっかりトリコなんて呼ばれてるんだ。」
「なんだって!? 名前つけちゃったの!? デカくなってるのってそれが原因なんじゃねぇ?
一人二人なら、マナを放出出来ない限りは魔素は反応しないから良いけど、大勢の集団意識が有れば、多分周囲の魔素はそれに対して反応を示すはず、少しでも反応が起きてしまえば周囲の魔素にも影響が及ぶ可能性もある、集団心理とはそれだけの恐ろしさを秘めているんだ。」
「な、何言ってんのか良く判んなかったが、そんなに重大な事だったのか、名前ってのは。」
「そうなのよ、名前自体が問題と言う訳では無いけど、その内に秘められた意味が途轍もない効果をもたらす。
これは危険だわ、ポルコさんが討伐したいと言ってた魔物は恐らくこいつ、ポルコさんが危ない。」
私は、市場の散策を辞めて港へと走るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます