第120話 ポルコ

            ポルコ

 しょうも無い雑談をしつつ、空も白み始めて来たので、皆で朝食を頂く事にした。

 私が朝食にチョイスしたのは、玉葱のお味噌汁茗荷添え、サーペントのお肉のベルガモット酢醤油(ポン酢のスダチの代わりにベルガモットを使って見た)掛け、出汁巻き卵、キャベツ、ニンジン、アスパラガスの野菜炒めの、一汁三菜。

 白いご飯にとても合うおかずです。

「この白いのは何だ?」

 まぁ、初めてだわね、今回助けた人たちは。

 タイタンズや勇者一家達はカレーで食べたから知ってる程度だろうけど、白いご飯に何も乗って居ないのは初めてだろうな。

 リョーマさん一行と電脳化した皆は私同様お箸を使って食べている。

 電脳化組は私の知識をクラウドでパッチ化して配布してるから使えるんだけどね。

 何気にマカンヌは前世の記憶から箸使ってたけど少しブキッチョな持ち方だった。

 当然、漆黒の風の面々は、お箸使えないだろうと思ったので、スプーンとフォーク、ナイフを用意したんだけど、食べにくそうではあったけど味には絶賛していた。

 両腕を義手にした彼、ヴァイスは、電脳化してるのでお箸使ってたけどな。

 それにしてもやはり、こっちに来てバージョンアップした新型義体の高性能っぷりが伺える、だって義手として義体化したばかりだと言うのに訓練も無しで箸使って飯食ってるんだぜ? 凄くねぇ?

 朝食を終えて、あれだけ苦しめられたカトブレパスをあっさり倒して来たカイエンやキースに、教えを乞う事にしたらしい漆黒の面々が、承諾したキース達と模擬戦をして居る所に、どうも港町の方から来たと思われる騎士隊が走って来た。

 私のナノマシンデータリンクで間もなく到着すると確認した私は、出迎えるべくしてその騎士隊へ向かって歩き出す。

「何だあの巨大な蜘蛛の様なのは、あれが魔物か?」

 騎士隊は口を揃えてそんな事を言って居るようだ。

 その騎士隊の隊長っぽい鎧を着ている人物が、私を発見して騎獣を降りた。

 のだが・・・・

「げ、オーク!?」

「ちゃうわいっ!」

 だってなぁ、赤ら顔のオークにしか見えなかったんだよ、よく見たら人間だった。

 体型もアレだったし、マジでアル中のオークみたいだったんだもん(失礼)

「ああ、よく見たら人間だった、ごめんごめん。」

「あのなぁ、こいつ・・・

 俺はこの先の港町、ローデストの騎士隊長で、代官補佐をしているポルコ・ロッソだ、これでも一応騎士爵を賜って居る。」

 やっぱ豚じゃん! ってか、ポルコロッソ??

 直訳したら紅〇豚だぞ?

 良いのか?まんまじゃ無いか。

 こりゃぁ、こいつに航空機でも宛がったら面白そうだなw

「これはご丁寧に、先程は失礼した、私はCクラス冒険者で錬金術師のエリー、よろしく。」

 それにしてもこの豚、さっきの間髪入れない突っ込み、お笑いを判って居ると言うか、なんか前世を覚えてる口なんじゃ無いか?

 見た目と名前の妙な一致観も何となく概視感が有ると言うか、ねぇ・・・

「こんな小娘がCクラス?

 まじか・・・

 所であの蜘蛛のようなのは何だ? 多脚戦車?」

 お、こいつ異世界人決定!

 あれ見て多脚戦車ってすぐ出るなら間違いないね。

「あれは私の開発した魔素で稼働する多脚戦車、クリムゾンスパイダーだ。」

「そうか、カッコイイな、俺も欲しいかも知れん。」

「いや、お前には航空機の方が良いんじゃ無いのか?」

 と言ってにやりと笑って見せると、「な!お前やっぱりそうか!」

 ああ、お前も異世界人を疑ってたのか。

「良いのか?部下がいっぱい居る中で自分を異世界人と認める発言してしまって。」

「おっと、つい。」

「この話は後でゆっくりしよう、私も港に向かって居た所だしな。」

「そうなのか、所で大型の魔物が出て冒険者がヤバそうだと聞いて飛んで来たのだが、どうなったか知って居るか?」

「ああ、私達が保護したよ、それと、大型の魔物ってのはカトブレパスだったから、ほっとくと危険なので駆除させて貰った。」

「な! そんな危険な奴だったのか、良く駆除できたな。」

「ああ、紹介しよう、神速の勇者カイエンとその妻、ファーストくノ一のマカンヌ、そして双大剣の英雄キースと、氷結の魔女、鉄拳の聖女、拳聖オーブ、そして私、不本意な二つ名貰って納得はしていないんだが、破壊の聖女とか言われている。

「何だその出鱈目な集団は。」

「いやぁ確かに、色んな意味で強すぎるのがこれだけ集まっちゃって出鱈目に聞こえるかもしれないが、事実だ。」

「そうか、兎に角駆除は出来たんだな、では我々は町の警備に戻るとしよう、協力感謝する、では後で。」

 しかし、騎獣で休息無しで来れるって事は、もうそんなに遠くは無いのだろう。この森の向こう側って所かな?

 だったらのんびり行きましょう。

 野営の撤収をし、クリムゾンスパイダーで時速30㎞/hで走り出し、その間に私は部屋に籠ってポルコの戦闘機を開発していた。

 タンデムにはしなくて良いだろうから・・・

 滑走路の無いこの世界で飛ばすなら、水上機だよな、ますます〇ブリのアレっぽいしw

 水上機で、バルカンを二門搭載、それと、ミサイルベイを4つ、レーダータイプのロックオンシステムにナノマシンデータリンクレーダー、但し半径50㎞限定で。

 ナノマシンによる弾薬補給システムで、ミサイルの炸薬も火薬では無く魔素を利用した爆裂術式。

 魔素駆動コンパクトジェットエンジンは水没しないように、吸気も排気もコックピットより高い位置に・・・何だか、神電みたいな外見に成ったけど、まぁいっか。

 最高速度は、M5.5位出りゃいいかな?

 ん?Gスーツが無いと無理だろうって?

 そこは身体強化で頑張れ!w

 大丈夫、ポルコ君、君ならできる! 多分・・・

 そして私のストレージ内に機体が完成した頃、我々は港町ローデストに到着したのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る